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リリーフ・オブ・ザ・ライフ  作者: タカハシあん


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第49話 月影館の価値

 一夜明けて二人が起きて来た。


 ここでは暗くなったら夜。午後の六時からハッスルタイムがスタート。若くて体力があるなら何回戦もできるだろうが、どちらも四十は過ぎている。やっても三回戦がやっと。九時前にはグロッキーしていたよ。


「如何でしたか?」


「いい夜であった。朝もこれまでにないくらい快適に目覚めたよ。なんだか生まれ変わったかのようだ」


 でしょうよでしょうよ。お前らはクズゴミから敬虔な天女の下僕に生まれ変わったんだよ。おめでとう。


「それはようございました。まずは風呂でさっぱりしてください。朝食を用意しますので」


 風呂場へ連れて行き、二期生たちに下僕どもを洗ってもらう。帰ったら大掃除をしないとな。


 風呂から上がり、朝食を食べさせたら礼拝堂で祈りをしてもらう。


 もし、お前らの神が存在するなら別れを告げておけ。今日からお前たちはこちらのために働いてもらうんだからな。


「で、なにをしたんだ?」


 下僕どもを笑顔で見送り、姿が消えたらラウルがジト目で尋ねてきた。


「教会の内情を手紙にして送ってくれるようになったよ」


「それを見られる恐れは?」


「ないとは言えないけど、まあ、心配はいらないよ。これからじっくり崩して行くからね」


 連れて来た者らにも魔法はかけておいた。まあ、永遠に影響を与える威力ではないが、尋ねたことは喜んで話してくれるくいの威力ではある。


「お前は教国を乗っ取るつもりか?」


「そんな面倒なことはしないよ。ただ、ぼくたちが平和に生きられたらいいだけ。邪魔者を防ぐ壁となってもらえたらいいだけさ」


 教国なんぞに興味もないし、神を信じるボンクラどもなど勝手に祈っておけばいい。こちらの邪魔をしなければ、だがな。


「ラウルさんの言葉にも応えるようにはしてあるから、なにかあったらお願いしてみるといいよ。あ、また来月辺り連れて来てよ」


「また歓迎するのか?」


「リーリンが利用するなんていい宣伝になるじゃない」


 大々的には宣伝とはならないが、一般人を相手にしているわけじゃない。口の堅い人たちが客となるのだ。リーリンが来ているってだけで月影館の価値は理解できるだろうよ。


「レーメンが来るまで何日かかると思う?」


「そうだな。ジンは今日にでも報告するだろうから五日以内、ってところじゃないか? 予定は取ってあると言っていたからな」


「それなら二日は営業できそうだね。旦那さん連中に広めてよ」


「ああ。それは喜ぶだろう。楽しみにしていたからな。エキゾチックダンスはどうする? うちの者が望んでいたが」


「うーん。どうしようか?」


 ハルガを見る。下僕どものことで頭がいっぱいだったからエキゾチックダンスのことは関知してなかったんだよね。


「大丈夫だよ。通常営業なら二期生はエキゾチックダンスに回せるから。館はお嬢たちにお願いするよ」


「任せて。空いている者でやるから」


「ラウルさん。またアーカラスで買って来てよ。今のうちに三期生を育てておきたいからさ」


 あの町の規模なら売られて来た女性は百人はいるだろうよ。まったく、クソすぎて吐き気がするよ。


「そろそろ怪しまれているから買えるかどうか。あちらもバカではないからな。ルガルの情報を得ている者もいるぞ」


「じゃあ、商館に売るヤツから買ってよ。そういうヤツらって徒党を組んでいるわけでもなければ組合があるわけじゃないんでしょう?」


 ここのヤツらに組合を組織できるような能力はない。小さな集団がいろんなところから買って来て商館に売るって形なんだろうよ。


「まあ、そうだな。商館は人買いを利用しているだけで、人買いは商館と契約しているわけではない。足りなくなったら買う、って感じなんだろうよ」


「無尽蔵に買うわけじゃないんだから人買いから買っても商館は文句言わないでしょう」


 アーカラスは貿易都市だが、ハーマラン教国と取引している。教国と強い関係を結んだオレたちに文句は言って来ないだろうよ。


「わかった。やってみよう」


「よろしく。んじゃ、二日間は通常営業。三日目からレーメンを迎える準備をしようか」


 オレは魔力回復に専念させてもらいます。

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