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リリーフ・オブ・ザ・ライフ  作者: タカハシあん


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第46話 バンカラル(総本山)

 他を後回しにして礼拝堂は急ピッチで作ってもらうことにした。


「ありがとう。礼拝堂を作ったらしばらく休みとボーナスを与えるからね。がんばってよ」


 転生者が広めたのか、ボーナスって概念があった。


 まあ、ボーナスを出すような気前のいいのはいなかったので職人たちは知らなかったが、オレが神の御子なのは周知の事実。ボーナスを出しても不思議にも思わず受け入れてくれたよ。


「出しすぎじゃないか?」


「出さなすぎるんだよ、ここは。お金を回せば自然と経済は回るもの。搾取しかできないヤツは無能な証拠だよ」


 もっともオレが嫌うことだ。奪うことが正義だと思っているヤツはオレがその正義を執行してやるよ。喜んでオレに奪われろ、だ。


「人を大事にできないヤツはいつか自分も大事にされないよ」


「神の御子が言うと格言に聞こえるな」


「まあ、灰竜族は灰竜族のやり方でやって行けばいい。長年築いて来たやり方もあるだろうからね。でも、ぼくはぼくのやり方で家族を守って行くよ」


 裏切られることもあるだろう。騙されることもあるかもしれない。それでも家族になった者は守り切る。失ったりはしない。前世で守れなかったオレの悔いだ。


「いや、お前のところを見習わせてもらう。うちから月影一家を羨む声が出ているからな。このままでは危険だ。待遇を一緒にしていかなければ危うくなる」


「灰竜族の人たちにはお世話になっているからね。待遇がよくなるなら嬉しいよ」


 月影館の運営やエキゾチックダンスの裏方もやってくれている。灰竜族から給料が出ているから割引券で優遇してたんだよな。


「月影一家としても人を増やしたいんだよね~。いつまでも灰竜族の人を使うわけにもいかないでしょう。隊の人員も省いているんだから」


「まーな。一隊を潰したからな。本家に黙っているのもそろそろ限界だろうな」


 ルガルの町にあるのは別館的なもので、本家はジ帝国にあるみたいだ。


「怒られそう?」


「いや、回復薬を渡しているから怒られることはない。ただ、教国からの荷物が減っているから灰竜族としての立場を問われそうだな。うちは二百年続く老舗だからな。本業をおろそかにはできんのだ」


 二百年も続いてんだ。そりゃ老舗としての誇りは重いだろうよ。本業をおろそかにできないってのも納得だわな。


「レーメンのことが片付いたら人を探すとするよ。レーメン側から打ち合わせとかの使者は来てるの?」


「リーリンとは話し合ってはいるが、まだ日にちは固まってはいない。ただ、もうそろそろだとは思う。時間を作っていそうだからな」


「礼拝堂のことは伝えてね」


「ああ。お前は凄いこと考えるよな。館に礼拝堂を作るなんて」


「ぼくが生きていた世界には城に礼拝堂を作る領主もいたからね、それに習っただけさ」


「世界は違えど神を信仰する形は同じなんだな」


「まい、今回は礼拝堂を言い訳に使うんだけどね」


 それでもレーメンとしたらここに来れる理由にはなる。神の御子がやる店なのだからレーメンとしても配慮する必要があるだろうからな。


「お前はいいなか? 神の御子と知られることを」


「どうせレーメンが情報統制してくれるでしょう。出世したいのならね」


 総本山たるバンカラルにはルガース(教皇みたいな存在)を支える十三人のバニッガー(枢機卿か?)がいる。そのバニッガーになるにはそれなりの支持を受けなければならないとか。


 その工作には金がいる。その資金稼ぎに回復薬が使われている。てか、回復薬の出所はレーメンにしている。これなら手を出すヤツはいないだろう。


「欲に忠実な人は大好き。野望を抱く人も大好き。行動がわかりやすいんだもん」


「……お前、意外と悪党だよな……」


「ぼくは別に正義を信仰しているわけじゃないからね。目的のためなら敵の足でも舐めるさ。ラウルさんの足だって舐めちゃうよ」


 お嬢たちが体を売るんだ、一家の主として敵の足を舐めるくらいできなくてどうする。オレは必要ならやるよ。ケツを出せって言われたら全力で拒否するけど。


「止めろ、気持ち悪い。衆道は教国の教えに反するものだ」


 へーそうなんだ。ここではBなLは流行らせることは命懸けか。いや、興味ないんでやったりしないけどさ。


「そうなんだ。でも、陰ではやってそうだね」


「そんなウワサもあるが、女を買うより難しいことだ。やっていてもかなり力を持った者かこそこそとやっているかだろうよ」


 ウワサがあるんだ。クズばかりで安心するよ。利用するのに一ミリも心が痛まないで済みそうだ。好きに利用させてもらえるぜ。


「なにかする気か?」


「ぼくはなにもしないよ。するのはお嬢たち。快楽をレーメンに叩き込んでもらうだけさ」


 お嬢たちも覚悟はできている。レーメンを快楽の奴隷にさせてオレたちのために働いてもらうのだ。


「下見に来るかもしれないから注意しろよ」


「それは願ったり叶ったりだね。レーメンの懐により深く入り込めるってものさ」


 進攻ルートは多いほうがいい。オレたちが快適に暮らせる社会を築かせてもらいます。クク。

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