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リリーフ・オブ・ザ・ライフ  作者: タカハシあん


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第27話 産湯盥

 この小さな体が憎い。まだ食べたいものがあるのにもう入らないよ。


「……もう入らない……」


 さすがに限界を超えたらリバース地獄。美味しいものを無駄にしたらもった作ってくれた料理人に申し訳が立たないよ。


「食べすぎだ」


 節度を守っていたラウルに呆れられてしまった。面目ないです。


 動けないので、今日はここに泊まらせてもらうことに。ただ、ラウルたちは帰って行ったよ。人間用の部屋がそんなにないみたいなので。


「ふー。やっと落ち着いた」


 二時間くらいしてやっと消化してくれた。


「腹が落ち着くと甘いものが食いたくなるよね」


「それはエクラカだけよ。でも、あるなら食べたい」


「ルーは食べなかったの?」


 ごめん。食べることに集中しててルーのこと見てなかったよ。


「ちゃんと食べられたよ。ほら、お腹ぽっこり」


 服を捲って白い腹を出した。本当にぽっこりじゃん!


「アイスでも食べるか」


 ボックスを出して冷蔵庫からマーブの乳で作ったアイスを出した。


 冷蔵庫なんてあったんか! ってびっくりされる方々よ。もちろん、創造魔法で拡張にしたに決まってんじゃん。


 ボックス自体、あのクソ女の力。創造魔法も同じであのクソ女の力だ。反発し合うなんてこともなく日に日に拡張させておりますよ。


 ベッドに二人で座り、美味しくアイスを食べていたらマチエさんがコーヒーを持って来てくれた。ナイスタイミング~。


「エクラカ様はアイスが作れるのですか?」


 アイスって言葉があるってことは田中さんも作ったんだね。あなたも相当なものよね。


「冷凍庫を作ったからね。マチエさんも食べる?」


 いつでも食べれるようたくさん作ってある。バラエティーがないのが寂しいところだよ。


「はい。食べみたいです」


 正直な人だ。嫌いじゃないぜ。


 ボックスからアイスを出してあげた。


「どこから出したのですか?」


「異空間だよ。田中さんももらったはずなんだけどね。子孫にまで伝わってないか。まあ、本人しか開けられないものだけどね」


 やはり田中さんの子孫でもボックスは見れないか。もしかして魔力があるなら見れるのかな~って思ったんだけどな~。そうでもないようだ。


「……そうなのですか……」


「そうだよ。田中さん、どんなものが入っていたんだろうね?」


 リスタートアイテムは、オレが創ったものやあの世界で手に入れたものが主に入っていた。田中さんは、いったいなにが入ってたんだろうな? ちょっと興味がある。


 アイスを食べたら熱いコーヒーをいただく。まだ五歳の体にも苦味や酸味が胃に染みるわ~。


「マチエさん。大きな盥を貸してくれる? 体を洗いたいからさ」


 さすがに風呂はないだろうから盥に水を溜めて沸かすとしよう。排水は……はまあ、下は土だし染み込むだろうよ。


「では、すぐに沸かします」


「あ、盥だけで大丈夫だよ。水と沸かすのはこちらでやるからさ。使った水はどこに流したらいいかな?」


「適当に流してもらって構いません」


 あ、やっぱりそうなんだ。まさか、おしっことかそのまましてないよね? 人間用のトイレはあったけどさ……。


 うん。そういう夢のないことは考えないようにしよう。オレの住むところは完璧に、清潔に、快適にがコンセプトだがな。


「では、持って来ます」


 で、持ってきてもらった盥はかなり大きいものだった。バスタブサイズだよ。


「これ、入ったりしていいの? このあと、使うものじゃない?」


「大丈夫ですよ。産湯に使うものですから」


 ケンタウロスも産湯をやるんだ。産まれたらすぐ立つとかじゃないの?


 まあ、使っていいのならありがたく使わせてもらいましょう。


 大容量水筒から水を注ぎ、溜まったらヒートソードで沸かした。


「エクラカ。下が土だからすのこがあったほうがいいんじゃない」


 確かに。上がったあとに土がつくとか嫌だな。荷物入れの下に敷いてあったすのこを産湯盥の横に置いた。


「なにかお手伝いすることはありますか?」


「大丈夫。ルーがやってくれるから」


 ルーを側に置いているのには意味がある。変な世話役を押しつけられないようにだ。


 今はまだいいが、神の御子とわかれば女を宛がってくるヤツも多くなるだろう。それを牽制するために若いルーを置いているのだ。


 オレが大人の魂を持っていてもルーは気にせずオレの側にいて世話をしてくれ、構わず一緒に風呂に入っている。


「ふー。いい湯だ」


「頭、洗う?」


「うん、お願い」


 夜になっても気温が二十五度は切らないので湯から上がり、すのこの上で頭を洗ってもらった。


 しっかり桶まで用意してくれてるんだからマチエさんは優秀だよな。


「ケンタウロスってお風呂入るの?」


 控えているマチエさんに尋ねる。別に一緒にいなくてもよろしくてよ。 


「お湯には入りませんが、水風呂には入ります」


 まあ、ケンタウロスの体格でお風呂に入ろうとしたらとんでもない量の水と薪が必要になることだろうよ。


「やっぱり体を洗わないとダメなの?」


「はい。乾燥していればまだいいのですが、湿気があるとカビたり虫がついたりしますので」


 下半身が馬だと大変だよね。人間以上に手入れに時間がかかりそうだ。

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― 新着の感想 ―
ケンタウロスの生まれ方。 人間の赤子と馬の赤子の悪魔合体? だったら恐ろしすぎる。
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