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リリーフ・オブ・ザ・ライフ  作者: タカハシあん


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第23話 礼儀

 一日かけてインスタントカメラとフィルムを三十枚創った。ふぇーい。


 この体でも魔力回復に慣れてきた。ぐっすり眠れば六割は回復できるようになったよ。


「もうちょっとだな」


 レベルは20あっても体がついて来てない。全力を出したら全身は壊れてしまうだろう。魔力だって十割に耐えれないでいる。まったく、面倒なことだよ。レベルに合わせた体にしろや、クソが!


「おはよう。体調はどう?」


 お嬢たちがオレを覗き込む。


 まだオレたちは大部屋で一緒に寝起きしている。慣れたとは言え、化粧の臭いが厳しいな。早く屋敷を改築してもらわないとな。


「まあまあかな? もうちょっと横になっているよ」


 イチノスケさんのところに行くなら体力や魔力を万全にしてからのほうがいいだろう。倒れたら迷惑かけるからな。


 昼くらいまでダラダラしてたらなんとか魔力が九割まで回復してくれた。


 ちなみにだが、ステータスバーとか目の前に数字が出たりはしませんよ。感覚的にわかる仕様になってんだよ。悠長にステータス確認とかしてらんねーからな。


「ラウルも行くの?」


「お前なら心配ないだろうが、取り込まれたら困るからな。その牽制だ」


 なるほど。ラウルとしては気にすることではあるわな。


「そっか。なら、一緒に行こうか」


 オレとしてもここを離れるつもりはない。それを知らしめるためにもラウルを連れて行くのは手かもしれんな。


「馬車で行くの?」


「手ぶらで行くわけにもいかんからな。灰竜族として恥は晒されんよ」


 そんなものなんだ。一族の社交は大変だ。ってまあ、オレも手土産を用意したんだからラウルとしても手土産は持たないと格好がつかんわな。


「ルー。インスタントカメラ、持った?」


「ええ。それっぽい箱に入れたわ」


 剥き出しではと思ってルーになにか入れるものを用意してもらったのだ。なかなかいい箱があったじゃん。


「では、行くぞ」


「了解」


 荷物が詰まれた荷台に乗り込んだ。連れの人らは歩くようだ。ごめんよ。


 馬車に揺られて約十五分。町を迂回しての移動だったが、すぐに東の広場にやって来た。


「広場ってより町だね」


「ここは、ケンタウロスの居住区でもある。毎日のようにやって来るからいつの間にか町になったのさ」


 と、ラウルが教えてくれた。


 下半身が馬だからか、家のサイズが人間とは違う。道もかなり広く造られている。まさに異世界って感じる光景だぜ。


 前にも他種族はいたが、会ったのはエルフくらい。他は人間ばっかりだったから異世界感があまりなかったんだよな。


「てか、場所わかるの?」


「昨日のうちに探らせて今日行くことを伝えた」


「仕事が早いね」


「このくらい普通だ」


 きっと普通ではないはずだ。ラウルは優秀な男だからな。


 イチノスケさんの家は端のほうにあり、かなり広い土地を持っていた。マルステク王国でも一、二を争う一族ってのも伊達ではないようだ。


 来る時間までは伝えてないだろうに、イチノスケさんたちが迎えてくれた。


「ようこそいらっしゃいました」


「こんにちは。遊びに来たよ」


 背が低いので馬車の上からこんにちは。ちょうどいい高さだ。


「こちらは灰竜族のラウル・ラーグー。お世話になっている人です」


「お初にお目にかける。ラウル・ラーグー。灰竜族の長、マルーガーの四児です。高名なタナカ一族の方と出会えたことを誇りに思います」


 左右の袖に手を入れてお辞儀した。はじめてみる挨拶の仕方だな。


「これはご丁寧に。わたしは、姓はロクブレン。名はイチノスケ。当主、田中キンジよりハーマラン教国間交易を任せられております。こちらこそ灰竜族に出会えたことを誇りに思います」


 おひかえなすってじゃないんだ。


「どうぞ、中へ」


 勧められて馬車を進ませた。


 家は平屋だけど、ケンタウロスに合わせたサイズなのでかなり大きい。結構、場所取ってんな。


 中へと入ると、二十畳ほど広く、マットレスみたいなものが敷かれていた。


「日本風味はないんだね」


 畳とか敷いているのかと思ったら床に砂が敷き詰められていた。


「我々の体の構造上、これが一番楽な姿勢なのです」


「異種族との交流はどこでも同じなんだね」


 エルフもどこか人間との感覚や常識が違った。ましてや体の構造が違うケンタウロスではなにもかもが違うんだろうよ。


「失礼な言動があったら教えてもらえると助かります。ケンタウロスって種族のこと、なにも知らないので」


「はい。わかりました。ですが、そう気にすることはありません。こちらも長い間、人間と商売をしております。多少のことでは不快になったりは致しません」


「ご配慮、ありがとうございます」


 と、なぜかラウルが頭を下げた。ケンタウロスとの付き合い方は知ってんのかな?


「エクラカ、胡座はできるか?」


「できるよ。胡座が礼儀なの?」


「そうだ」


 そう言うと、敷かれたマットレスに胡座をかいて座った。


「戦国武将だね」


 まあ、胡座の由来とか知らんけど。


 ラウルの横に胡座で座った。お、いいマットレスじゃん。あとで売っているところ紹介してもらおうっと。

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