2-1 ゼノルスと5人のソルディバイン
ルミナス城はかつての栄光を失い、今やソルディアス教団の手に落ちていた。最上階に位置する『太陽の祭壇』も、かつての神聖さはもはやない。元は太陽に祈りを捧げ、皆の意思を統一するために、当時の魔法技術を駆使して建設されたものだが、今は教団の力の象徴として利用されている。この祭壇の前で、ソルディアス教団の団員たちが集結していた。祭壇の前に立っているのは、教団の指導者と、5人の高位司祭だった。
教団の指導者、ゼノルス・セクトールは、大理石の台座の上にある輝く水晶に手を触れながら、穏やかな微笑みを浮かべ、話し始めた。
「皆さん、真にこの世界を救済するためには、挑戦し続けなければなりません。もちろん、その道のりには困難が伴うこともあります。痛みを伴わずに変革は成し遂げられません。それでも、私たちは、正しい道を指し示さなければならないのです」
ゼノルスの言葉に、教団員たちから歓声が上がる。
「そして、私たちはこのルミナス王国を救済しました。しかし、まだ異変の元凶である王族の生き残りを捕らえることができていません。このままにしておけば、彼女はこの世界に災いをもたらすかもしれません」
その言葉に高位司祭達はそれぞれの反応を示した。ここで、彼、彼女らはソルディバインと呼ばれている。この教団が崇拝する、太陽の女神ソルからその力を分け与えられた者、という意味をもつ。
最初に動いたのはソルディバインの1人、無敗の騎士と呼ばれたクロノア。彼女は冷たい眼差しで前に進み、毅然とした声で言った。
「エリナのことは私が片付けよう。元は主君だったとはいえ、私の魔法を用いれば、捕らえることなど造作もない。安心しろ、情などはとっくに捨てている」
ゼノルスは満足そうに頷く。
「さすがですね、クロノアさん。エリナを捕らえることができれば、我々の計画はより盤石なものなるでしょう」
次に、いつもポジティブな増幅系娘、アリアが楽しそうな声を上げた。
「へぇー、エリナちゃんか! あの子の綺麗な魔法、ちょこっと大きくして見てみたいもんやな! 私、楽しみやわ~!」
その言葉に、最年少のアリスが冷静に突っ込む。
「姉ちゃん、遊んでる場合ちゃうで。エリナは敵やで?」
アリアは肩をすくめ、無邪気に笑った。
「いや、わかってるって! でも、あれはきっと見ものやで!」
そのやり取りを聞きながら、大柄な大地の戦士、オクタヴィウスが豪快に笑い声を響かせた。
「ハハハ!俺にまかせるがいい。結局は力がすべてだ。どんな敵だろうと、俺の巨岩で叩き潰してやるさ!」
ゼノルスは微笑みを浮かべながら、オクタヴィウスに応じる。
「力も確かに重要です、オクタヴィウスさん。しかし、単なる力だけでは足元を掬われることもあります。慎重に事を進めることも重要です」
その言葉に、静かなる闇、ネフティスが頷いた。彼女はいつも冷静で感情を表に出すことはないが、ゼノルスの隣でいつも冷たい微笑を浮かべる。
ゼノルスは再び祭壇を見渡し、続けた。
「皆さんのお気持ち、感謝いたします。しかし、今、私たちの優秀な同胞、エネルがエリナを捕らえるために向かっています。彼はソルディバインに次ぐ実力を持つ者です。彼の力ならば、きっとエリナを捕らえるでしょう」
「エネルか。あいつが動いてるなら、確かに余計な心配はいらねぇな。あいつの攻撃魔法で粉砕できない敵はいない。残念だが俺たちが出る幕もないかもな」
オクタヴィウスは少し残念そうに言うと、ゼノルスは微笑みながらさらに続ける。
「私もエネルさんには期待しています。しかし、どんな時でも油断は禁物です。もし、彼に万が一のことがあれば、クロノアさんに続いていただきましょう」
その言葉に、クロノアは静かに頷いた。
「了解した。時が来た時には期待に応えよう」
ゼノルスは満足げにうなづきながら締めくくった。
「さて、皆さん、それぞれの役割を忘れず、我々の使命を果たしましょう。イグナリス王国への警戒も怠らぬように」
ソルディバインたちはそれぞれ、自分の役割を理解し、次の行動に移る。ゼノルスの柔和な微笑みの裏には、冷徹な野心が秘められていた。
みんな書きたくなる悪だくみシーンです。
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