表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

ちゃぷちゃぷ ~噴水あそび~

作者: カシスオレンジ

園児揃って

ちゃぷちゃぷ、きゃっきゃ


スズメにハトにトンボもいたりして

みんなで平和な公園の噴水広場で水遊び


ほっぺたふくよかお子が一人居りました

止んだ噴水の噴出口を不思議そうに覗き込むお子


しばらくすると水しぶきがひゅっと吹き出します

「あ、たろうくん危ない!」


警告の声もむなしく

ざばーっと勢い増す噴水


顔面に水柱を受けて

「あぶぶぶう!?」と白目をむいて唸るたろうくん

目は真っ赤です


おや、泣きそう


……いや、


「もういっかいやるー!」


……え?


ぷっくりほっぺを拭ったたろうくん

凝りもせず噴射口の水が落ち着くのを待ちます


ざばーっと勢い増す噴水


また、水流が彼の顔を直撃しています

今度は「べりゅらばらばだば」と意味不明な言葉つき

周囲の子は面白がって噴水を浴びながら駆け回っています


……先生言いましたよね


「レインコートは脱いじゃダメですよ」って

誰も守りやしないルール

叱るのはいつも先生


好かれるのはハトやスズメたち

先生はそれ以下ってことかな?

なんだかなぁ……。


「せんせい!」

「なぁに、たろうくん」

「綺麗な花摘んだ、あげる!」


また噴水あそびを始めるたろうくんたち

レインコートが散らかっている

片付ける方の身にもなって欲しいのだけど……。


貰った花を観てみる

「まぁ、きれいな紫陽花!」


これは園内で押し花にして飾ろうかしら

考えていると私は園児たちに引っ張られてた


「先生も、喰らえー!噴水爆弾!」

「⁉」


私の全身は噴水が噴出したことによってずぶ濡れになった

悪気はまったくなかったのだろう

子どもは好奇心でそういうことをするものだ


でも嫌だったとは言っておかないとね


「こんなことしたら先生、風邪ひいちゃうかもしれないです」

「引いたら治してあげる!」

「おお頼もしい」


そんな会話をしていたら服がカラカラと乾いた

くしゃみや咳をする園児たちに怯えながら乗る帰りのバス

園児たちが元気を見せつけた後に、病魔に襲われる姿を観るのは辛いから


出来ることを命いっぱいしてあげるのがこの仕事だと思っている

子どもが子どもらしくあるための通過儀礼的教育

大人に成ると決めた日から私の覚悟は生半可なモノではない


そりゃいろいろやってりゃご褒美もある

たろうくんから貰った紫陽花を押し花にして額縁に飾った

こういう記憶が積み重なる仕事に、私は誇りを抱いている


仕事終わり


酒のあてにピーナッツとかポテトとか頼むとき思うわ

「本格的な竜田揚げがお腹いっぱい食べたい」って

賃金が上がったら、私も子どものように自由奔放に遊べるかしら?


なんて思ってみたり。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言]  可愛らしく、楽しく、頼もしいお話でした。  ありがとうございました。
[一言] 先生、お疲れ様でした。 幼児は予測不可能な動きするので、気を使いますよね。 竜田揚げとビール。時々は仕事終わりに自分へのご褒美としていただいても良いんじゃないかなあ。
2024/09/26 23:53 退会済み
管理
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ