表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
陸軍と海軍のよもやま話  作者: earl gray
5/6

斥 候

 愼治は斥候に来ていた。

 斥候とは、敵を見張る役目で、活動は闇夜に紛れてすることが多かった。

 敵と遭遇すれば、攻撃される恐れがある。

 草むらに隠れ、駐屯地の様子を探る。

 

 輸送船でハルピンから小湯山しょうとうさんまでやってきていた。


「万里の長城があるから、向こうから目につきやすい」

 小銃をかまえながら、教育係の丹羽が舌なめずりをしながら愼治に話しかけた。

「いいか、見つかるなよ。見つかれば乱射される」

「はっ」 

 見つかるなよ、といわれても、周囲には草もなければ建物もない。

 どうやって隠れればいいのだろう。

 近くのコーリャン畑(トウモロコシ畑)の陰に身を隠すほかなかったが、どうあってもこれでは……。

「確実に的になりますね」

 佐倉で戦友となった石塚が話しかけてきた。

「このまま様子をみましょう。危ないことはしたくない」

「う、うむ、そうしよう」

 のそりのそりと匍匐前進をする。

 カチャカチャと背中に背負った銃剣が鳴るときもあったが、止まりながら敵陣へと近づく。

 

 どうにか、斥候を終えて奉天まで戻れた。

 とはいえ、命からがらの『お出かけ』だったためか、軍服はぼろぼろだった。

「えらい目にあったようだなあ。無事でよかった」

 谷崎上等兵が繕った服を用意してくれた。

「上等兵殿がお縫いになられたのですか」

「裁縫は得意になったよ、兵隊になってからはね」

「ありがとうございます」

 愼治は、親切な上等兵のことを、心底信頼していた。

 彼が見ている写真をのぞき込むと愼治は、あっと声を上げた。

「ど、どうしたんだ」

 驚く上等兵に、愼治は、

「あ、会いました」

 と答える。

「会ったって、誰にだい」

 不思議がる谷崎上等兵に、愼治は答えた。

「じつは……」   

いきなり満州に移動しましたね。

いつもいきなりが、あーるぐれいなのです!


さて、愼治が出会ったというその人は誰なのか。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ