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兄ちゃん奮闘記  作者: 白い犬
17/31

17話

男は釣りに、篠宮と兵助は浅瀬で遊ぶ陽夏に付き合っていた。普段はあまり出かけないから、てっきりインドア派かと思っていたけど、あの姿を見ていると、陽夏は意外とアウトドアだったのかもな。いや、子供ってそんなもんか。


「ちょ、昂明!昂明!!引いてる引いてる!」


武人の声に動揺し、体勢を崩してしまう。足元にあった濡れた石に滑り、そのまま川に突っ込んだ。途端に響く武人と原田の心配する声、そして1番でかいのは兵助の笑い声。かかっていた魚はもちろん、武人たちの釣り針に集まっていた魚も逃げた。


「おにいちゃん、大丈夫?」

「おう……」


ちゃぷっと小さな音を立てて陽夏が隣へやって来た。川に腰を浸からせ、空を見上げた状態の俺は、陽夏に水をかけないように立ち上がり、軽くTシャツの水を絞った。


「あのね、凛ちゃんがタオルくれたよ」

「凛……?ああ、篠宮か。篠宮ー、サンキューな」


篠宮は川に入らず、原田の隣で手を軽く振った。


「おにいちゃん、お魚つかまった?」

「んーや、まだだな。兄ちゃん頑張って捕まえるわ」

「うん!」


今日は日差しが強いせいか、濡れても大して寒くはない。むしろ、ちょうどよくなったぐらいだ。


「お嬢、篠宮さんと野菜の準備をしましょう。昂明は川に何度落ちたって死にませんよ」

「おい兵助、声が震えてんだよ。笑ってんじゃねぇよ」


くそっ、兵助のやつ……本当なら一番心配をしなきゃいけない立場だろうが。



陽夏たちはバーベキューセットを準備し、食材の準備に取りかかり始めた。俺たち3人は騒いでしまった場所から少し離れ、再び釣りを始める。


「そーいやこの前の小テストどうだった?」

「やめようよ、ここまで来て学校の話は……」

「あーわりぃ」


一昨日、数学の小テストがあり、俺らの中で原田だけが追試だったのだ。数学は苦手だと言っていて、篠宮の鬼指導が入ったそうな。やっぱ2人って仲良いよな。


「原田さ、篠宮と付き合わねぇの?」


何となく聞いてみた。すると、原田はアニメかなんかのように顔を真っ赤にさせて、聞いたことがない大声で動揺し始めた。


「は、はぁ!?何言ってるんだよ鳳くん!!そんな、そんなこと出来ないよ!」

「おい、原田……その反応はあからさますぎるぜ」


言葉がきつい時もあるが、篠宮は親切でいい奴だ。好きになる気持ちもわかるぞ。俺も友達として、篠宮は好きだ。


「武人、あんまからかうなよ」

「それは今後に期待だな」

「ぅう……。でも、そもそも無理なんだよ」


未だ赤い顔をしたまま、原田は足元に視線を落とした。


「篠宮にはずっと好きな人がいるんだよ」

「へぇ、さすが幼なじみ。相手の恋愛事情も把握済みですか」

「相談されたんだよ!好きな人、僕の従兄弟だから」

「おぉ……」


さすがの武人も同情したようだ。片想い中の人の好きな人は身内で、さらにその相談までされる。そりゃあ諦めたくなるわ。俺は右に、武人は左に、それぞれ原田の肩に手を置いて、慰めの言葉をかけた。


「慰め会は盛大にやろうぜ」

「なんなら家に来いよ。陽夏の作ったクッキー美味いぞ」

「いいからそっとしといて……」

ここまで読んでくださりありがとうございます。

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