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一 生きる楽しさとは
1000年以上も昔、遠く西方の国に少年は生まれた。
少年の家は貧しく毎日働いても暮らしは少しも楽にはならなかった、
それは彼の親が小作人であり実り豊かであったとしても、まずすべてを地主でもある村長に納め分配されるのはいつも家族がギリギリ生きていける分だけであったからだ。
5才ほどになるとすぐ働きに出るのでこの村では子供の遊ぶ姿は見られない、
仕事をして食事をとり眠る、少年の生活はこれがすべてであった、
この世に楽しいことはないのか?
そう考える少年の心の中には楽しいという感情がどんなものかもはっきりとしていない。