第4話 青髪清楚
今日はいつも以上に緊張しながら、自分の教室の扉を開く。
「や、やあおはよう」
やべえ、言ってしまった。
教室の中にいる人たちは、一瞬俺の方を向いたが、また、会話の続きをし始める。
猫野がいつもいるメンツたちといるが、彼女は頭を抱え込みながら、自分の席へと座る。
「えっ? どうしたの寧々?」
そうだった、本名は猫野寧々なのだ。
そんなのは今はどうでもいい。
完全に猫野がそんな行動をとったのは、俺のせいだろう。
絶対に机に向かって笑っているだろ。
許せん。
「ん、大丈夫大丈夫」
復活した猫野。
挨拶をして後悔した俺。
俺は自分の席に座り、いつも通り読書の体制を作った。
辺りの男子たちは、
「なんか変だなあいつ」
「今日テンションがおかしいのか」
「柊君のことだし」
最悪の状況だ。
俺のことでの話が話題になってしまった。(悪い意味で)
女子というと、俺のことを気にするようなことはしていない。
まあ、女子は興味がない相手はあまり気にしないって言うしな。
さて、今日のノルマは女子に話しかけるだったよな。
もうすでに女子たちは、それぞれのグループで楽しそうに雑談している。
そんな中に話しかけるのは、メンタルが崩壊しかねないので、今はやめておこう。
授業の間にさり気なく話しかける感じでいこう。
「さあ、席につけ」
このクラスを担当している五十嵐先生が教卓の前に立ち、そう言った。
その言葉を聞き、生徒たちは自分の席へと座った。
なぜなら、この教師は怖いからだ。
「おい、待て赤月」
「ひいっ」
「教室の後ろから入れば、バレないとでも思ったか?」
「い、いや」
たまにこのようなやり取りが繰り広げられている。
「3分前には、教室に着くように言ったのは何度目だ?」
「13度目です」
「14度目だ」
一瞬で嘘がバレたー!
てか、1つ変えたところでだけどな。
「赤月、明日は何の日か分かるか?」
質問三昧だな。
生徒の中には、笑いを堪えているのもいる。
「えーと、先生の失恋記念日?」
赤月君は人差し指を立てて、そう言ってみせる。
「うんそうそう。......じゃねわ!」
五十嵐先生は教卓を拳で叩き、そう怒鳴った。
一部から笑い声が聞こえた。
赤月君はよくそんなことを言えるよな。
その勇気に尊敬してしまう。
「いいか、赤月、明日は生徒朝会があるから、10分前には教室に来いよ」
「はい、分かりました」
赤月君が席に着席したのと同時に、チャイムが鳴り、朝の会が始まった。
***
俺は何もしないで、昼休みを迎えてしまった。
このままだとノルマがクリアできないまま終わってしまう。
なんとしても、女子と話しかけなければ。
もし、それができなかった場合、猫野に軽蔑されるだろう。
俺は深くため息をついた。
どうすればいいだろう。
後ろには青髪ロングの清楚がいる。
控えめに言って美人だ。
てか、このクラスには、顔面偏差値が高い人がかなり高い人が集まっているような気がする。
この子に話しかけてみようか。
話題は何にすればいいだろう。
......ん? ちょっと待てよ。
確か、一ノ瀬さんのバックに太宰友人帳のキャラクターが付いていたような気がする。
だから、アニメとかに詳しいかも......?
よし、その話題にしよう。
俺は後ろを振り向き、一ノ瀬さんのバックに目を向ける。
「だ、太宰友人帳好きなんだね。実は俺も結構好きで、原作も読んでいるんだ」
「あっ、はい。まさか、このクラスに太宰友人帳マニアがいるとは思いませんでした」
俺は最近のトレンドの漫画とラノベはほとんど読んでいるからな。
こういう時に役立つ。
「一ノ瀬さん、深夜アニメとか観るの?」
「アニメ自体が最近見れていないんですよ」
それは可哀想だな。
きっと、勉強のせいだろう。
でも、俺にとっては、アニメ>勉強だから、リラックスして人生を送れている。
まあ、テストの点数が悪いと、親にパソコンとスマホが没収されて、執筆もできなくて、アニメを観れないという、最悪のパターンを経験しているから、テスト期間中は、勉強に専念している。
「そういえば、柊君ってラノベ読むのですね」
「えっ、うん、読むよ。なんで知っているの?」
「席が後ろなので、挿絵とか見えてしまうのです」
やべえ、エッチな下着姿とかを見せしまったかもしれない。
でも、一ノ瀬さんはそういうのを気にしていない様子だ。
今後は周りに見られにように読むことにしよう。
「以後気をつけるよ」
「いえいえ、全然大丈夫ですよ。私もラノベをたまに読みますから」
青髪清楚キャラがラノベなどを読んでいるとは。
人生何が起こるか分からんな。
「では、私は皆さんのところに行きますので、この辺で失礼しますね」
そう言って、一ノ瀬さんは、猫野グループの方へと歩き去って行った。
猫野と目があった。
まあ、良かったわね。
みたいな顔をしている。
割と会話になっていたしな。
俺にしてはよく頑張ったと思う。
***
放課後になった。
ボランティア部の放課後活動は勿論ある。
そのため、今朝行った第2理科室に足を運ぶ。
教室の中には、猫野の姿はなかった。
彼女も忙しいのだろう。
俺は何故か理科室だけにある、背もたれがない椅子に座り、ネット小説を読むことにした。
暇があれば、ラノベ系を読むか、小説のプロットを考える。
小説のプロットに関しては、授業中に考えることが毎日のようにある。
そうしないと、今の連載ペースを維持することができないからだ。
2日に一話更新。
正直かなり辛い。
でも、俺の作品を待ちに待っている人がいると考えると、もっと早く執筆しなくては、となってしまう。
まあ、完結までもう少しの辛抱だ。
悔いのないようにしよう。
そんなことを考えていたら、猫野が来ていた。
「さあ、ボランティア部としての活動もするわよ」
「......えっ?」
俺は部活動の名前は、ただの飾り物かと思っていた......。
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