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12.剣技特訓

賢也は、剣十郎の元で四候闘剣術を学び始め、基礎の修行を3ヶ月行い、漸く剣術を学べることになった。


「さて、四候闘剣術は、技の数は少ない。剣技、奥義それぞれ4つずつ、計8種のみだ。基本は先ほど手合わせしたように、身体強化による攻守、そして、剣技、奥義での止めを差す。この流れとなる」


 竹刀を構えたまま剣十郎は話しを続けた。


「先ほどの手合わせで、剣技は3種、春、夏、冬の型を見せた。あと、秋の型がある。奥義も同じように春夏秋冬の型となっている。まずは、剣技からだな」

「はい!」


 剣十郎との手合わせで見た剣技は、遠い敵を斬る飛燕、三段突きの氷雨、そして意識を失ってしまい何が起きたのか分からなかった朧の3つ。賢也は、剣十郎に尋ねた。


「夏の型と冬の型は、何となくどのような技か分かったのですが、春の型はどのような技だったのですか?意識が飛んでしまったので分からないです」

「慌てるな。その春の型から教える。まずは、見ていろ」


 そう言うと、剣十郎は上段に身構える。


(そうだ。この上段からの攻撃を躱した後、意識が飛んだんだ)

「春の型・朧!」


 そう言うと竹刀を振り下ろす。振り切ったと思った瞬間、竹刀は上に跳ね上がった。


「これが朧だ。今は目で追えたようだな。斬り降ろしと斬り上げをほぼ同時に行う。普通の人間には、速すぎて斬り上げは見えていないだろう」

「なるほど。上段を躱した瞬間に、斬り上げを喰らってたんですね」

「そうだ。では、やってみろ」


 賢也は、先ほど見た剣十郎のように構える。


「春の型、朧!」


 振り下ろした後に斬り上げる。


「遅い!それでは斬りつけた後にただ斬り上げているだけだ。普通の人間にも太刀筋が見えるぞ」


 もう一度斬り降ろし、斬り上げを行う。しかし、先ほどと変わらず、斬り上げの速度が遅い。


「気の操作が大事だ。初撃は、攻撃力を上げるため、剣と腕に。振り降ろしの終わる直前に腕のみに。そして斬り上げは剣と腕に。流れるように滑らかに」

「はい。やってみます」


 再び身構える。気の流れを意識して、振り下ろす。タイミングを見計らい、振り下ろしきる前に腕に気を集め、一気に斬り上げる。シュバッ!斬り上げる時にこれまでにない空を裂く音が鳴った。


「剣速は問題無いな。だが、剣にまわす気が足りない。それでは剣が折れてしまうぞ」


 やはり剣技だけあって難しい。賢也は、斬り下ろし、斬り上げを何回も繰り返し、気の流れを体に覚え込ませるが、その日の内に修得は出来なかった。


 次の日、賢也は朧の修得に励んでいた時、ハンターライセンスに1通のメールが入っていた。

 それは武器開発局からの目でだった。


 『漸く、爪を使った剣の試作品が仕上がったため、確認してほしい』


 前に頼んでいた剣の試作品が出来たという連絡だった。とりあえず、秋田にいるためすぐには確認取れないことを返信すると、修練を続ける。


(ついに試作品とはいえ剣が出来た。これはますます頑張らないといけないな)


 自分の武器の仕上がりに気合いが入る。


「はぁっ!」


 斬り降ろし、斬り上げる一連の流れに気の操作をスムーズに行う。今の感覚か?繰り返し行う。そこに剣十郎が姿を現した。


「もう一度!」

「師匠、おはようございます」


 剣十郎に挨拶をすると、また同じように斬り降ろし、斬り上げた。ほぼ斬り降ろした瞬間に斬り上げが終わっている。剣にも十分に気が通っている。


「そうだ。それが朧だ。まさか2日で体得するとは。その感覚を忘れるな。それより、何かあったのか?いつもより生き生きとしているようだが」

「分かりますか?試作品ですが、私の頼んでいた剣が出来たという知らせが来まして、いつもより気合い十分になっていますよ」

「どのような剣なんだ?」

「怪物の爪を使った片刃の剣を作ってもらっています」

「変わった剣を頼んだんだな。まぁ、その剣を使えるように精進するんだ」

「はい。修練に励みます」


 そして、朧を使いこなせるように素振りを繰り返す。

 その日の夜、武器開発局からの返信が届いていた。


 『こちらも早く完成させるために、そちらに伺いたい』


 試作品の剣を賢也の元に届けてくれる事となり、その日を楽しみに待つ賢也だった。


 次の日、剣十郎は次の剣技、夏の型・飛燕を教える事とした。


「よし、賢也。今日からは次の剣技を教える。だが、朧の修練も忘れるなよ」

「はい!」

「次は夏の型・飛燕だ。飛燕はどのような技かは分かると言っていたな」

「はい。この間の手合わせで分かったのは、剣に溜めた気を遠くに放つ技だと思います」

「その通りだ。そして、放つ気によって、打撃、斬撃どちらでも出来る。お前に放ったのは打撃の方だ」

「打撃の時は、棒のイメージ、斬撃の時は、鋭利な刃物のイメージで作った気を纏わせる。まずは、打撃をやってみろ」

「はい!」


 賢也は、竹刀に気を纏わせ始めた。そして、剣を振る。が、纏わせた気は、竹刀から放たれることはなく、そのまま竹刀に纏ったままであった。


「飛ばせないな。思ったより難しいぞ」

「気の放出は更に難易度が上がるぞ。だが、これが出来ないとこの先の奥義の修得も出来ない。続けなさい」

「分かりました」

(まずは、気を放つ事から練習だな)


 賢也は、遠くに飛ばすより気を放つ事が出来るように練習することにした。

 竹刀は持たず、手に気を集める。この手に集めた気を地面に向かって放つ。しかし、集めた気はただその場で霧散するだけだった。


(うーん。何か違う)


 上手くいかない賢也を見ていた剣十郎は賢也に声をかける。


「なかなかいい練習だ。気を放出するには、体から離れても霧散しないように、凝縮させる必要がある。その凝縮した気を放つのだ。まずは、凝縮した気を自分の胸の前に集める練習からするといい」

「ありがとうございます。やってみます!」


 賢也は手のひら一点に野球のボールくらいの球をイメージして、気を練り上げる。そして、胸の前に手を合わせ、胸の前に練り上げた気が残るようにイメージしながら、少しずつ広げていく。手に練り上げた気の球が少しずつ手から離れていき、あと少しで宙に浮くと思った時、球は霧散した。


「ふぅっ」


 賢也は大きく深呼吸をする。


(簡単に出来る訳がないんだ。少しずつ出来るようになるんだ)


 そして、胸の前に手を合わせ再び気を練り上げ始めた。


 気の放出の修練を始め、1週間が経過した。漸く大気中に気を練り上げられるようになった。


「やっとここまで出来るようになったな。次はこれを飛ばせるかだ」


 自分の胸の前に練り上げた気の球を地面に向け放ってみる。

 上手く飛ばす事が出来た。


(よし、これなら!)


 竹刀に気を纏わせる。そのまま空を斬る。


「はっ」


 離れた的がドゴン!という音を立て、折れた。


「出来た!」


 続いて、隣の的に向け竹刀を振る。


「行けっ!」


 隣の的が真っ二つに切れた。

 打撃、斬撃共に放つ事が出来た。


「師匠、飛燕修得出来ました!」


 剣十郎の元に報告に行った時、剣十郎は客人を迎えていた。


「あ、龍崎さん。久しぶり」


 それは武器開発局の梶だった。


「剣の試作品持って来たよ。苦労したよ」

「ありがとうございます」


 賢也は、梶が持って来た二振りの試作品の剣を見せてもらう。


「こっちが一度溶かし、他の様々な金属と混ぜ合わせたダマスカス鋼になっている。こっちは、爪を火で炙り、背の金属と張り合わせ片刃に仕上げているよ」

「剣の切れ味は、爪そのものの方が切れるね。高度は、ダマスカス鋼の方が硬い。この爪を入れないダマスカス鋼も作ったけど、切れ味はこっちの方が良かったよ。この爪は本当に凄いよ!」


 興奮気味に賢也に説明をする。賢也は、それぞれの剣を持つと、素振りをしてみる。


「師匠、木人使っても良いですか?」

「構わんぞ」


 賢也は、木人の手をそれぞれ斬ってみた。


「重さは、ダマスカス鋼の方がしっくり来ますね。でも、やっぱり爪そのものの剣の方が切れ味が良くて良いです。これの重さをこっちのと同じに出来ますか?」

「Ok!じゃあ、重さの調整でこっちの剣を仕上げるよ」

「よろしくお願いします」

「では、これで失礼します」


 梶は、剣十郎に挨拶すると帰っていった。梶が帰った後、賢也は剣十郎に飛燕を修得出来た事を伝える。


「ふむ。これで剣技、奥義の基礎となる2つの型を修得したか。こんなに早く修得出来るとは思っていなかった。お前には才能があるのかもしれんな」

「今日は、朧、飛燕の反復をしなさい。明日からは、残り2つの剣技を教える。それが終われば奥義だ」

「はい!頑張ります」


 賢也は、使えるようになった剣技の反復練習を行うのだった。

ここまで読んでいただきありがとうございます。


剣技の数が少ないですが、少ない技でも賢也は強くなります


次回もよろしくお願いします

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