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チートすぎるんだけど!

いきなり異世界転移させられて、ねっとり系神官とギラギラした少女達から勢いで逃げ出した私。


もう少しこの世界について調べてから飛び出せばよかったと若干後悔もしたが、数日でこの世界に慣れてきた。


なんとこの世界は魔力や精霊などファンタジーな世界で、私は大量の魔力を持ち、精霊との交流も難なくできるという貴重な加護を持っていたのだ!



普通の人は精霊の姿をみることはできない。

高度の魔力と修行をつめば、姿をみることはできる人もいるようだ。

なので、精霊と交流できる私はとても稀有で楽しいらしく、出会うたびに話しかけてくる。



精霊たちがいろいろ教えてくれたおかげで、私には純度の高い魔力があること、そのため魔力をエネルギーとする魔物に好かれやすく協力を得やすいということを知った。



いわゆる転生チートというやつだろうか。



精霊は私が異世界から転移させられた存在であることがわかるようで、この世界についてもいろいろ教えてくれた。



まず、私が最初に出会った綺麗な人は創造主と呼ばれる人。

精霊たちは(ぬし)と呼んでいた。



召喚して数日である程度のことは思い出せた。

思い出せないこともあるけど、忘れたわけではないので、必要なときに思い出せるだろうと精霊からは言われた。


私は日本で生まれ育って大学を出て働いていた。

由緒正しい寺の跡取り娘として厳しく育てられたけど、母が亡くなり、父が後妻との間に異母弟という正式な跡取りができたため自由になったこと。


自分の生きるべき道がなくなり、どうしたものかと思いはあった。私を跡取り娘とすべく育ててくれた尊敬する祖父に申し訳ないと思いつつも、せっかく自由になったんだからと気持ちを切り替えて好きなように生きていくことにした。


まず、最新家電が備え付けられたマンションでひとり暮らしを始めた。

食洗機やロボット掃除機、洗濯乾燥機と家事がとても楽で最高だった。

いつの時代だよ、って感じで箒と塵取、雑巾がけでの掃除をする生活を思うと天国だった。


私は寺の跡取り娘として育てられて、入婿をとることが決まっていた。

相手は私ではなく家長が選ぶ。恋愛感情は関係なく、現代の自由恋愛とはかけ離れていた。



でも、それで構わなかった。男と結婚するなら誰でも構わない。



何を隠そう、私は男を好きになれない女だった。

そういう意味では自分に選択肢がない結構は楽だとも思っていた。


胸がときめくのはいつも同性だった。学校の美人な先生や先輩ばかり好きになった。

同性への一時的な憧れなのか恋愛感情だったのかは自分でもわからない。

どうせ好きな人とは結ばれないのは分かっていたので、思いを告げたことはない。


二十歳をとうに過ぎているのに、口づけさえしたことのない私こそある意味で純潔の乙女だった。



(・・・それで女神を選ぶなんて大役に選ばれちゃったのかな?)



幸いなことに元の世界に未練などもないから別にいいのだけれど。



むしろ、今の方が魔力やら精霊やらあって面白いし、いわゆる転生チートなのか創造主とやらがいっていた祝福なのかなんでもできる。



創造主から押し付けられた女神を導くやらなんやらはちょっとよくわからないし、面倒だけど。

それ以外はこの世界でもおひとり様を満喫している。

女神関連は放置してるけど、特に何も言われないし起きない。



生きる手段としては冒険ギルドに登録した。

精霊や魔力をつかって、割と高難易度の依頼も苦労なくクリアできるので、問題なく日々のお金を稼ぐことができた。


(今日も豊作だったな~。そろそろギルドに換金にいかないと!)



私は今日の収穫物を空間魔法で収納する。この魔法の使い方も精霊が教えてくれた。私には魔力もあり、精霊の祝福もあるから、イメージさえできればなんでもできるそうだ。


日常の家事も最新家電の動きをイメージしながらやってみたらさくっとできた。

めちゃくちゃ楽だ。

本当、異世界チートって最高!困ることがない。



でも、精霊としか話すことがないというのはちょっと寂しい。

精霊は気まぐれだし、お茶とか一緒に楽しめるわけでもないし。



(・・・ずっとこのままで本当にいいのかな。)



ほんの少しだけ浮かんだ考えには蓋をして、私はギルドに向かうのだった。


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