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第十三話です。(手抜きプロット)

試行錯誤、加筆修正を繰り返した結果、モチベーション、技術不足ゆえに異世界というジャンルを投げました。


この先の展開は最初に書き上げたプロトタイプになります。物語のオチは変わりませんが、細かな伏線などは回収しきれていません。また今までの物語から一部剥離している可能性があります。



 目を開ける。元の世界に戻った。

 慌てて僕とジェネは周囲を警戒する。『ケット・シー』は消えている。それどころかほかの三人はぐっすり野営地で眠っている始末だった。


「なん、だったんだ……?」


 思わずジェネに問いかける。ジェネもこの状況に困惑しているようだったが、しばらく思考を巡らせたあと、僕の問いに答える。


「……神獣種はまだわかっていないことが多すぎるから、これも何かの能力なのかもしれないわ」


 ジェネは、しばらく見張ってるわ、と言い放って、僕は釈然としないまま3人のいる寝床に戻るのだった。



 翌朝、3人に昨晩の出来事を覚えているか聞いてみたら、すっかり忘れてしまっているようだった。『ケット・シー』には忘却させる能力でもあるのだろうか。

 ジェネも怪訝そうに思っているようだったが、僕たちは再び『法都』へむかって出発した。


「アンチゃン、コノトンネルを抜ケタらスグニでモ『法都』ガ見エるゼエ?」

「。」

「そうね、きっと、感動、する、わ」


 3人に励まされながら、僕は足取りも軽やかに歩を進めていくのだった。



 そして薄暗いトンネルを進むと、出口が見えてくる。僕は子供のように走り出していた。トンネルを抜けるとそこには『法都』が見えた。


「あれが『法都』!?」

「そうよ。あんた子供みたいにはしゃぎすぎ」


 ジェネはあきれているようだったが、僕はそんなこと気にも留めなかった。


 『法都』は『神都』同様に街全体を城壁でおおわれていたが、工場のような近代的な建物がたくさん立ち並んでいて、僕がいた世界の工業地帯をそのまま街に変貌させたような近未来的な風景が広がっていた。あちこちから煙が立ちのぼっている。


「早くいこ!はやくはやく!」


 僕は絵にかいたようなファンタジーに幼児退行している。ダンとステラとコジロウが笑っている。ジェネは若干引いてしまっているが、僕はお構いなしだった。




 その勢いのおかげで僕たちは依頼をすっ飛ばして『法都』にたどり着いたのだった。検問所は鉄のような金属でできた大扉に子供くらいの小さなロボットが対応してくれた。近未来感がすごい。ロボットに身体検査をすみずみまでされるとようやく鉄の大扉が開く。


 そこに広がる景色は『神都』とは正反対だった。工業をメインに発展したためか、自動車のように車輪で走る不思議な乗り物が走っている。街は工場で埋め尽くされ、なんとも近未来的なSF映画を彷彿とさせる。


「ここが『法都』……」


 しかし人はいない。街を歩いているのは、ロボットとだけのようだ。


「サッそク案内シテやルヨ、アンちャン!」

「え、あ、ああ」


 ダンに肩を組まれながら僕は『法都』を練り歩く。

 街には住宅のような建物が少ないようだ。というよりも工場しかないようで、最初に思っていた、SF映画を見ているような高揚感は徐々に薄れ、違和感を少しずつ知覚し始めていた。


「あ、あれって……?」

「あレハ陬ス騾?蟾・蝣エダナあ!」

「え、なんだって?」


 ダンの活舌が一瞬悪くなったためかうまく聞き取れなかった。


「ほら、あ。れが、『法都』の逾樊ョソ、よ」


 ステラが指を指しているのは『法都』で一番大きい工場だった。


「とリアえズ、あそコニ向カウか!」

「・…・‥・・」


 ダンとコジロウは笑っている。そして僕たちはステラが指さしていた大きな工場へと足を運んだ。


 『法都』における『神殿』の役割をしているんだろうか。街の中心の工場は『神都』の『神殿』よりもは規模が大きかった。高さはさすがに低かったが、それでもなお、街の象徴にはなりうる迫力があった。ステラが言うには『法都』の半分以上の面積を有しているらしい。どこから歩いてもすぐに大工場に着くということだ。


「す、すげええ!!」


 もくもくと無数に伸びている煙突からはほ白煙が噴出し、外観は大きな歯車がむき出しになってぐるぐると作動している。


「これ!なかで何かやってるの!?」

「ンあ?あンチャん、気ニなンノかイ!ハいッテミルか!」

「うん!!」


入口まで機械仕掛けのようで、歯車が至る所で回転している。

ダンがそっと機構を作動させると大工場の大きな門扉が重々しく開かれる。


「こ、れは……?」


 眼前に広がる景色は異常そのものであった。大きな工場内では人のような生物がショーケースのようなものに、窮屈そうにひしめき合っている。いや詰め込まれている。それも一つだけではない。何段も、何列も、だ。その中で数台のロボットがショーケースの周りを周回し、用紙のようなものに何か記入しているようだ。


「どウダあ?アンチャん、こコガ豕暮?陬ス騾?蟾・蝣エダぜエ?」


 ダンが僕の背中を手で軽くたたきながら話している。しかし、ダンの言葉は耳に入らなかった。聞き取ることもできなかった。僕は急いで4人の表情を伺う。なんの異常も感じていないようだった。


おかしいのは僕の方なのか?


 ちがう。こんなのは間違っている。動物なのか、植物なのか、人間なのか、僕には把握できない。動物の頭を切って人の頭を取り付けたような生物、植物の花が顔から咲いている人間のようなものもいる。その逆もいる。からだすらないものもいる。首から手が生えそれを使って歩いている。

 すべてが異常だ。世に存在するすべての生物をミキサーに詰め込んで練り上げたような混沌。


「う゛……う゛え゛え゛っ゛!!」


 僕はその場にひざまづき、胃の内容物をすべて吐き出した。おかしい。異常だ。奇怪、狂気、異形。気味が悪いなんてものじゃない。


「オ、おイ!アんちャンどウシたンダ!?」

「大丈。夫!、?」

「‥・…・・」


 3人が僕の異常にすぐさま気づき、背中をさする。


「はあ……!はあはあ……!」


 息が、呼吸ができない。からだが酸素を取り込もうと、呼吸が荒くなっていく。しかし酸素が取り込めない。

 その異常すぎる光景を前にして過呼吸発作を起こし、意識が次第に遠のいていく。



「ちょっと!どうしちゃったのよ!ヨーイチ!」


 ジェネが僕のからだを強くゆすっている。

 その感覚だけが、そこから伝わる熱だけが、現実感という海に浮かんでいるように、霞む視界に映された光景と大きく剥離していた。


一応つづきます。

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