王都への道
僕の前をモルダが嬉しそうに飛びながら王都への道を案内してくれている。
僕は冒険者の格好をして、モルダは可愛らしいただの幼女に見えるように魔法をかけた。
モルダは僕の見た目が少し変わったので不思議そうにしていたが
『ディアン様は綺麗です〜!』
と嬉しそうだった。
僕は人間と比べると瞳の色や髪色が少し派手だから色を変えただけなんだけどね。
僕の髪色は金色で光のあたり具合で銀色にも見える。瞳は赤く、時折金帯びて綺麗だとモルダが熱弁していた。
今は黒髪に黒い瞳にしている。まぁ、この世界では珍しいが僕が気に入っているからこの色にした。珍しいが派手ではないし良いだろう。モルダには背中の小さな羽が見えないようにした。だから飛んでたらヤバイけど飛んでなかったら普通の幼女だ。いや、可愛らしい幼女だな。うんうん、と頷いているとかモルダは不思議そうに首を傾げた。
『ディアン様?』
「何でもないよ」
そういうとモルダはニコリと微笑んで歌を歌いはじめた。
『ラララ〜〜♪ ララ~♪』
妖精の歌は邪悪なものを浄化する効果や癒やす効果がある。それは人間も知っていて、それを悪用しようとする人間がいる。勿論この世界では精霊や妖精は崇められている存在なので捕まえてはいけない。そんな輩がいたら即死刑なのだ。しかし妖精を捕まえて裏ルートで金持ちに売ったりしようとする輩はいる。だから妖精はほとんど人の前に現れないし心を許した人にしか歌を歌わない。
それから僕達はモルダの歌に耳を傾けながら、一緒に歌いながら王都への道を歩いて行った。