家出したよ
「はぁ、退屈…」
と、僕は花々が咲き乱れる森の中で呟いた。
僕は精霊王の息子、ディアンだ。
精霊の国とこの花々が咲き乱れる森は繋がっている。しかし、精霊しか精霊の国へは行けない。こことは次元が違うのだ。
そんな所で僕が何をしているのか?
精霊の国が平和で刺激的なことがなくてつまらないから違う世界へ遊びに来たってだけだ。本当に精霊の国は退屈過ぎるんだ。人のように嫉妬や憎しみ、そういった感情の少ない精霊のあつまった世界は平和そのものだ、花々が咲き乱れ、動物たちと精霊だけの国。
あそこの小鳥の巣で小鳥が生まれた。と言った話を僕は300年聞いてきた…。流石に退屈過ぎるだろうが!!!! と、僕はついに家出したのだ。まぁ、既に父上にはバレているだろうけど、連れ戻しに来ないということは今はまだ自由にしていいということだろう! …と思っておこう。
だって退屈なんだ!!
…と来てみたはいいものの。ここは、確か精霊や妖精のちからを頼りにして魔法を使う世界のようだ。
ここは自然が多くて精霊や妖精の好みそうなところだ。
今も僕に気づいた小さな妖精が嬉しそうに踊ったり歌ったり集まってきた。
妖精は、精霊の子供のようなものだと思ってくれたらいい。
精霊の力が体から漏れると妖精が生まれる。そして、その妖精は力を蓄えると精霊になれる。
僕はそのような精霊とは違い、精霊と精霊が愛し合い生まれた。そのため生まれた時から精霊だ。精霊と精霊が愛し合い混ざり合った力で精霊が生まれる。精霊から漏れて生まれた者とは性質が違うのだ、それに精霊王と精霊の間に生まれた僕はその精霊よりも少し力が高く、格も高い。精霊にも格があるのだ。なかなか精霊王は子供ができづらいため今のところ子供は僕だけだ。
僕のような精霊王の子は精霊から愛子と呼ばれ、妖精からは愛子様と呼ばれる。