18 告白
男の娘かよ!
そうか、女神が言っていたのはこれだったのか。
対象範囲が女性から女性っぽいものにまで広がったんだ。
待てよ、これ、さらに範囲が伸びて人間すべてとかになったら、大変なことになるぞ……。
「ボク、古着屋に生まれたせいで、いろんな服を着てたから、女の子の格好するのも好きだったんですけど……こうして男の人を好きになったのははじめてです……」
これはダメだ。
「悪い! 君の性癖は尊重するけど俺には無理だ!」
走って試着中のまま出ていった。
店の中ではエリザが物色していた。
「あれ、なんで急いでるんですか?」
「逃げるぞ! 男の娘に【チャーム】が効いた!」
「えええ! 節操ない能力ですね!」
「俺もそう思う!」
◇
そのあと、俺は強引に昼寝した。
女神が出てくるかもしれないと思ったからだ。
女神はちゃんと出てきた。
「あの…………その……すいませんでした……」
「起こったものはしょうがないですけど、この能力ってどうなるんですか……?」
「おそらく【チャーム】は女子っぽい見た目の人を超えて、人間全部に効くようになりそうです……」
地獄か。
「もういい! 今のままでいいから【チャーム】を停止してくれ!」
「はい、たしかに【チャーム】の効力が生まれなくする方法はなくはないです……」
そのあと、女神は俺に方法を言った。
◇
「あっ、目が覚めましたね。おはようございます」
目を開けると、エリザの顔があった。
ちょっと、その顔を見るのが照れくさい。
「女神に対処法を聞いた……。【チャーム】は悪化するけど、それ自体を止める方法はある……」
「それはいいですね。どうするんですか?」
俺はごくりと唾をのんだ。
エリザの目をそらしたけど、やっぱり、もう一度エリザのほうに目を向ける。
「一線を……超えると【チャーム】は止まるらしい……」
しばらく、俺たちは黙って見つめあった。
エリザがゆっくりと口を開いた。
「それを私に言うというのは何か特別な意味があるんですか?」
「魂の懸念はあるけど……お前にしようと思う……。り、理由はあるぞ……」
理由があるのは本当だ。
「だって、お前以外の人間には【チャーム】の影響があるかもしれないからな……。そういう子と相手をするのは、その……よくない気がする……。ハーレムを望んだ俺が言うのもおかしいかもしれないけど……」
毎日顔を合わせてるのになんでこんなに恥ずかしいんだ。
「でも、お前だったら、もともと俺が好きだったわけだし、【チャーム】も効かないし、いいだろ……?」
エリザはふふふっとやさしく笑った。
「いいですよ、アルトさん」