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10 お花見ハーレム

文学フリマに出ていた関係で更新が遅れました! すいません!

 森の精霊ファルシェンナのおかげで体力チートができた報告を大魔導士ルーティアに報告しにいった。お礼も兼ねてだ。


「そうなの。あなた、本当にすごいのね」

 失敗するだろうと思っていたのだろうか、ルーティアに驚かれた。


 ちなみに今回は付き添いの冒険者ということで、エリザも連れてきた。


「ところで、そっちの女性はもしかして恋人?」


「そうです」とエリザが即答したので、

「違います」と俺もすぐに対応した。


「そうなんだ。ねえ、ここからニンナの街まで大変でしょう? 今日は泊まっていかない?」


 すごく露骨に誘われてるな……。


「アルトさん、私はいいですよ。私はルールの範囲で行動するだけですから」


 エリザがにっこりと笑顔で言った。


 つまり、肉体関係があったら、その女を殺すぞということだ……。


「すいません、なんとか日が暮れる頃に帰れそうなんで、これにて……」

 呪いって形で説明してたはずだけど、ルーティアが襲ってきそうなので帰ることにした。


 帰り、エリザに言われた。

 なお、馬が一つしかないので、またエリザはハチの姿をしている。


「ずっとアルトさんが女性と消化不良なままなのも悪い気がしてきました。そこで、私のルールをゆるめようと思います」


 マジか。つまり、女の子と一線を超えてもいいってことか!?


「私と肉体関係を結んだあとなら、いくらでも側室を作ってけっこうということにします。それなら私が正室ということになりますから」


「そういうことか……」


「言っておきますけど、アルトさんのためを思って言ってることですからね。だって、一度や二度の関係じゃ、どんな悪魔でもその人の魂を自由に操るなんてできませんよ。限りなくローリスクなんですって」


 エリザが善意で言ってくれてることはわかるが――


「こういうのはギャンブルと同じだ。一回だけって思っても、ずぶずぶ行くからな……」


「本当に鉄の意志を持ってますね」


「だって、エリザがかわいすぎるんだよ……」


 一回で終わりにできる自信がまったくない。



 ――翌朝。


『おはようございます、女神です。本日はぷちハーレムデイになりそうです。あんまり、えっちいことにはならないと思いますが、満喫してくださいね!』


「朝起きたら女神にそんなことを言われた」


 そのことを部屋でエリザに話した。

 なぜか、今日は冒険者の格好じゃなくて、ドレス姿だった。


「へえ、ハーレムですか。ということは、イベントがあるんでしょうね」


「ところで、お前、なんで服が変わってるんだ?」


「服も変えられますから。なんか、今日はこういうほうがいい気がしたんです」


 ごはんを食べに宿の一階に降りると、そこにミルカ姫の使いの人がやってきた。


「泉のそばのマスタールザクラの木が満開なので、今日、お花見をしようとミルカ姫様はお考えなのですが、よろしければご参加いただけませんか?」


「ああ、うん、暇だし問題ないよ。じゃあ、昼前ぐらいに行きます」

「ありがとうございます! 姫様もお喜びかと!」


 使いの人もほっとしたようで、すぐに帰っていった。


 それで昼頃に泉のところにエリザと一緒に行く。ミルカ姫の水浴びをのぞいてしまったあの場所だ。


 たしかにサクラがきれいだ。

 日本のソメイヨシノとかとは色が違って、もっと赤が強いけど。


 でも、それ以上にミルカ姫がいつも以上に豪華なドレス姿で、目を引いた。

 あと、女騎士のマリシャも背中の見える青いドレスを着ていた。


「あっ、アルトさん、いらしてくれたんですね」

「おっ……やっと来たのだな……」


 姫とマリシャがこちらに声をかけてくる。


「イベントごとは好きなんで来ますよ。でも、なんか、俺だけ普段着ですいません……。ドレスコードとかあったのかな……」


 エリザもドレス姿なので俺だけが浮いている。


「アルトさんはいつもどおりでいいんですよ」

「そうだぞ、冒険者が冒険者の姿をして何も問題はない」


 二人にフォローされつつ、座る。


「アルトさん、そこが空いてますよ~」

 と、エリザに言われて、姫とマリシャの間に座った。


「うん、両手に花ですね~」


 エリザが調子のいいことを言う。

 でも、たしかに二人に挟まれて、ちょっとしたハーレム状態なのかもしれない。


「アルトさん、お菓子を作ってきたんですが、召し上がります?」

 恥ずかしげに姫がカゴを出してきた。


「はい、喜んで」


 シフォンケーキだ。そこに白いクリームがちょっとついている。

 ふわふわでおいしい。


「うん! ちょうどいい甘さでいけます!」


「それはよかったです! 上手くできたか不安で……」


「おっ、お前、クリームがほっぺたについてるぞ」


 と、いきなりマリシャが下で俺の頬を舐めた。

 ちょっと、びくっとした。


「うん……これでとれた……」

「あ、ありがとな……」


 マリシャ、思ったより積極的だな……。


「マリシャ、無作法ですよ」

 姫がちょっと怒っている。

「すいません、姫、冒険者ゆえ粗雑なもので」


 一応、謝ってはいるが、どことなくマリシャと姫の間に火花が見えるような……。


 そこに馬がやってきて、止まった。

 馬には大魔導士ルーティアが乗っていた。

 

「早馬で花見の知らせを聞いてやってきたわ」


 ルーティアも黒のドレス姿だ。また、脚にスリットが入っていて、セクシーな印象を与える。


「じゃあ、私はアルト君の前に座ろうかしら」


「それはいいんですけど、あの、やけに胸元強調してきてませんか……?」

 このドレス、けっこう胸元開いてるんだよな……。


「そんなことないわよ。偶然よ」


「うんうん、いいですね~。ハーレムですね~」


 エリザはちょっと離れたところで楽しそうだ。

 ハーレム自体は悪魔としても望むところらしい。


「ああ、そうだ、あの精霊も来るかしら」

 牛の骨をルーティアは泉に投げ入れた。


 すると泉が発光して精霊ファルシェンナが出てきた。


「なんでこんなに女がいるのよ……」


 ちょっと精霊は寂しそうだった。

 そこは花見だからしょうがないだろ。


「まあ、せっかくだし、私も寄らせてもらうわ……」


 ファルシェンナは俺の真後ろに来た。

 そして背中にしがみつく。


「ここぐらいしか空いてないから……。それに男と顔を合わせるの恥ずかしいし……」

「これはこれで恥ずかしいけど……」


 これはまさしくハーレムだ。

 俺の周辺の女性人口密度がこれまでの人生で最も高くなっている!


「フルーツもありますよ、アルトさん」

 姫がフォークに切ったリンゴみたいなのを突き刺して、俺の口のほうに持ってくる。


「はい……あ、あ~んして……ください……」

 こういうこと言うのは姫もちょっと恥ずかしいらしい。


「こ、こうですかね……」

 俺が口を開けたところにリンゴが入ってくる。


 前を見ると、ルーティアの胸が見えそうなドレスがある。


 本当にハーレム最高!


 しかし、そこにまた別の早馬がやってきた。

 男の兵士が乗っている。


「大変です、姫様! 魔族が攻めてきました! 奇襲のようです!」

 

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