プロローグ
新連載開始しました! よろしくお願いします!
火事に巻き込まれて死んだ。
なので、女神のいる空間で、転生先を待っている。
そこまではいい。
転生する経験ないけど、輪廻転生って概念もあるぐらいだし、何かに生まれ変わるのだろう。
問題は――
俺以外の全員がらぶらぶカップルばっかりだということ。
しかも見た感じ、どいつもこいつもけっこう若い。
ほほえましい老年カップルとかはないないので、普通にうらやましい。
ひどいのになると、人目をはばからずキスしてる連中までいる。
もしかして天国なのか、ここ?
でも、俺にはお相手いないしな……。
そこに女神様が登場した。
「はい、皆さん、お疲れ様です。ここにいらっしゃるのはカップルだったにもかかわらず若くして一緒に死んでしまった方たちです。あまりにも可哀想なので、カップル設定で転生させたいと思います!」
歓声が上がる。
そりゃ、カップルにとったら最高だもんな。
でも、俺は納得できない。
「すいません」と挙手する。
「はい、そこの方。あれ……お相手の方は?」
「俺、30歳までずっと非モテで火事で死んだんです」
「あれ、ということは彼女さんは?」
「いるわけないですよ。彼女いない歴イコール年齢ですけど」
女神がすごく青い顔をした。
「どういうことですか!? ここには男女で死んだ場合にしか来ないはずですよ!」
「そんなこと言われても実際、ここに来てるんだけど」
――と、俺の近くをハチが飛んでいた。
そういえば、ここ数日、ハチが俺の近くをやたら飛んでたんだ。
迷惑だと思ったけど、刺されるのも怖いので手が出せないでいた。
「あっ、どうやらそのハチがメスで一緒に火事で死んだので、ここに来ちゃったようです」
「こんなの、絶対にカップルとは言わない!!!!!!!!!!」
カップルの概念を拡大解釈しすぎだ。
周囲のカップルたちが、
「かわいそうに」
「不幸な人ね」
と同情の声を伝えてくる。
やめろ! 同情されるのはそれはそれでムカつくんだよ!
「すいません、あまりにも悲惨なので、あなたには容姿と魅力をMAXで転生させましょう」
「つまり、すごいイケメンで転生できるってこと?」
「そうです。とはいえ、30年間非モテの人だとそれだけでは不安かもしれませんね」
この女神、失礼だな。
「常時発動魔法【チャーム】もあげます」
「それ、どう使えばいいんだ?」
「異性の目を見てください。それだけで相手は惚れます」
「マジかよ! すごすぎる!」
「ただ、こんなサービスをして転生させたことはないので、やりすぎによる不都合が生じるかもしれませんが、まあ、非モテで死ぬよりは確実にマシでしょうから、別にいいでしょう」
だから、女神、失礼なんだよ。
「では、転生しちゃってください!」
俺の意識が急に薄れていった。
最後に変な文字列が頭に浮かんだ。
『どうも、女神です。サポートのため、あなたの脳内に文字を送ります』
すごいな、いたれりつくせりだ。
『その日、誰にフラグを立てられるかお伝えしますので、それを参考にしてください。非モテの人って、女性にアクションを起こすタイミングがわからないかと思いますし、こちらで知らせます』
最後にこんな文字列が出てきた。
『本日の恋人候補! ファルト伯爵の息女、ミルカ姫』
次話はかなり早目(できれば今日中)に更新します。