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失恋 幽霊

作者: 鹿沼部直作

夜、目が覚めるとそこには髪の長い女が俺を見下ろしていた。

テレビや映画だったならば隣の部屋に聞こえるくらい叫ぶ出すのだろうが、人間と言うのは本当に驚くときは言葉を失ってしまうみたいだ。

おいおいおいおい、ここは確か事故物件ではないと聞いたぞ。どうなってんだ不動産屋。訴えるぞ本当に。

さて、どうしようかこの状況。普通だったらそのまま気絶してしまい起きたら朝でしたってパターンなのだが・・・・・・。

どうやら俺の脳は気絶はしたくないと拒否したみたいだ、気が利かないなダメ脳め。そんなだから昨日、彼女にフラレたんだぞ。

ずっと目を閉じてやり過ごしてみようか? そうすればとりあえずは目の前の恐怖を避けることができるし、このまま目を瞑っていれば眠くなって寝れるかもしれないしな。

やってみて損はないだろうと思い俺は早速目を閉じてみる。暗い世界がより一層に暗くなる。

・・・うむ、ダメだな。さっきから5分くらいたっているが、まったく眠くならんな。これはあれか? 幽霊の持つ謎の力ってやつか?

それは困るな。こっちも明日も仕事があるんだよ。しかも大事なプレゼンがあるんだよ。寝かしてくれよ。

正直、ただ目を瞑っているってのも辛いもんだな。眠くもならんからじれったくって思わず開けたくなってきたぜ。

だけどこれあれだろ? 俺が目を開けると俺の目と鼻の先まで顔が近づいているパターンだろ? わかってんだよ俺は。ホラー映画なら子どもの頃から見まくってたからな。

うむ、そう考えると何か試したくなるな。ホラー映画の定番が当てはまるかどうかを。

でも本当にあったらあったで怖いしな~。でもこのまま眠れないもやだなぁ~。どうしようどうしようやだなぁ~怖いな~やだなぁ~怖いな~。

しばしの間、長考をしてみる。その間に眠れるかと僅かな希望に少し期待してみたが、睡魔くんは特急つばめに乗っていずこへと去ってしまっていた。

どうやら腹をくくる時が来たみたいだな。あまりくくりたくなかったけどさ。

ようし、開けるぞ~開けるぞ~。我ながらヤバイ状況だけど目開けちゃうぞ~。

ではいざ開眼! 活目して見よ、この魂。

目を開くとそこにはいつもの見慣れた天井だけしか写っていなかった。

顔だで辺りを見回してみる・・・・・・女の姿はおろか、虫の一匹すら見当たらなかった。

やはり気のせい? 夢? 幻覚? 狐狸に化かされた? でなければ気づかないうちにヤバイ薬でも飲まされたのか俺は?

酷い肩透かしを食らってしまったが、予測通りにならなくてホッとしている自分がいる。だって本当は消えててくれと何度も祈ったくらいだ。いるかどうかわからない神様にだが。

でも願いを叶えてくれたんですね。ありがとう神様、今度初詣に行くときは奮発して5円から10円に値上げしておきますぜ。

「ふぅ」

ホッと一息ついた所で一つ催してきたのでトイレに向かいドアを開ける。

さっきと同じ女が立っていた。

「そうきたか~」

俺はそっとドアを閉じた。





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