ふたつの中国――内戦と革命の夜明け
第一章:「戦争が終わっても、平和じゃなかった」
ひとり:「あの、第二次世界大戦で日本が降伏したんだから、中国も平和になったんじゃ……」
リョウ:「ところがどっこい、すぐに“内戦”が始まった。国民党(蒋介石)と共産党(毛沢東)の対立が激化したんだよ。」
千束:「もともとこの2つは、“日本を倒すためだけ”に一時共闘してただけ。敵がいなくなったら……次はお互いが“敵”になるのよ。」
圭介:「国民党は政府軍を率いてたけど、腐敗と経済危機で信頼を失ってた。一方の共産党は、“農民に土地を”“不平等な税を廃止”とか言って、農村で支持を拡大した。」
夏美:「農村の人たちは、土地もなくて飢えてた。共産党は、彼らに“明日”を約束したのよ。“お腹が満たされる”という希望を。
第二章:「国共内戦――革命と敗走の軌跡」
ひとり:「それで……結局どっちが勝ったんですか……?」
リョウ:「結果から言うと、共産党が勝った。国民党は台湾に逃れて“中華民国”を維持したけど、大陸全体は毛沢東の“中華人民共和国”になった。」
千束:「あの勝利の裏には、ゲリラ戦・宣伝戦・農民との連携……もう、ありとあらゆる泥臭い戦いがあったのよ。山の中でゲリラ育成とか、ほんと映画みたいな展開。」
圭介:「国際的には、アメリカは国民党を支援。ソ連は共産党を支援。ただ、冷戦構造の中で、**“どちらを正統な中国と認めるか”**という外交戦が続くことになる。」
夏美:「そして台湾に逃れた国民党は、“我こそが本物の中国政府だ”って言い続けるの。でもね……その間、たくさんの人たちが“国家の名前”だけで、切り捨てられていったのよ……
第三章:「蔡英文というリーダー――対立と希望の境界線」
ひとり:「あの、ツァイ…エイ…ぶんさん? その人ってすごいんですか?」
リョウ(頷きながら):「蔡英文。法学博士で英語ペラペラ。理知的で国際派。2016年、女性として初の総統に。支持基盤は若者と都市部。」
千束:「彼女は“台湾は台湾だ”ってはっきり言うの。中国に媚びない、でも挑発もしない。ギリギリの綱渡りよ。私は、彼女みたいな人を“戦う人”だって思う。」
圭介:「2020年には過去最多得票で再選。背景には香港デモの影響が大きい。“香港が飲み込まれたなら、次は台湾か”って不安が広がってた。」
夏美:「蔡さんの演説で、“台湾は、恐れずに、自分の道を歩みます”って言葉があったの。あれで泣いた若者、たくさんいたのよ。
最終章:「ふたつの中国、その後へ」
後藤ひとり:
「歴史って、教科書の外に、すごくたくさんの“涙”があるんですね……」
山田リョウ:
「どっちが正しかったかより、“どうなったか”を見るのが歴史の基本。でも、“どうすればよかったか”を考えるのが、私たちの仕事。」
錦木千束:
「戦争も革命も、人を巻き込む。でも、それを決めてるのはいつも、“権力を持った誰か”なのよ。」
須賀圭介:
「国際政治は“勝った側の記録”で成り立つ。でもその記録の外に、“語られなかった真実”がある。」
夏美:
「国家の名前は変わっても、人の命は一つしかないのにね……