空と壁と、投げられた石』――ガザ紛争をめぐる物
第一章:「ガザとは、どんな場所か」
ひとり(ガザ地図を見つめながら):「こ、この小さなピンクのところが“ガザ”……?すごく……小さい……」
リョウ(冷静に):「縦40km、横10km。海に面した狭い土地だよ。人口は200万人。東京23区に近い密度で、しかもほとんどが若者。」
千束(眉をひそめて):「でもね、空も海も、国境も、全部イスラエルに囲まれてる。出口がないの。“閉じ込められた場所”なのよ。」
圭介(地図を指しながら):「空爆を受けたら逃げ場がない。しかもハマスのミサイル拠点は市街地に混在していて、イスラエル軍の攻撃は必然的に住宅地を巻き込む。」
夏美(静かに):「病院も、学校も、モスクも、標的にされたことがある。そこに住むのは、ただの“家族”よ。未来を信じて育ってる子どもたち。
第二章:「ハマスとは何者か?」
ひとり(おそるおそる):「“ハマス”って……テロ組織なんですか?」
リョウ:「うーん、定義次第だね。アメリカやEUは“テロ組織”と認定してるけど、ガザでは2006年の民主的選挙で勝利して政権を握った存在だよ。」
千束:「要するに、政治と軍事を一体化させた組織。政治部門と“軍事部門(カッサーム旅団)”があって、ロケット弾を撃ち込んでるのは後者。」
圭介:「ハマスは“抵抗”を正当化する論理を持ってる。イスラエルの占領に対する聖戦として、攻撃を続けてる。」
夏美:「でも……その抵抗で苦しむのは、ガザの一般市民なのよ。停電、医療崩壊、生活物資の欠乏……大人も子どもも、普通の暮らしすらできていない。
第三章:「報復の連鎖――空からの攻撃と地下からの抗戦」
ひとり:「なんでミサイル撃ったり撃ち返したり、ずっと続いてるんですか……?いつ終わるの?」
リョウ(淡々と):「ハマスがロケット弾を撃つ。イスラエルは空爆で報復する。そしたら、また撃ち返す。感情のフラクタルみたいなもんだ。」
千束(真剣に):「2021年5月も、2023年も、2024年も、同じ構図よ。イスラエルには“アイアンドーム”って迎撃システムがあるけど、ガザには避難所がないの。」
圭介:「イスラエルは地下トンネル“ガザメトロ”をハマスの軍事拠点として爆撃するが、その上に人が住んでる。軍事と民間の境界が曖昧なんだ。」
夏美(感情を抑えながら):「でも、それで命を落とすのは、大抵“誰でもない市民”なの。名前も年齢も、ニュースには出ない。壊れた家も、“数字”の中に埋もれていくの。
第四章:「プロパガンダ戦争――誰の真実を信じる?」
ひとり:「テレビやSNSで見る“映像”って……信じていいんですか?」
リョウ:「答えは“No”。情報は武器にもなる。フェイク、切り取り、タイミング操作……戦場じゃなくても戦いは起きる。」
圭介(記者目線で):「映像は“何を見せるか”だけじゃなく、“何を見せないか”でも操作できる。例えば、子どもが泣く映像が流れると、一瞬で印象が変わる。」
千束:「でも、兵士の死も、住民の叫びも、爆撃の音も――全部“現実”なのよ。演出じゃない。誰かの人生が、そこで終わってるの。」
夏美:「だから私たちは“立場”じゃなく、“人”を見るべきなのよ。どこに生まれたかだけで、味方とか敵とか、決めちゃだめ。
最終章:「キャラたちの一言総括」
後藤ひとり:
「私、ガザがどこにあるかも知らなかった……でも、同じ空を見てる人が、閉じ込められてるなんて……つらいです……」
山田リョウ:
「戦争は、正義で裁けるものじゃない。理屈が通らない感情が、現実を壊す。それを知ることが、第一歩だよ。」
錦木千束:
「撃たれたから撃ち返す。その“理由”にどれだけ命が巻き込まれたか、みんな目を背けちゃダメ。」
須賀圭介:
「構造的暴力は、報道では伝えきれない。だけど、伝えなきゃ終わらない。誰かが伝えるしかないんだ。」
夏美:
「憎しみも、祈りも、叫びも……全部、どこかの家族の言葉。私たちはそれを、“戦争”って言葉一つでまとめてはいけないの。