パレスチナの丘の上で――彼らはなぜ争ったのか
第一章:「帰る場所がなかった――シオニズムの始まり」
ひとり(椅子に小さく座りながら):「シオニズム……って、“しお味”の仲間じゃないんですか?」
リョウ(ため息混じりに):「それ、ポテチ。……“シオニズム”ってのは、ユダヤ人の民族国家をパレスチナに建てようって運動だよ。差別されて逃げ場を失った人たちが、“帰るべき約束の地”を夢見たんだ。」
千束(勢いよく):「ヨーロッパ各地でユダヤ人がひどい目にあってたから、もう自分たちの国がなきゃダメだって思ったのよ! “シオンの丘”=エルサレムを目指してね!」
圭介(淡々と):「現実的に見て、それはイギリスがパレスチナを委任統治してた頃に利用された。“バルフォア宣言”でね、ユダヤ人国家設立を『支援』すると言いながら、アラブ側にも別の約束をしてた。つまり二枚舌。」
夏美(少し顔を曇らせて):「でも、その土地には、すでにアラブ人が住んでたの。生活も、文化も、墓も、そこにあったのよ。誰も『追い出される未来』なんて望んでなかったはず…
第二章:「分けられた国、燃えた土地――1947年の国連分割案」
ひとり(顔をこわばらせて):「え、えっ? 国を分けるって、まさか“ナイフでざっくり”みたいな…?」
リョウ(地図を指しながら):「だいたい合ってる。国連が出した“パレスチナ分割案”では、ユダヤ人が人口の1/3しかいないのに、**土地の55%**をもらった。そりゃアラブ人はキレるだろ。」
千束(怒りを含んだ声で):「案の定、翌年1948年にイスラエルが建国を宣言すると、第一次中東戦争が起きたのよ! アラブ諸国も巻き込んで、地獄みたいな戦争に…!」
圭介(少し沈黙してから):「戦争は常に“勝った側”が現実を作る。結果、イスラエルは国際的に承認され、逆に70万人以上のパレスチナ人が家を追われた。」
夏美(小さな声で):「ナクバ。アラビア語で“破局”って意味…。彼らは今でも、自分の村の鍵を持ち続けてるのよ。『いつか帰れる』って信じて。
第三章:「6日間の戦火、そして占領地――1967年・第三次中東戦争」
ひとり(震える声):「ええっ!? “6日”ってそんなに短いのに、また戦争!?」
リョウ(うんざり気味に):「第三次中東戦争。1967年、たった6日でイスラエルはシナイ半島、ゴラン高原、ヨルダン川西岸、ガザ地区を一気に取った。」
千束(戦術を思い出すように):「イスラエルは事前に敵の空軍基地を一斉に叩いて、開戦と同時に空優を取ったの。完璧な奇襲よ。」
圭介(やや苦々しく):「結果として、“占領地”という火種を抱えることになった。イスラエルは防衛を理由に撤退しない。でも国際社会は“違法占拠”だと非難する。」
夏美(感情が高まり):「そこに住んでいた人たちは、壁を築かれ、検問を越えないと病院にも行けない生活に…。地図のピンク色、あれ全部、もとは誰かの“ふるさと”だったのよ…
第四章:キャラの総括モノローグ
後藤ひとり:
「なんか…どっちが悪いとか、そういう話じゃないんだね…。怖いよ、希望って、戦争に変わっちゃうこともあるんだ…」
山田リョウ:
「歴史は、感情よりも“構造”で動いてる。理解するのは苦しいけど、だからこそ無関心ではいられない。」
錦木千束:
「正義を語る者が、銃を握る。信じたい気持ちはあるけど、現場で見るのは“犠牲”ばかりなんだよね。」
須賀圭介:
「何かを守るために、誰かを排除する。そんな構造がある限り、戦争は“終わったこと”にはならない。」
夏美:
「一人ひとりの物語を無視したまま、“国家”なんて作っちゃいけない。そうじゃなきゃ、また同じ悲劇が繰り返される。