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34 ローレンスの執務室

小さなトゲトゲのような形をしたどんぐりを摘む。

「妖精か」

と呟きながら口角が上がる。

転がしてもあまり転がらないどんぐりは歪で、ローレンスは自分自身のように感じた。でもそれは、嫌ではなく、不思議だがワクワクするというか、気持ちが上がるような嬉しさがある。


不思議と最初に会った時から、自然と自分の気持ちを吐露していた。彼女の言う言葉は、すんなり受け入れられる。

サマーパーティーでは、やっと終わったのかと安堵したのと自分の愚かさを恥じて、ホールに居られず庭園に出た。

彼女と会ったのは、いつも偶々だな、久しぶりに楽しかった。顔を上げて踊っただけなのに、あの風に乗る音楽も庭園の花々の匂いや彩も、嬉しかった。あの時の花の匂いもだんだんと記憶が薄れていく。

彼女からもらったお土産は、最高だった。どんぐりをくれる者などいない。これを埋めたらどんな木が生えてくるのか想像するだけで楽しい。

あの少女、ストンズ嬢に御礼をした方がいいかなと思っていると横で作業をしている乳兄弟のオーウェンが

「おい、遊ぶな、作業しろ、手止まっているぞ」

と脅してくる。

「休憩も必要だと思うのだが」

と言うと、


少し間をあけて

「お前はずっと休憩していただろう。こちらは人手不足なのに隣国の処理やら通常の業務各種取り揃っています。本気で人、側近を増やさない気か?」

「あんな事件になったんだ、してしまった責任は取るつもりだし、臣下になる俺には、側近はいらない。それならアルファードに優秀な者達をつけてやればいい」

「どんぐり見ながら何言ってんだか。あの側近達だって王太子として、国王が政治勢力の均等を図るための人員じゃなかったか。彼奴らが、あの子爵令嬢に惑わされ、お前に毎日頼み込んできたんじゃないか。昼飯も側近共が生徒会という隠れ蓑を使ってあの令嬢と過ごしたいがため上手く利用された。お茶やクッキーに毎日令嬢に盛られていたんだろ」

「利用される事が甘かったし、一番の原因だ。きちんと状況が判断出来なかった」

「側近が毒見役として機能してなかった」


「今更だよ」

「いいのか、本当に?」

「国王にも伝えてある」

「ふ〜、肩の荷が降りた顔しやがって」

「髪を切ったぐらいから風を感じるというかスッキリしたというか。囚われていたものがなくなって何でもしていいんじゃないかとおもえた」

「短くなったもんな、死にそうだったしなあの頃、誰に言われた?」

「いや、別に」

と何となく言わなかった。

「当ててやろう、サマーパーティーで庭園で踊った令嬢」

オーウェンは口角を上げ悪巧みをしそうな顔で、こちらを伺う。

「関係ない」

一言言うと、

「そのどんぐりもストンズ嬢だろう」

「何でも知ってるな、報告済みか」

と皮肉ぽく言うと、肩をすぼめて

「お前からは、何も聞いてない。ただ、贈り物なんてするなよ。お前の婚約者は、ツァーリ公爵令嬢だ。お前の臣下の件も含めて、話し合うんだろう。何もしていないから黙っていたが、そのどんぐり見て嬉しそうな顔しすぎ」

「わかってる。マッケンナ嬢には私としては破棄など言うつもりはない。彼女に決めてもらう、後ストンズ嬢は関係ない。どんぐりの形が変だから笑っただけだ」


扉からノック音がし、2名の文官が入ってきた。オーウェンが、

「さぁ、今日もやるぞ。椅子から離れられると思うな」

と発破をかける。

「毎日じゃないですか」

と書類の高さに呆れる。

「すまない」

とローレンスが言うと

「殿下は気になると調べるからな」

と困り顔で言う。

「手間かけさせてすまない」

まだまだ高さのある書類に再び気合を入れ、どんぐりを匂い袋にしまう。


話がしたいという気持ちを誤魔化すように冷めたお茶を飲み干し、ペンを握った。


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