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19 歩けば時間は進む

自室に戻れば、不敬罪の恐怖に身を震わせてしまう。何をやっている私よ。調子に乗りすぎた。第一王子を見ているとぎゅっとなってイライラして何とも言えない感情が我慢出来なかった。

「ごめんなさい」

で許してくれないかな。私こそスマホ画面で見てゲームをして攻略にぶつぶつ言っている人ではないか。

「本当に調子に乗った」

と後悔の言葉ばかりでる。困った、困ったしていても仕方がない、やはりここはウォーキングだ。


庭園の薔薇は見頃で目と鼻を満足させる。以前に比べて早歩きは更に速さをます。フッフッフッフッ息が浅くあがってくる。庭師の横を通る時

「お嬢様、薔薇が喜んでます」

なんて声がかかる。軽く片手を上げ早歩きは続ける。最近は早歩きを終わらした後ゆっくり歩幅を大きくして歩くなんて事もしている。アンナが陽の光は令嬢の大敵だと鍔の大きな帽子を被せてきた。風に飛ばされないよう帽子には細く切った布を縫いつけ布と布を結ぶ。

母様が見たら悲鳴を上げそうな行動と令嬢らしからぬ美しくない帽子をかぶっているので見つかれば叱られる。

無意識にやり始めていたので、前世の私がやっていたのではないかと思っている。何故歩く事ばかり覚えているのか。もっと大事な事を思い出せたらいいのになぁ。


風が気持ちいい。新緑の季節から陽も伸びて暑くなってきた。薔薇の庭園から庭師達は次の花の準備をしていた。季節は変わっていくのだと感じた。


ラドルフ執務室

「お父様大変です」

「ノーラどうした?興奮して」

「シャルが孤児院で第一王子に不敬なことを次から次に言ってました」

「何をやっているんだ。どうして止めなかった?」

「殿下が楽しそうに笑ってたから」

「何をやって、はぁ今更言ったところでか。不敬罪で呼ばれるか」

「それはないかと」

「何故?」

「ですから楽しそうでした」

「意味がわからん。何を話してた?」

「それが建物の中と外だったので話している事とシャルの悲しそうな顔から怒っている顔になって笑って楽しそうにしていたなとしかわかりません」

「わからないよ、ノーラ」

「馬車の中でそれとなく聞いたのですが、串焼きが美味しい、美味しいしか言わず、しばらく幸せそうな顔しておりました。家に着くと顔強張らせ小さな声で不敬罪と呟きました」

「何かあったけどわからないという事だな」

ラドルフとレオノーラの進まない会話に夜は更ける。

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