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ふたり。  作者: ドゥル
1/2

別つために出会う2人

出会い、別れ、また出会い。

2人が辿り着いた道は決して同じ道にはならない。

ガチャガチャ。

バタンッ。

ガチャガチャ。

ダダダダッ。

ピコンッ。

ウィーン。

「パスワード、ヲ、入力シテクダサイ。」

カチャカチャカチャ。

ウウンー、パンッ。


今宵も世界が幕を開ける。



「おつー」

いつもの画面に文字を打つ。

いつものメンバー、いつもの会話。

「おつー、今日早いね」

「ほら、あれだよ、ユウさんくるからだろ、ミツ」

いつもの仲間がドヤしてくる。

「まぁねー、あれ?ユウさんまだ?」

「相変わらずユウさんのことしか頭にないな、まだ早いよ」

誰かが返してくるいつもの仲間と言っても私にはユウさん以外誰がいようと関係ない、というか、わからない。興味がないのだ。

カチャカチャ文字を打ちながら時間を待つ。

別にユウさんとは何かがあるわけじゃない。ただ珍しく私が興味を持ったニンゲンなのだ。

ユウさんのことは何も知らない。職業も顔も本名も。唯一知っているのは忘れたくない彼女がいること。忘れるつもりもないらしい。それくらい純粋に想われるって幸せだなぁといつも思う。

「やっほー、みんなそろってる?」

「おせーよ、ミツなんてさっきから待ちくたびれてるぞ」

ユウさんの登場。

も、待たずに寝落ちしてしまっていた。夢うつつで話を聞きながら私は寝てしまっていた。ユウさんがログインするのは決まって月曜日なのに。というか月曜日しかログインしない。

初めてユウさんに出会ったのは一年くらい前かな。ネットでグループを見つけようとしたときに出会った。最初は二人だけで会話をしていた。そこにルンと響とエナが加わって今のグループが出来上がった。

これは私のささやかな楽しみ、癒し、そして残酷なほどの痛み。

メンバーから見れば私とユウさんはできてるらしい。だけど本当は違う。ユウさんの彼女は生涯一人、亡くなった彼女だそうだ。それもどこまで本当かはわからないけれど。


それから3日後の木曜日何気なくログインするとユウさんがいた。

「あっれー?珍しいね、木曜ログイン」

私はユウさんに語りかける。

「あぁ、休みとってさ、墓参り行ってきた、他の奴らは?」

「まだじゃない?私今日休みだったからログインしてみただけだから」

「なぁ、、、お前は、、、死んだりしねぇよな?俺より先に」

「さぁねぇー、最近生きることにも疲れてきたからねぇー」

私はのらりくらりと話をごまかす。

そう、私には希死念慮がどうしても切り離さずにそれでも死にきることはできずにいるのだ。

「ユウさん、、、私がログインしなくなったらさ、でっかい花束をどっかに手向けてよ、どこでもいいから」

「縁起悪いこと言うなよ」

「ふふ、そうだね」


それだけでその日の会話は終わった。

私はその日飛び降りた。少し、かなり、人生に疲れた。おそらく即死だったろう。でも、肉体は死んでも魂はなぜかしら残っていた。パソコンも触れないし誰にも話しかけられないけど私の魂はユウさんの元へ初めて顔も声も初めて聞いた、見た。そしてなぜだろう、ユウさんは私の魂に気づいた。

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