あのひと。
どうしてだろうーー、いつも。
決まって、視ている。
じっとりとしたワケでもなく、ただ標本を観察しているような。
とくに気にせず、そこに立っていたのを感じていた。
それは息を切らして駆け込んだ時や。
階段を一歩ずつ昇る余裕すらあった時でさえも。
今日こそ聞こう。
どうしてーーいつもわたしを視ているのですか、と。
チカチカと点滅する蛍光灯。
もうすぐ、告げようとしていた。
遥か遠くに見えていた灯りが吠える。
「あのぅ……」
み
た
な
プラットホームの片隅で、黒ずんだ染みになる。