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番外編【神話を演じて『魅せた』青年】後編


俺は学園の生徒たちが持っていた【赤い本】の

タイトルが気になっていた。

そのことを含め、

弟の とうやと話をする為に

転移魔法で〈あちら側の国〉へと移動した。



「いやぁー。

 魔法ってほんと便利だわぁー。

 あっと言う前に、

 とうやの目の前に……目の前に……あ、あれ?」



俺はとうやの近くに転移したつもりだった。



しかし実際には、


むさ苦しい男達の裸の前にいたのだ。


……みなさん なかなかのいい筋肉っスね。



どうやら男の風呂場に転移してしまったようだ。


……そんなサービスシーンいらないっスからっ!

  やるなら美女の前にしてくださいッスよ!

  前回の悪口の仕返しっスか⁈



『なんだ貴様!その珍みょーー』ピシャ



俺は偉そうなおじさんが言い終わる前に、

ピシャっと扉を閉めて風呂場を後にした。


(そう何回も捕まってたまるかっ!)


お城の中を歩いていると、

偶然にも とうやを見つけることが出来た。


(やっぱり近くに転移できてたんだな♪)



「とうや!

 【赤い本】を見たことがあるか?

 タイトルが

 『ラグナロク〜神の使者達の兄弟の争い〜』

 って書いてあってゾッとしたんだけど」



俺は詳しく説明した。


それを聞いたとうやは ただ黙って聞いていた。


とうやは俺の〈役目(やくめ)〉を

『神の使者の集まり』で聞いた時から

なぜか冷たい表情をしているのだ。


しばらく待っていると、

とうや は静かに口を開いてくれた。



「……【赤い本】のことは知らないよ。

 その学園の生徒達のことも知らないね。

 なつき兄さん……

 なつき兄さんから〈役目(やくめ)〉を聞いた時にね

 僕はその本のタイトル通りなるのだと

 起こり得ることなんだと

 僕はその本の話を聞く前に

 そう察してしまってたんだよ……

 おそらくだけど、

 なつき兄さんが〈向こう側の国〉で古くから

 伝えられている

 『神話を再現する青年』なんだとね。」



「……は?

 いやいや俺の〈役目(やくめ)〉は聞いたろ?

 『向こう側の国の陣営のラグナロクに参加する』

 ことだぞ?

 普通の〈役目(やくめ)〉だろコレ。

 なんでそうなるんだよ?」



俺の力説も虚しく、

とうやは冷たい表情のままだった。


(なんでだ……なんでこうなるんだよ……

昔は三兄弟で仲が良かったじゃないか……)



「な、なぁとうや?

 別にお前と争わなくてもさぁ。

 戦争が終わればこの国は1つになるんだろ?

 ならこっちがさっさと負ければさぁ。

 お前の『人の争いを見届ける』って

 〈役目(やくめ)〉もさぁ

 ちゃんと果たせるだろ? な?」


俺はなんとか弟のとうや と争わずに

丸く収める方法を探していた。



「なつき兄さん……もう遅いよ。

 次の戦争では

 こちら側の国が総攻撃を仕掛けるんだ……

 もちろん僕も参加するよ。

 おそらくこれが最後の戦いで、

 正真正銘の

 『最終戦争(ラグナロク)』になるんだと思う。

 そしてなつき兄さんは〈向こう側の国〉の人達を

 絶対に見殺したりなんかしないよね……

 これが僕達の争いを避けられない理由だよ。」



とうやはとても辛い表情をしていた。


本心ではきっと、

兄である俺とは戦いたくはないのだ……

もちろんその気持ちは俺も同じだ。



(どうする⁈

役目(やくめ)〉を放棄するか⁈

いやそんなことが出来るのか?

それかいっそのこと、

このまま2人で違う異世界に(かくま)って貰うか?

いや、

そんなことを『あの先輩達』が許すはずがない……

……このは!

そうだ!このは の異世界に行くか!!

いや、、、

このは の異世界が1番キツイって、

みんなが言っていたよな……

魔法が通用しない世界だって……)



あれこれと いろいろ考えてみたが、

結局、答えは見つからなかった。


きっと自分が死なないと〈役目(やくめ)〉からは逃れられないのだろう。


俺は諦めて向こう側の国へと戻った……


そして遂に『最終戦争(ラグナロク)』が開始されたのだった。


戦争は毎日、毎日、毎日、行われた


俺も とうやも 戦場に立っては、

この異世界の人達を何人も なむぅー してきた。


……そこは流石にオブラートに包んで表現しますよ?

だってこの作品は全年齢対象の作品ですからね?



戦況は俺がいるこちら側の国の陣営が不利だった。


元々は力の差が少しあったのだから仕方ない。


それでもまだ決着はつかずに、

戦争は長引くのだと思っていた。


しかし突如!


この戦争を終わらせる"きっかけ"となる

謎の巨大な敵がいきなり現れたんだ。


その巨大な敵の見た目は、、、


禍々しい黒い太陽のようなものが

空中に浮いていたんだ



それは【バカデカい魔力の塊】だった……



黒い太陽みたいに燃えている




「とうや側の国の最終兵器なのか?」

っと最初は思った。


その【バカデカい魔力の塊】は空気を震わせ、

大地を揺らし、

こちらの兵士を畏怖(いふ)させては

士気をいっきに下げられ削られた……



「『魔王』でも現れたのか⁈ 」



戦場にいたすべての兵士が空を見上げて恐怖した

震えあがるほどの巨大な魔力だった。



正直に言うと俺も怖い……



しかしそれは

〈あちら側の国〉も同じだった。

〈こちら側の国〉だけの脅威ではなかったのだ。


【バカデカい魔力の塊】は無差別に

攻撃を繰り返してきたのだから……


「神の裁きが下った!」と言う者もいた。


「遥か昔の魔王が復活したのだ!」と言い出す者もいた。



両国の兵士達が次々と倒されていった……


このままでは人類が滅びてしまう……



七月(ななつき)なつき

「ハァ……ハァ……なんだ?

 とうや側の秘密兵器とかじゃないのか?

 ハァ……ハァ……」



周りの兵士達がすがる思いで俺の方を見つめてきていた。


(おぃおぃ……そんな目で見てくるなよ……)


最終戦争(ラグナロク)』がはじまり、

こちら側の国の人達と仲良くなっていた。


こちら側の国の人達は

俺のことを

『神話を再現する青年』だと思い込んでいるのだ。


いやだから神話ってなんだよ……

俺が聞きたいっつぅの……


俺のいた平和な世界での授業では

ギリシャ神話やら北欧神話やら

なんかいろいろ習ったことはあった。


だけどこの世界の神話なんて1つも知らないのだ。



……神話の定義は定かではない。


神々の英雄の話もあれば

超自然現象の話もある

文化の起源や想像を神話として

語り継がれていることだってもちろんある。




『あなたが取った行動を信じて』



不意にピンクの髪の女の子が告げた言葉を思い出した



その言葉が頭から離れなかった……



ぶっちゃけると、

本当はどうすれば良いかなんて

【神の使者】になった時にわかっていたんだ。


身に覚えのない記憶が教えてくれていたのだから……


それを知っていて知らないフリをしたのは、、、


怖かったからだ。


きっとこの行動は"怪我をする"だけでは

済まされない行動だからだ……

なぜならそう記憶が教えてくれているのだから。


命をかけても足りないかも知れない……


記憶では『燃え尽きる』と教えてくれている。



ぶっちゃけ俺だって、

あんな禍々しい黒い太陽みたいな魔力を

相手にするのは嫌だ。


そりぁ怖い、


怖くて堪らない……


これは俺の逆ギレになるかも知れないが、

聞いていて不快に思われたのなら申し訳ないっスが、


『あなた様』に聞きたい。


いや、問いたい。



「この魔法を使えば命が燃え尽きるよぉー」っと、

神様か誰かが親切にそう教えてくれたとしよう。


それをわざわざ見知らぬ異世界で

他人を助ける為だけに

その魔法を使用するバカなやつなんているのかと……

俺ととうやの心配をするとしたら

いざとなれば異世界空間を作り出して

逃げることだってできた。


『あなた様』ならその魔法を使用できますか?


自己犠牲なんてカッコつけた所で、

死んでしまえば自分には何のメリットもないのだ。



『あなたの取った行動を信じて』


(ちっ、まただ……

俺の頭の中でこの言葉がリプレイされていた。

きっとあのピンクの髪の女の子なら

迷わず選択するんだろうなぁ)


などと勝手に決めつけてはそんなことを想像していた。


誰がやるんだよ……怖いわ……


ほんとこぇーよ……


それでも俺は……悩み……悩んで……


この行動を選択した……



「ハァ……ハァ……

 仕方ねぇ……やってみるか……」



……とうや。

お前も戦場であの【バカデカい魔力の塊】を

見上げているんだろ?

じゃあついでに俺のも見とけよ!



俺は目を閉じ、

俺の知る限りの『神話』を思い浮かべて

〈再現魔法〉を使って見せた。


〈再現魔法〉を扱える【神の使者】は少ない……



今のメンバーなら、

俺と、

とある深淵顔の保健室の先生ぐらいだろう。

俺は使って見たことは1度もないが、

記憶が使えると教えてくれているのだから

きっと使えるのだろう。


最終戦争(ラグナロク)

天変地異(カタストロフ)

森羅万象(アカシックレコード)

『天地創ぞっーーー』だ、ダメだ……

これ以上は意識が……げ、限界だ……


俺は気を失ってしまった……



注意:ここからはとうや視点でお送りいたしまスっす。


ーーー



七月(ななつき)とうや

「はぁ……はぁ……なんだろアレ?

 なつき兄さん側の国の魔法でもない?

 はぁ……はぁ……」



こちら側の有利な戦況だった。


あの太陽みたいな禍々しい

【バカデカい魔力の塊】は、

無差別に攻撃を繰り返してきているみたいだ。


それになんだあの魔力は……怖くて堪らない……


このままでは人類が滅びてしまう。

でも残念なことに

僕じゃ何もできないのは明白(めいはく)だ。



「あ、あれは⁈ なつき兄さん⁈」



戦場にいる誰もが

【バカデカい魔力の塊】に向かっていく僕の兄である

七月(ななつき)なつきのことを見上げていた。


なつき兄さんの姿は天使のような羽が生えていて

神々しくオーラを(まと)い輝いていた。

しかし意識は失っているみたいだった。

白目で顔は微笑んでいたからだ。

まるで別の何かが乗り移っているようだった。



なつき兄さんが禍々しい太陽と戦ってくれている



なつき兄さんは魔法で次々と

"見たこともないような現象"を作り出していた


いや、

これは再現しているのか??


この異世界にいるすべての人に、

その幻想的な魔法を見せつけているのだと確信した。



神と言う太陽(アポロン)に向かって反逆する堕天使(ルシファー)でも再現しているのか、

はたまた超自然現象をみせしめ、

人々に神の信仰の布教を(うなが)しているのか。


(とら)え方は人それぞれだった。


その神々しい光景に、

この世界の人達は魅入られていた。


戦場にいるすべての兵士達は武器を捨てて

神に祈るようにして膝をつき、

両手を合わせて涙していた。

そしてそのまま祈りを捧げた。


【バカデカい魔力の塊】に立ち向かう勇敢な

天使を祈り、称え、崇拝したのだ。


この世界のすべての人達はその天使に

『見せられ 観せられ "魅せられた"のだ。』



なつき兄さんは神話と呼ばれるものを

すべて独りで演じ切っていた。


すべての人を魅了していたのだ。


かつて神話を再現して演じた者などいたのだろうか?


1度切りの現象だからこそ神格化され、

神話として語り継がれるだけなのだろうか?


なつき兄さんは『16の大魔法』と呼ばれている魔法の内の1つ、

『聖なる槍』の魔法で、

禍々しい黒い太陽みたいな【バカデカい魔力の塊】

を撃ち抜き貫いて消し飛ばした。


キラキラと輝き、

なんて神々しい光景なんだろう……



「あぁ……なつき兄さんの片翼が燃えている……

 きっとこのまま燃え尽きてしまうのかな……」


なつき兄さんが燃え尽きようとしているのに、

僕はその光景にすら魅入られてしまっていた。

そして何もできずにいたんだ。



神話が1度切りの現象だと言うのなら、


これもまた


"誰も見たことがない神話"


として


1人の青年が『演じて魅せた物語』だ。


そしてこの物語はこの異世界で

未来永劫、

世に語り継がれていくことだろう……


(あれ?

なんだろ??

あの学園の生徒達は?

なつき兄さんの方に向かって行ったぞ……)



僕が語れるのはここまでのようですね。

『あなた様』に会えるのを僕も楽しみにしていますよ。




ーー

七月(ななつき)なつき

「いやぁ〜。

 なかなかナレーションも難しいっスねぇー。

 あれ?先輩??

 どうしたんスか?

 そんなに口をポカーンって開けて、、、」



フードを被った謎の男

「……はっ!

 (わたくしとしたことが、、、

 つい魅入ってしまってました)

 ゴホン。

 な、なかなかやりますね。なつきくん。

 はじめてにしては上出来じゃないですか。

 (え?今時の若者ってこんなにできるの??)」


七月(ななつき)なつき

「いや〜。

 実は後半は全然覚えてないんスよねー。

 起きたら片腕なくなってましたってねー。

 まぁ行動した結果が、

 片腕一本で戦争に終止符を打てたんで

 そこは誇りに思ってますけどね♪」


フードを被った謎の男

「ふふ。

 『あなた様』もまだまだ気になる所は

 ございますでしょう。

 しかしこれにて、

 この物語は幕を下ろさせていただきます。

 ……早く本編に戻らねば わたくしの立場が、、、

 (ボソッ)」


七月(ななつき)なつき

「え?……先輩?いま何て??

 あっ、ちょっと先輩!待ってくださいっスよ!」


番外編【神話を演じて『魅せた』青年】 完


この作者……"番外編に力を入れてる説"

あるよねー٩(๑❛ᴗ❛๑)۶

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