エピソード30 平和を願う歌と踊り
紫陽花コンビは無事に獣人族の踊り子Rioを守り抜き、
コンサート会場へと到着したのだった。
少年「かんみおねえちゃん!シャウラさん!
あれ見て!
なにあの巨大な魔道兵器!
か、かっこいい〜♪」
少年は街の外に見えている巨大な白い魔道兵器を見て
興奮した目でキラキラとさせていた。
甘飴甘味「あれって乗れるんかなぁ♪」
甘飴甘味も少年と同じような反応だ。
シャウラ「やめとけ。
甘味が乗ったら
間違いなく街を壊しかねない。
そんなことより……
お前らどうしたんだぁ?
一体何があったんだよ」
シャウラは猫耳と尻尾をぴょこフリさせながら
なぜか疲れている様子のアカベコやレート、りと!
リンク達を見ては不思議そうにしていた。
アカベコ「はぁ?
どうしただぁ??
こっちは強敵と戦ってたっつぅーの!
敵は勇者の子孫だったんだぞ!
つか、
お前らこそなんだよ?
猫耳で遊んでんじゃねーよ!!」
アカベコは紫陽花コンビの2人が
〈獣人族なりきりセット〉の姿をして楽しそうに見えたので
怒りを露わにして物申していた。
甘飴甘味「はぁぁ⁈
こっちだってねぇ大変だったんだから!
シャウぴのお兄ちゃんに
おもいっきし狙われたんだからね!!
シャウぴと同じで"アノ"
おばあちゃんの弟子の人なのよ⁈」
甘飴甘味も負けじとアカベコに言い返した。
シャウラ「甘味……だからさぁ
さっきも説明したけど、
クロードの兄貴は
本当の兄貴じゃねーよ。
兄弟子だよ?兄弟子。」
レート「まぁまぁ。みんな落ちついて。」
リンク「いやいや、
レートも言い返しなよ。
アタイ達はアレを相手にしてたんだぞ!
見えてるだろ?
アレだぞ!アレ!」
そう言ってリンクは
巨大な白い魔道兵器を指差した。
りと!「ぶつぶつ……これはレイジしゃんと
面白い物が作れそうだわ。」
りと!は1人ぶつぶつと魔道兵器ではない
"何か"を発明しようと
自分の世界に入って考え事をしていた。
明日リオン『みんなお疲れ様〜♪
それぞれ大変だったみたいやね。
踊り子のRioちゃんはじめまして〜!
今日はコンサートに出演してくれて
本当にありがとう〜♪』
Rio「そ、そんなっ。こちらこそ。
し、四天王……じゃなかった。
英雄の方からオファーを頂けるなんて!
あ、あのぉ〜。
ちなみになんですけどぉ〜。
どうして私なんかにオファーを??
やっぱりプリティーだからですかねぇ♪」
踊り子Rioは明日リオンに不思議そうに聞いていた。
明日リオン『え?だって名前が似てるやん♪』
Rio「え?」
少年「え?」
甘飴甘味「せやんなぁ♪」
甘飴甘味も同じことを思っていたみたいだ。
明日リオン『ってのは半分冗談でぇ〜。
ちゃんと歌と踊りで評価してるよー♪
私の音楽とRioちゃんの踊りで
世界に戦争を無くし平和にしちゃおう♪』
こうして平和を願うコンサートが開演したのだった。
《明日リオンの音楽隊》はとても素晴らしく、
明日リオンもあのデカイ魔道ピアノを見事に演奏しており
そこに踊り子Rioの魅力的で優しい踊りが合わさり
演奏を聴いている誰もが『優しい気持ち』になっていたのだった。
アカベコ「……『音楽は人を変える』 っか」
少年「アカベコさん?なんのことぉ?」
みんなも観客席で演奏を聴いており
少年はアカベコがボソッとつぶやいた言葉を拾った。
アカベコ「いや、
お前達が来る前にさぁ。
戦いながらなんだけど、
今ピアノを演奏している英雄にさぁ
俺の理想を先に言われたんだよなぁ」
アカベコはそれ以上のことは口には出さずに
ただ黙って演奏を聴いていた。
ギルド学園時代にアカベコは吟遊詩人を目指していたなんてことは、
少年には知る由もなかったのだ。
少年「……詳しくわかんないけど、
きっとアカベコさんなら夢は叶うよ!」
アカベコ「このやろぉー。
無責任なこと言いやがって……。
……ありがとな(ボソッ)」
少年はコンサートに夢中になっていて
今度はアカベコが言ったことを拾えなかった。
後にアカベコの子孫が、
アカベコの意志を継ぎ、
平和な世界で〈アカベコプロダクション〉と言う有名になる
音楽会社ができるのであった。
平和を願う演奏も無事に終わり、
一同は英雄の明日リオンを再度尋ねた。
明日リオン『みんなありがとう♪
演奏が無事に終わりました!
感謝♪ 感謝♪
じゃあ約束通り今わかっている
ザナっちの情報を教えるね♪
なんかね、
ザナっちはね、
膨大な魔力を手に入れたから
それを〈絶望の谷〉で、
解き放とうとしているみたい』
「絶望の谷……」
誰からか漏れた言葉に一同は黙り込んだ。
この世界は7つの大陸があったのだが
魔獣王によって3つ破壊されており
今は4つの大陸に分かれている。
その中心に、
〈絶望の谷〉と呼ばれる暗黒が広がっている場所があるのだ。
魔獣王が復活した場所でもあり、
魔獣が発生している元凶とも噂されている小さな大陸だ。
「絶望の谷に行って帰ってきた者はいない……」
っと、
英雄達が魔獣王を倒す前はそう言われていた。
光も通さないその暗い暗い漆黒が広がる谷は
すべてを吸い込むような暗黒が広がっており、
訪れた者に生きる気力すら奪うほどだと噂されていたのだ。
少年「その谷で魔力を解き放つとどうなるの?」
明日リオンはその質問を待ってましたっと言わんばかりに
表情をキリッと変え答えたのだ。
『それはね……
追い詰められた【魔獣王】も
それをやろうとしてたんだけどね
膨大な力で絶望の谷に存在している
【深淵なる漆黒の闇】を広げて
この世界を崩壊させるためなのよ……』
明日リオンは真剣な顔付きになっていた。
『そして今回それを止めるのは
英雄と呼ばれている私達じゃなく、
キミたち……だよ?
これは〈キミたちの物語〉でしょ?♪
自分の人生の物語の主人公は自分だからね?♪』
明日リオンはそう言って
最後には優しく微笑みかけてくれたのだった。
(英雄と呼ばれた人達はみんな
〈自分達の物語〉で、
【魔獣王】をやっつけては
世界の危機を取り除いてくれたんだよね。
今回はかんみおねえちゃんの魔力が原因とは言え、
〈紫陽花コンビの物語〉だよね!)
少年は英雄の言葉に刺激されていた。
それは少年だけではなかった。
紫陽花コンビや仲間達も、
〈自分の人生と言う物語〉に集中しようと決意したのだ。
明日リオンはみんなの表情が真剣な眼差しになっていることに安心していた。
「絶望の谷に行くには
北の大陸の国の1つでもある
『英雄の国王が治める国』で
〈要塞を通る許可証〉を『ムーちゃん』から
貰わないと通れないからね?
でも気をつけてね!
きっとザナっちもその要塞を通ると思うから……」
明日リオンからザナトスの情報と
次なる目的地を教えてもらい、
一同は『英雄の国王が治める国』へと向かうのだった。
ーーふふっ。
さすが英雄と呼ばれるだけありますね。
まさにおっしゃる通りです。
『人生の物語の主人公は自分』ですよね。
わたくしめも再度この言葉を思い出し、
気を引き締めて本編のナレーションを
精一杯に努める次第であります。
次回は英雄達の1人でもある国王の登場です。
なにやらこの国王は、
『とある義賊』に悩まされているとか……
ではまたお会いしましょう。




