エピソード24 英雄との模擬戦
「おぃ!聞いたかっ!
ギルド騎士団訓練所で
紫陽花コンビの甘飴甘味と
英雄のジナトス様が模擬戦をやるってよ!」
鎧を着た兵士が
どこからか聞いた噂を広めていた。
「ほんとか!さっそく見に行こうぜ。」
こちらの兵士も野次馬魂に火がついていた。
ざわ ざわ ざわ
(おぃ。あのピンクの髪の女の子かわいいな)
(金髪の子もいいぞ。ってありゃ海賊王の娘か)
(オレはレート隊長の方が好みだな)
(なに言ってやがる。
この国が豊かになったのは
天才錬金術師のおかげだろ。ラブち♡)
(ウホッ。赤い髪の男子ぃぃ!いい男だ!)
……いま変な人が混ざってませんでしたか?
あっと言う間に訓練所には大勢の野次馬が集まり
2人の模擬戦に注目をしていた。
英雄のジナトスは気にもせず、
「じゃあはじめようか。」と開始の合図を送った。
甘飴甘味は英雄のジナトスの言葉通りに
全力の魔力を披露したのだった。
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴッッ!!!!
空気が震え、
訓練所も揺れている……
見ている周りの人達は
『魔王が現れたのでは⁈』
っと恐怖していた。
「す、すごいなキミは、、、
想像以上だよ。
これなら兄さんは世界を崩壊させかねないね。」
英雄のジナトスは
甘飴甘味の魔力の膨大さに驚いていた
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴッッ!!!!
訓練所がさらに揺れはじめた。
このままじゃここにいる人達も危ない。
少年はこの状況をどう打破するのか、
英雄の一手に注目していた。
すると英雄のジナトスは、
小太刀のような黒い魔剣を懐から取り出し
鞘からは抜きもせずに握り締めた。
つかの部分には黒い宝石が2つ埋め込まれている。
『魔剣アーレア!その力を解放しろ!』
その言葉に反応して
【魔剣アーレアヤクタエスト】の2つの黒い宝石の内
1つが輝きだした。
すると、
黒いガラスでできた四角い箱のような結界が現れ、
甘飴甘味と英雄のジナトスを閉じ込めた。
その黒いガラスで出来た四角い箱みたいな結界は、
中からも外からも見えるのだが、、、
出入りすることは不可能の結界だった。
「な、なにこれ⁈ 2人は大丈夫なの⁈」
少年は甘飴甘味の全力の魔力が
今にも結界を破ってやると言わんばかりの勢いだった為に
とても不安になり見守っていた。
ビシッ!
ビシッビシッ!!
パキッ!
「本当にすごいなきみの魔力は、、、
【魔獣王】すら閉じ込めた結界なんだが……
きみの魔力はこの結果を
今にも破りそうな勢いだよ。
だが!……ごめんよ。」
なぜか英雄のジナトスは一言
甘飴甘味に謝ったのち、
魔剣に2度目の声をかけたのだった。
『魔剣アーレアエスト!力をお返ししろっ!』
魔剣アーレアのもう一つの宝石が輝き出した。
甘飴甘味「えっ⁈」
甘飴甘味の溢れでている全力の魔力が、
なんと!
甘飴甘味本人に牙を剥き攻撃してきたのだ。
甘飴甘味は自身の魔力のコントロールが効かずに呑まれそうになっている
「かんみおねえちゃん!!!」
少年が結界に向かって叫ぶも、
魔力が止まるはずはなかった。
すると、
アカベコから綺麗な歌声が聞こえてきたのだ。
「らぁ〜〜♪らぁらぁらぁらぁー♪
らぁらぁらぁらぁ〜♪らららぁー
らぁらぁー♪らぁー♪」
アカベコが目をつむり声を響かせていた。
「この歌のような魔法!
【七色の音色】だぁ〜!」
少年はアカベコの音色が出てきてことで
(もう大丈夫だ)と安心していた。
甘飴甘味の魔力は落ち着きを取り戻し
そして鎮まった。
英雄ジナトスの魔剣により現れた結界も、
【七色の音色】の効果により消し去っていた。
ジナトス「……」
ジナトス「……キミたち、少し離れてくれないか?」
英雄のジナトスは両手を上に上げていた
それは「まいった」っとでも言っているかのような
ポーズをしているのだ。
少年「え?」
少年は英雄ジナトスの方を振り向いた
!!!!!!!
驚くことに、
英雄ジナトスの周りをびっしりと
怒りの目を向けて固めていた者達がいたのだ。
一歩でも動くものなら
英雄ジナトスは間違いなく死んでいるだろう……
なぜなら背後には、
殺意に満ちたシャウラが短剣を寸止めしており、
正面からは、
レートが殺気に満ちた拳を顔面で寸止めしており、
横からは、
リンクがキレながら愛銃を英雄の横っ腹に突きつけ
今にも引き金を引こうとしていたからだ。
りと!は甘飴甘味を支えていた。
少年「みんないつのまに⁈⁈」
みんなの殺気に満ちた表情から、
『甘飴甘味を傷つけようものなら、
例え英雄だろうと容赦はしない』
っとでも全員がそう言っているかのようだった。
ジナトス「……キミたちも良い仲間達なんだね」
そう微笑んだジナトスは、
魔剣をくるりと逆さまにし
3度目となる魔剣に呼びかけたのだった。
『【魔剣アーレアヤクタエスト】!!!』
すると、
今度は2つ同時に宝石が輝き出した。
パァァァァァァァァァァァ!
眩い光が一瞬にして辺りを包み込んで消えた。
一同は驚愕した!!
全員が"元の位置"に戻っていたからだ。
甘飴甘味の魔力も消費されておらず、
アカベコの音色を使った形跡すら残らずに
ただただ不思議なことに記憶だけは残っていた。
見ている周りの人達も
「もうなにがなにやら」っといった様子だった。
あたかも模擬戦を始める前の
"振り出しに戻されたような感覚"を、
この場にいた全員が味わったのだった。
英雄のジナトスはニコリと微笑み
「ありがとう。
もうわかったよ。
たしかに危険だね……至急対策を立てよう!
キミ達には悪いが、
すぐに"北の大陸"へと向かってくれ!
向こうにいる英雄達の力が
必要になるかも知れない。
僕の方から連絡は入れておくよ。」
そう言いながら早々に去っていった英雄のジナトス。
一同はポカーンっとしたまま、
狐に抓まれたような不思議な感覚を
その身をもって体感したのだった。
こうして釈然としないまま、
英雄のジナトスに言われるがままに北の国へと
向かうこととなったのだった……
ーーふふっ。
なんとも奇妙な魔剣でしたね。
呼び方も3通りでしたし。
ちょっとわたくしめも魔剣に興味が湧いてきました。
北の大陸でのお話の前に青い魔剣を……
そうです、
【魔剣アスタルト】を『あなた様』とご一緒に
見に行きましょうか♪
とゆーことで、
次回は番外編となります♪
ではまたお会いしましょう。