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エピソード20 七色の音色を託されたのは

迷宮に入ってからの魔力の使い過ぎなのか、

光の子と呼ばれている〈白い女の子〉との激しい戦闘のせいなのかは(さだ)かではないが、

甘飴甘味(あまあめかんみ)の魔力は暴走してしまったのだ。


魔力が暴走したことがあるのはこれで『二度目』となってしまう……

一度目はギルド学園時代に

"とある事件"がきっかけで

〈人の争いが起こっている異世界〉に渡った時のことだ。


その時はなんとか保健室にまで戻ることができ、

七星(ななほし)みらい』の不思議な音色によって

抑えることに成功した。

だが今回は七星(ななほし)みらいは近くにはいない。




「かんみ!

 ……くそっ!

 アカベコぉ!!

 お前の指示が間違ってたんじゃねーのか⁈

 どう見ても魔力の使い過ぎだろうがっ!」


シャウラが苛立(いらだ)ちながら

甘飴甘味(あまあめかんみ)の魔力が暴走したことを

アカベコに対して(とが)めていた。



「シャウラ、、、

 今はそんなことを言っている暇はないわよ。

 早く止めないとこの世界が危ないわっ」


りと!が発言したその言葉で、

この切迫(せっぱく)した状況をみんなに再認識させたのだった


甘飴甘味(あまあめかんみ)の身体が光に包まれている


気付けば甘飴甘味(あまあめかんみ)は気を失っていた。


しかし、


暴走した魔力だけが

世界を滅ぼそうと(うごめ)いており

物凄い勢いで溢れ出てきているのだ……



ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴッーー!!!



甘飴甘味(あまあめかんみ)のとてつもない魔力が迷宮(ダンジョン)を揺らしている。


本当に(すさ)まじくてとてつもない魔力だ。

『魔王が現れた』と言われても納得してしまうほどだった。



「おいぃぃぃぃぃぃ!

 アタイにはもう気力が残ってないんだけどぉぉ⁈

 てか残っていても防げねぇしぃ!!

 アタイは死ぬのか⁈ ここで死ぬのか⁈」



全力で必殺技を使い

双子との戦いに貢献(こうけん)したリンク

恋人『ゆっきぃ』のことを最後に想った。



「かんみ。

 僕はどうすれば……」


レートも嘆き(これまでか)っと覚悟した。



そこへ、



『赤い髪の小僧よ。

 キサマなにをしておるのじゃ?

 さっさと音色(ねいろ)でこれを止めんかっ!」



お墓に戻って眠りにつこうとしていた光の子と呼ばれている〈白い女の子〉が、

アカベコに対して身に覚えのないことを言ってきたのだ。



「は?

 甘味(かんみ)の暴走を止めれるってのか?

 いやまず音色ってなに??」


アカベコも魔剣の力を解放したばかりで疲れていた。


アカベコは〈白い女の子〉が

何を言っているのか見当もつかなかったのだ。



『なんじゃおぬし?

 まさか時が来るまで記憶を抑えられておるのか??

 ならば今がその時じゃ!』



そう言うと同時に

〈白い女の子〉はまた光の粒子を今度はアカベコにだけ放ち、

アカベコの頭の記憶を刺激したのだった。



アカベコ「うっ!?」


頭を刺激され昔のことを思い出していくアカベコ。



ーーー

……そうだ。

俺は幼い時に故郷を【魔獣王】によって滅ぼされ、

1人だけ生き残ってしまったんだ、、、

そしてギルド学園の保健室で

治療を受けていたんだっけな。


両親や生まれたばかりの妹はもういない……


幼い俺は家族の命を奪った【魔獣王】と魔獣が

憎くて憎くて仕方なかったんだ……


そんな憎しみの顔を(あら)わにしていたら、

近くで綺麗な歌声が聞こえてきたんだった

しかもその歌声は、

なんだか心まで癒されるような

とても不思議な感覚だったのを思い出したよ。


気がつけば憎しみは消えていたからな……



「さっきの歌。

 綺麗なお姉さんが歌ってたの?」


幼い俺は、

近くにいたお姉さんにそう自然と発言していた。


『ふふふ。

 綺麗なお姉さんだなんて嬉しいわ♪

 正直ね!

 あとで一緒にデュエルしましょ!』



この時に初めて

七星(ななほし)みらい』先生に会ったんだよなぁ〜。

この人のおかげで俺は

憎しみを抱いたまま腐らずに済んだんだよ

……ほんとに感謝してるよ。

あと、

この時にデュエリストにも育ててくれたっけ。


そういえば

みらい先生とデュエルをしていた時だったな……



「ふふふ。

 おーほほほほ♪

 盤上は整いましたわ♪

 さぁ、

 万人ひれ伏す無敵の力をお見せなさい!

深淵眼(アビスアイズ)星雨龍(・スタードロップドラゴン)!!』」


みらい先生は容赦なく子供の俺に攻撃してきては

俺のモンスター達は消し飛んだんだよなぁ〜。



幼いアカベコ( デュエルすると

       急にテンション高くなるのなんなん?

       てか、

       子供相手に本気になる普通?

       ……くやちぃ。)


幼いアカベコは頬を ぷくぅ〜 っと膨らませていた。


ははっ、あったあったこんなこと。

そしてこの後に

幼い俺にみらい先生から聞かれた質問があったっけ。



七星(ななほし)みらい『キミは大きくなったら、

      どんな人になりたいのかな?』


幼いアカベコ『おっ、おれは!

       せかいじゅうのひとを!

       音楽で心を動かして

       そして感動させてみたい!』



七星(ななほし)みらい『ふふふ。

      素敵な夢ね♪

      じゃあそんなキミに、

      この【七色(なないろ)音色(ねいろ)】を託すわね♪

      今のデュエルみたいに

      自分の思い通りにならないからって、

      そして例えうまくいかなくても

      決して諦めないでね?

      そしたらキミの、

      いえ、

      キミの一族達が

      夢を叶えてくれるから……』



そうだった。

この時のみらい先生は

まるで未来でも見てきたかのような言い方だった。

そして【七色(なないろ)音色(ねいろ)】は

七種の歌から自分で選び、

それぞれの音色の補助魔法の効果を歌で表現することができる

魔力や気力を自在にコントロールすることができる

神秘の音色だった。


いや、説明なげぇよ……

まぁいいかっ。

そうなんだよ!

俺が【七色(なないろ)音色(ねいろ)】を託されたんだ

おかげで思い出せた。


ーーー


幼い記憶が(よみがえ)り、

すべてを思い出したアカベコ。


そっと静かに目を閉じては

歌っているような不思議な呪文を唱えはじめた。


その歌声はとてもとても優しい歌声だった。


聴いているみんなに安心感や安らぎが訪れた。


不思議なことに、

疲れていた身体も徐々に回復していったのだ。


そして、

甘飴甘味(あまあめかんみ)の魔力もだんだんと落ち着きを取り戻していた。


魔力が収まり、

浮いていた甘飴甘味(あまあめかんみ)がドサッっと落ちてきた。


シャウラが素早く移動しそしてしっかり受け止めた。

そのままお姫様抱っこして歩き戻ってきた。


りと!が眠りかけの〈白い女の子〉に近付いては

こう願った。



「わたし達をリンクの船まで転送して!

 代価はこのアカベコの歌声よ!

 〈黒い男の子〉も聴いているでしょう?

 タダじゃ無いんだからね?

 そして……安らかに眠って……」


〈白い女の子〉は目をキョトンとさせたのち、

簡単な願いと意外な代償の払い方に笑い出した。



『ふはははっ!

 音色(ねいろ)のことを我が教えたのにか?

 天才錬金術師と呼ばれておる娘よ。

 なかなか面白いやつよのぉ〜

 【神】にまた会うことがあればよろしくのぉ』


そう言い残し、

〈白い女の子〉と〈黒い男の子〉は

お墓に吸い込まれるように眠りに着いたのだった。


次の瞬間!


気付けば一同はリンクの船に転送されていた。


なんとか双子達を倒し迷宮を攻略できたのだ。


このことをリンクの船に乗っていた船員達が、

自慢話でもするかのように

海を渡った時には必ずこの話を酒場で言いふらし、

あちこちでこの伝説を広めたのだった。

紫陽花(あじさい)コンビや仲間達の噂を大きくしたのだ。





ーーふふっ。

まさか魔法剣士の青年が

みらいさんから音色を託されていたとは……


え?

『あなた様』は最初からすでに(かん)づいていたですと⁈

な、なんと⁈

それはまことですか⁈


え?

アカベコの登場人物プロフィールに載っていた??


それまっ⁈


むむむ。


サブタイトルにもなっていることを

サラッと出すなんて、、、

やはりこの作者さんは

だいぶ頭が悪いのかも知れませんね……



それはさておき、

次回はそれぞれの休日の過ごし方をご覧くださいませ。


ではまたお会いしましょう。


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