エピソード14 必殺技
海は広く
視界は良好
海の風がとても心地よかった
少年はリンクの船から
【ナイトドラゴン】の本船を見つめていた。
「はぁ〜
船長のナイルさんが持っていた
【魔剣アスタルト】を、
もっと近くで見てみたかったなぁ〜」
チュパ チュパ
コロコロ
ズカパンから貰ったアメ玉を頬に膨らませては、
口の中で転がしながらつぶやいていた。
「そういえば、
どうしてアカベコさんは、
【ナイトドラゴン】の船長のナイルさんと
副船長のズカパンさんのことを知っていたの?」
隣で一緒に海を眺めている魔法剣士のアカベコに、
なんとなしに聞いてみたら、
とんでもない返事が返ってきたのだった……
「ん?
あの2人か?
いや、海では【ナイトドラゴン】は有名だぜ?
初めてあの2人に出会ったのは……
俺が街ギルドから海のモンスターの討伐依頼を
受けていて、
向こうは海の商人から商品を輸送する依頼を
受けていた時だなぁー
船が襲われているなぁと思って、
急いで助けに乗り込んでみたものの、
それが【ナイトドラゴン】の
本船だったわけでさぁー」
そう笑顔で話を続けているアカベコ
「そん時はリンクの部隊や
他の部隊も見当たらなかったから、
【ナイトドラゴン】の方も少数で
動いてたんだろうなー
いやぁ〜
あんときゃ焦ったなぁ〜
アイツらとモンスターの取り合いになってさぁー
"一触即発"って言うのかぁ?
『白髪の剣士ナイル』は凄腕の剣士で、
気力の特化型だったし、
おまけに【魔剣アスタルト】も所持していて
やりずれぇのなんのって、、、
『黒髪の槍使いズカパン』の槍は
〈海賊王の槍〉で、
アイツの槍は一撃 一撃が、
やたら重いったらありゃしねぇ……
いやぁ〜あいつら強かったなぁ〜
はっはっは。」
そう笑い話のように話すアカベコ。
(えぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ⁈⁈⁈⁈⁈⁈
な、なに、そのエピソード⁈⁈
めちゃめちゃ聞きたいんだけどぉぉーー!!)
少年はいつも以上に目をまん丸にし、
びっくりし過ぎて思わずアメ玉をガリッと
噛んでしまっていた。
……わかりますよ少年くん。
《赤い魔剣vs青い魔剣》ってタイトルの番外編が出てきてもおかしくないですよね。
「とりあえず部屋に戻るか」
アカベコはそう言い、
船の個室へと降りて行った……
気になりながらも
少年は続いて部屋に戻って行ったのだった
出発前に
【ナイトドラゴン】の副船長ズカパンは、
甘飴甘味がいるリンクの船に、
「自分も乗る」と言い出し、
船長のナイルとまた言い争いになっていたのだ
今回はナイルが勝利し、
ズカパンは大人しく言うことを聞いていた。
……喧嘩するほど仲が良いと言っていいのやら、、、
少年が部屋に戻る途中に、
紫陽花コンビの甘飴甘味を見つけたが
なにやら船酔いしている人達の看病を
手伝っている様子だった。
(かんみおねえちゃんってば優しいね……)
少年は甘飴甘味の優しさに心が落ち着いていた。
……いやいや海の戦士が船酔いですか
きっと新人の方なんですね。
意外に思われるかも知れないが、
甘飴甘味はギルド学園に入った当初は、
人を癒す職業の僧侶になろうと試みていたのだ
おてんばな性格だが、
心根は誰かの役に立ちたいと願っているとても優しい女の子なのだ。
僧侶になれなかったのは、
ギルド学園時代の適性検査で
補助魔法や回復魔法の適性は0と診断され、
止む無く諦めたのだ。
代わりに自身の魔力が膨大で、
攻撃魔法の適性は100点オーバーと
歴代最高の点数を叩き出し周りを驚かせていた
そしてその流れで魔法使いへとなったのだ。
少年は船の中でレートも見かけたのだが、
レートは地図を見ながら目的のモンスターの場所の
航路を船員と確認したり
船の設備に不備はないかなど、
誰もやらなそうなことを1人でチェックをしていた。
(レートさんってとても真面目な性格だなぁ〜)
少年の中でレートの株がまた上がっていたのだった
部屋に戻ると、
シャウラは吊るされたハンモックで静かに本を読んでいた。
シャウラは口調は男っぽく
性格は大雑把に見えるかも知れないが、
それは間違いである。
甘飴甘味に思い切りの良さがあるのとは反対に、
シャウラはとても思慮深いのだ。
リンクとりと!はと言うと、
空中に映像を映し出す魔道スクリーンに向かって、
ピコピコと手元を動かしてキャラクターを操作していた。
どうやらりと!の作った魔道ゲームで仲良く遊んでいるみたいだ。
少ない魔力で動くコントローラーと、
少ない気力で動くコントローラーの2タイプを開発している途中なんだとか……
この世界でゲームという単語が出るなんて、、、
……りと!さん、
あなたさては
みらい先生から影響を受けましたね?
魔道スクリーンからゲームキャラの音声が聞こえてきた。
《よってらっしゃいみてらっしゃい!
りとりとの発明大放出スペシャルだよ〜。
あ、言っとくけど、りとりとのこの爆弾はね?
防衛魔法を破壊する前提の威力だからね?
生きてたら おつありと!……ブィ。》
セリフが聞こえてきたと同時に、
リンクが操作していたキャラクターが吹き飛ばされ、
リンクはゲームに負けたのだった。
「おぃぃぃぃ!!
こいつの必殺技はおかしいだろっ!
なんでアタイのキャラの防御魔法を
平気で無視してんだよ!!
それに最後のカメラ目線でピースするのなに?
ブィってやつ、、、
あのドヤ顔が腹立つなぁ〜!!
しかも必殺技の名前が
『りとりと特製おひとつ、
(被害額含めて)5000兆コイン爆弾』
だぁ〜??
破産するだろうがっ!!!
それに『りとりと』って、
絶対にりと!しゃんのことやん!
これ絶対にアンタをモデルにしてるだろ⁈」
リンクは魔道テレビゲームにすらツッコミを入れていたのだった
「そうよ?
わたしだって自分のキャラぐらい、
作りたい気分もあるわよ?
しかも強くね!ふふん♪」
りと!は悪びれる様子もなく、
自分の作ったキャラの説明をしはじめた。
言い争いをしながらも
それでも2人は仲良く遊んでいたのだった
2人が熱中している魔道ゲームは対戦格闘ゲームのようだ
そんな2人のやり取りを見ていた少年は、
(ゲームって面白いのかなぁ??
みらいさんとやったカードゲームとは全然違うみたいだけど……)
少年はゲームソフトの説明書に記載されているキャラクター達を、
ぼんやりパラパラと めくりながら眺めていた。
……どれどれ?
わたくしも拝見いたしますね。
ふむふむ、
どうやら紫陽花コンビ達に似せたキャラクター達のようですね。
なかなか面白そうな格ゲーですね。
あっ、わたくしその『シャオリン』ってキャラを使ってみたいですね。
え?この格ゲーのラスボスが、
『甘味画伯』ってキャラクターですと?
……甘飴甘味がモデルのキャラクターがラスボスですか、、、
彼女がラスボスならこのゲーム
クリアできる気がしませんねぇ(遠い目)
「お前らうるせぇ〜!今から寝れねぇだろっ!」
戻ってきたアカベコも吊るされたハンモックで横になろうと腕を組み目を閉じようとしていたところ
ゲームに夢中の2人に注意をした。
しばらくすると慌ただしく、
海上にモンスターが現れたと船員が伝えにきたのだ。
「く、"クラーケン"だぁぁー!
海の怪物のクラーケンがでたぞぉぉ!
おまけにでけぇタコのモンスター
"タコタコキング"と、
クラゲの化け物"クラゲーラ"もいやがる! 」
船員がパニックになりながらもそう叫んだのだ
ぴりりり♪
ぴりりり♪
最近りと!が開発した、
気力でも使えるタイプの魔道具が鳴っている
本船にいる船長のナイルからだった
ーー『リンク?聞こえるかっ?
こっちに2体のクラーケンが出やがった
そっちの1体は任せたぞ!
護衛部隊【ナイトドラゴン】の名に
泥を塗るなよ!』ーー
「わかってるさ、キャプテン」
そう返事をしたリンク
ガチャリと通信を切り、
リンクは海賊マークの付いた帽子を被りながら
船のデッキへと駆け上がっていった。
目的のモンスターが現れ、
紫陽花コンビと仲間たちもリンクの後に続き
すぐさま船のデッキへと向かった。
タタタタタタタタ……バンっ!
勢いよくドアを開け外を見た。
そこには巨大なモンスター達が立ち塞がっていたのだ!!
少年は目の前のモンスターのデカさに唖然としていた
モンスター達は
元は海賊船だったこの船よりも、
さらにデカいのだ。
それがこちら側だけで三体も……
正面には目的のモンスターのクラーケンが1体、
そして船の左右には
タコタコキングと
クラゲーラが1体ずつ、、、
【ナイトドラゴン】の本船の方にはクラーケンが2体、
クラゲーラはいないが、
タコタコキングが3体もいた。
向こうの状況も気になるところだ。
リンクが真っ先に飛び出し、
正面切ってクラーケンに戦闘を挑んだ
リンクは愛銃を片手に持ち、
そして正確に当てては、
クラーケンを怯ませていた。
「コイツはアタイの獲物だ!
アンタらは周りの雑魚を任せたよ!」
そう言い残し、
1人でクラーケンと戦闘をはじめようとするリンク。
海賊王の血なのか、
危険な相手にも臆せずに立ち向かう姿が
少年の瞳にはとてもカッコ良く映っていた
しかし1人ではやはり苦戦するようだ
「リンク!諦めろっ!そいつは俺がやるっ」
アカベコが苦戦しているリンクを心配し、
自分と代わるよう指示をするのだが、
海は自分の戦場と言わんばかりに
リンクのプライドがそれを許さなかったのだ
「アタイには
諦めって言葉が1番似合わない言葉なんだよ!
1日1度しか使えないけどよく見とけ!」
そうアカベコに言い返し、
海の魔獣クラーケンに対して
愛銃を向け気力を集中させていた。
「神をも殺し得る人類の歩みを、
咆哮を、
とくとご覧あれってね!
『虹霞む人の夢』
発射ぁぁぁぁぁぁ!!!」
ドゥウォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォーーーーーーーーッン!!!!
威力の凄まじさに空気が震えていた
リンクの必殺技は"気力の波動砲"と呼ぶのが一番ふさわしいだろう。
すべての気力を使い切ってしまうが、
その威力はとても凄まじく、
正面に立ち塞がっていた海の怪物クラーケンを
跡形もなく消し飛ばしたのだった。
「リンクさんすっっっごぉぉぉ〜〜い♪」
少年は目をキラキラとさせ、
男のロマンでもある『波動砲』を
目の前で見れたことにとても感激していた。
レートもそれを見ては感心し、
船の右側で暴れ回っているタコのモンスターの方へと向かっては戦闘に入っていった。
「やるねリンク。
では僕も必殺技を使うとしよう……
やぁタコくん、
これ以上はきみの好きにはさせないよ?
これなるは羅生門、
幾星の命の玄関口、
三度通るは善人か悪人か ーーー
『三層・終刻』!!」
レートも負けじと必殺技をタコのモンスターへと浴びせた。
そしてタコタコキングを秒殺してみせたのだ。
レートの必殺技を解説すると、
腰を落とし『正面に1発の正拳突き』を
放ったかのように見えたのだが、
その実は一瞬で2発も繰り出していたのだ。
一撃必殺の魔力と気力を込めた重い拳が一瞬で2発も
飛んでくるのだから、
攻撃を受ける側にとっては、
たまったもんじゃないはず……
モンスターの数が多かった【ナイトドラゴン】の
本船の状況はと言うと、
ナイルの魔剣が青く輝き出し気力の刃を飛ばして
クラーケンを斬り裂いているのがみえた。
もう1体のクラーケンの方も、
ズカパンが海賊王の槍で素早く連続で突き
穴だらけにしては倒していたのだ。
周りの雑魚モンスターは
海賊船なのになぜかメイド服を着た船員や、
姉さんと呼ばれている船員が倒し、
戦闘は無事に終わったように思われる。
向こうはもう安心
残るはこちら側の"クラゲーラ"のみとなった
左側にいるモンスターのクラゲーラに対して、
甘飴甘味が魔法で倒そうと動こうとしたのだが、
アカベコが先に魔剣でバラバラに斬り刻んだのだった。
………が、
バラバラに斬られたクラゲーラの毒のついた触手が
最後の力を振り絞り、
甘飴甘味を背後から襲おうとしたのだ!!!
『かんみ!あぶねぇっっ!!』
それにいち早く気付いたシャウラが、
とっさに甘飴甘味を庇った。
「……ッ」
シャウラの腕に攻撃がかすった
そしてシャウラは毒を喰らってしまったのだった
「シャウぴ!」
「ーーッ⁈
だ、大丈夫だ……かすり傷だよっ」
腕を抑えながら平気そうに答えてはいるが、
シャウラの顔色はどんどん悪くなっていった。
少年も駆け寄ってきた
「大丈夫じゃないよ!毒が!」
少年は心配そうにシャウラの身を案じていた
平気なフリをしていたシャウラだったが、
とうとう意識を失ってしまったのだった
「シャウぴ⁈」「シャウラさん⁈」
甘飴甘味と少年が
倒れ込んだシャウラを支えた。
ーーふふ。
必殺技ですか。
なんとも羨ましいですね。
このみなさんの必殺技を考えてくれたのはなんと!
リンクさんご本人が考案していただきました!
素晴らしい!
ぜひわたくしのも考えていただきたい♪
わたくしのは
こぅ とびきり優雅で可憐でいて、
そして豪華で
ハイパーな〜スーパーな〜ゴージャスな〜〜
〜〜……であるからして〜〜……そしてこう〜〜……
《1時間経過》
〜〜と言う感じでお願いいたしますね♪
おっと、
もうこんな時間になりましたか
それでは次回予告、次回予告。
毒を受けたシャウラさんはどうなってしまうのか⁈
『次回!
蒼い暗殺者、毒を受け死っーー』
ってのはもちろん嘘です。
後が怖いのでネタの予告はやめておきます。
わたくしは学習したのです。
ではまたお会いしましょう。




