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エピソード8図書館の妖精 十六夜


「う、う〜ん……」


少年は息苦しさで目を覚ました



( はっ!

そうだった

昨日はりと!さんのお手伝いをしてて、

いつのまにか工房にあった大きなソファーで寝ちゃったんだった)


少年は身動きが取りづらいまま隣を見た



息苦しさの答えがすぐ近くで見つかった。



少年が先に寝てからも、

りと!は

〈ねるねるじくね〉を1人で完成させていたのだ。

そして りと!は

少年を抱き枕にして スヤスヤ と隣で寝ていた。



ぴりりりりりり♪


        ぴりりりりりり♪



魔道具が鳴っている



「りと!さん起きてぇー

 魔道具が鳴ってるよぉー!

 たぶんだけどぉぉ

 かんみおねえちゃんからじゃないかなぁぁ

 おきてぇぇー!」



少年はりと!の身体を ゆさゆさ と揺らしながら

起こしている。



りと!はむくっと起き上がり、

ぴりり♪と鳴っている魔道具を取り、

自身の耳に当てては応答した。



「……はい。かんみ?おはよう

 ……うん。もうできてるわよ?

 ……えぇ。わかったわ

 私達はもう少ししてから出るわ

 ……そう?

 じゃあ『十六夜(いざよい)』の所で会いましょう」



魔道具での通話を終えたりと!は、

ギルド学園時代からの知り合いの十六夜(いざよい)の所に行くことを少年に伝えた。


りと!はまだ眠たそうにしながらも、

〈ねるねるじくね〉と

なにやら"厳重に密封された本"をカバンに詰め、

出掛ける支度をしていた。



(十六夜(いざよい)さんかぁ〜どんなひとなんだろ??)



少年は出掛ける支度をしながらも、

どんな人物かを想像していた。



紫陽花(アジサイ)コンビの知り合いの名前が出たことに、

少年は興味が湧いていたのだ。



「きっと普通の人じゃない!」っと、

今まで出会ってきた人達を思い出しながら

少年はそう感じていたのだった。



……ふふ。

いい予想してますね少年くん。

たしかに今まで出会ってきた人達のやべーやつ感は

凄いですからね。

『魔闘士レート』に『魔法剣士アカベコ』

はたまた『異世界から来た七星(ななほし)みらい』

『天才錬金術師りと!』に

今回の『図書館の妖精 十六夜(いざよい)

さらには『海賊王の娘リンク』


おっと、

わたくしとしたことが……

後ろの2人はまだ登場しておりませんでしたね。

口が滑りました……

では気を取りなおして本編に戻りましょうか。



少年はりと!と手を繋ぎながら王都にある図書館へと

歩いていた。


なぜ手を繋いでいるのかと言いますと、



りと!が少年に

「離れては迷子になるから!」っと言い、

手を繋ぐことを強要したのです。


少年はなんの疑いもせず、

りと!の言うことを聞き、

ここまで一緒に手を繋ぎ歩いて来たのであります。


りと!の顔はなぜか満面の笑みを浮かべている。




目の前にバカデカい図書館が見えてきた


このバカデカい図書館もまた、

大陸1のデカさで有名な図書館なのである



どうやらこの場所が

紫陽花(アジサイ)コンビとの待ち合わせ場所のようだ。



「おっきぃとしょかんだぁ!」


少年は目をキラキラ輝かせながら、

りと!と図書館の中に入って行った。




入ってすぐに図書館のさらに中に入る為のゲートがあり、

そして左側には入場料を支払う受付があった。

本の貸し出しや受け取りも、

この左側の受付カウンターで行うようだ。



そして右側にはなぜか『お土産屋さん』が設置されていた。


少年はりと!に、

「なんで図書館の中にお土産屋さんが?」

と疑問に思い聞いてみたのだが……

「入ってみたらわかるわ」と返事をし、

2人は左側の受付へと手を繋いだまま歩き出したのだ。



少年は入場料を支払おうとしたのだが、

りと!の顔を見た受付の人が無料ですぐに2人を

図書館の中へと招き入れてくれたのだ。


……まさかの顔パスですか



図書館の中はとても広かった



 「すっごぉぉ〜いっ!♪」


少年は、

1階、2階、3階と周りの棚にぎっしりと本が詰め込まれている光景を見てとても感動していた。



そんなギッシリ詰まった周りの棚の真ん中には、

1階、2階、3階の各階のど真ん中を

円筒のように突き抜けていて

ポッカリと大きく空いたスペースが目立っていた。


そのポッカリと空いたド真ん中のスペースには、

オープンテラスのような感じの食事が取れるお店があり、

そこで貴重な本以外は棚から取り出して

その場で読んでもいいようになっていた。



「あっ、 来た 来た♪」



オープンテラスのお店でシャウラと一緒に

朝食を取ろうとしていた甘飴甘味(あまあめかんみ)がこちらに気づき

手を振っていた。



それを見た少年は

すぐさまりと!と繋いでる手をパッとほどいては、



『かんみおねえちゃん♪』


『かんみおねえちゃん♪』


っと、


両手で大きく手をブンブン振りまわし、

体全体を使って図書館に来たことをアピールしていた



(かんみ……覚えていなさい)


少年との幸せな時間が終わり、

りと!が少し不機嫌になっていた。



少年とりと!が紫陽花(アジサイ)コンビが座っている席に近付いた時だった、

ちょうど先ほど紫陽花(アジサイ)コンビが注文したのであろう、

朝食の料理を運んでいるお店のウェイターがやってきたのだ


二人が食べるにしては多い量だった。




「魔道具が鳴った時も思ったのだけれど、

 早起きねかんみ。

 あなたそんなに早起きが得意だったかしら?」


りと!が甘飴甘味(あまあめかんみ)に尋ねた

その言い方には少しトゲがあった。



「んなわけねーだろ?

 オレがちゃんと起こして魔道具で

 連絡を取らせたんだよ」


シャウラが先ほどまで口にしていたコーヒーカップを

カチャリとテーブルに置き、

甘飴甘味(あまあめかんみ)の代わりに返事をした。


「出来上がってなくても

 俺たちはここで待ってるってな。」


コーヒーカップを置いたシャウラの手が、

続けて近くのお皿に乗っているハムカツサンドに向けて伸びていた。



甘飴甘味(あまあめかんみ)はと言うと、

シャウラと向かい合わせに座っており、

届いた料理に夢中みたいで、

話をそっちのけで一生懸命もぐもぐと美味しそうに食べていた。



「出来てるわよ」



りと!はカバンから〈ねるねるじくね〉を取り出し、

そのまま近くでもぐもぐした可愛い顔の甘飴甘味(あまあめかんみ)に渡そうとした。



「もぐぅ??」


甘飴甘味(あまあめかんみ)は話をまったく聞いておらず、

渡されるままに

「とりあえず受け取ってからまた食べよう」として手を伸ばした。



すると、


どこからか、とても小さな声が聞こえてきたのだ



『……かんみに渡したらダメだよりと!

       ……また壊しちゃうよ?』



ボソッとしたしゃべり方が、

本当にどこからともなく聞こえてきたのだ。


声の感じからすると女の子の声のようだが……



少年はどこから声が聞こえてきたのかまったく分からず、

周りをキョロキョロと見渡していた。



「そうだった、そうだった。

 かんみが持ってたらまた壊すよなぁ。

 十六夜(いざよい)ナイスだわ!」


シャウラは甘飴甘味(あまあめかんみ)の代わりにりと!からアイテムを受けとった



シャウラは隣に座っている小さな女の子『十六夜(いざよい)』にお礼を言っていた。


その様子を見た少年は、

先ほど聞こえてきた声の主の居場所をようやく見つけることができたのだった。


シャウラの背が高く、

最初はこちらからではその女の子の姿を発見できなかったのだ。


少年はシャウラのすぐ隣に座っている小さな女の子のことをじぃーっと見つめていた。



その容姿は、

体格は小さく髪は黄色、

瞳は青緑で澄んだ目をしており、

緑色のメガネをかけていた。



そんな小さな女の子は、

ハムカツサンドをゆっくりカリカリっと、

リスのように食べていた。


見た目は小さくても歳は紫陽花(アジサイ)コンビや

りと!と同い年と言うのだから驚きだ。



少年の目線は十六夜(いざよい)の目からだんだんと下に行き、

口元の方を見つめている……


グゥー〜〜


「……ハムカツサンドとても美味そうだね!」


っと、

お腹を空かせているのか、

ハムカツサンドに目を奪われていた。



「この少年は……

かんみやシャウラの子供?」


ボソッっと十六夜(いざよい)はそう2人に問いかけた



そして2人の返事はもちろんこれ、


 

   「せやで♪」「ちげーよ!」



甘飴甘味(あまあめかんみ)は肯定し、シャウラは否定した



「……だよね」カリカリカリカリッ


十六夜(いざよい)はわかりきった答えを確認してから

再びハムカツサンドを食べ始めたのだった。


りと!と少年も、シャウラや十六夜(いざよい)と同じハムカツサンドセットを頼み、

みんなと一緒に朝食を取ることにした

ちなみにりと!は紅茶、少年はオレンジジュースであります。

そして甘飴甘味(あまあめかんみ)は1人だけ、

イチゴてんこ盛りのクリーム控えめなパンケーキを

美味しそうに食べていた。




十六夜(いざよい)にも渡す物があるわよ?

 〈例のアレ〉よ」


りと!がカバンからなにやら厳重に密封された本を取り出し、

十六夜(いざよい)に渡した。



十六夜(いざよい)は一旦席を離れ、

みんなからはほんの少し離れた場所で

その中身を確認した。



    「こ、これはッ!!!

     ……たしかに本物

     ……りと!に頼んで正解」


ボソッと言う十六夜(いざよい)


少年からはどんな本なのか見えないでいた。



「わざわざこの国の国王様に頼んで北の大陸から

 取り寄せた品物よ

 後でその本について議論しましょう」



(えっ⁈

わざわざ国王様に頼んで手に入れて貰ったほどなの⁈

い、いったいどれほどの貴重な本なんだろぉ?)



少年は驚いていた



「……そうだね、

……その時はレートも呼ばないとね」


ボソッとした言い方で、

十六夜(いざよい)がりと!に返事をした


それを聞き少年はさらにびっくりしていた



(な、なんだってぇぇぇ⁈

魔闘士のレートさんも呼んでなの⁈

いっ、いったいどんな内容なんだろっ!!

あ、あの本、

き、気になる!!)


少年は今まさにとんでもない国家秘密や戦略を

目撃し聞いてしまっているのでは⁈

っと、

ものすごい勘違いをしていたのだった。



ーー

……ふふっ。

おや?

ナレーションであるわたくしめからは、

十六夜(いざよい)さんが持っている本の表紙がチラッと見えてますねぇ……


ふむふむ、

どれどれ、、、

なにやら〈裸の男ふたりが抱き合っている〉ような本みたいですね………あっ(察し)


な、なるほど、そうゆうことですか。


少年くん、

きみが知るのには少し早い本のようですね。



ーー



紫陽花(アジサイ)コンビの2人は、

そんな十六夜(いざよい)とりと!のやり取りを見て

「やれやれまた始まった」とでも言いたそうな顔をしていた。



それでも紫陽花(アジサイ)コンビとりと!や十六夜は、

同じギルド学園時代を過ごした仲間達に久しぶりに会えて嬉しかったのか、

みんなでいろいろと楽しそうに話をしていた。



そこへ……



「あの、お食事中、失礼いたします。

 〈妖精〉さま

 よければ私に

 道を示していただけませんでしょうか?」



なにやらものすごく困っていそうな

切羽詰まったような顔したおばさんが、

こちらのテーブルまでやって来ては声をかけてきたのだ。



十六夜(いざよい)、呼ばれてるぞ」


シャウラが十六夜(いざよい)を呼ぶ。


「……え?わたし??

 ……妖精さまってなに?」


ボソッっと返事をする十六夜(いざよい)


「あら?

 知らなかったの?

 あなた『図書館の妖精』って呼ばれてるのよ?」


りと!が十六夜(いざよい)のあだ名のことを教えてあげた


「妖精ってあだ名かわいいやんなぁ。

 かんみもなんか可愛いあだ名がほしぃなぁ♪」


甘飴甘味(あまあめかんみ)が明るく元気な声で言う。


(いや、あのね、かんみおねえちゃん……

紫陽花(アジサイ)コンビのお話はとても有名なんだよ?

可愛いかどうかは置いといて、

〈ぶっ飛んでる〉とか〈やべーやつ〉で有名だよ?)


少年はそう思うも、

声には出さずに

静かに心の中にだけ留めたのだった。


……偉いですよ少年くん。



「……いいよ?……手を出して」


ボソッっと十六夜(いざよい)はおばさんに返事をした

おばさんは言われるがままに手を差し出した


差し出された手を握りしめ十六夜(いざよい)は目を閉じながら

なにやら呪文の詠唱を始めたのだった。



その呪文の詠唱はとてもとても小さな声で行われており、

まるで"妖精が囁いている"かのように

周りにはそう聞こえていた。



呪文の詠唱が終わった



すると……


十六夜(いざよい)とおばさんの手の上に眩しい光が輝き出し、

どこからともなく『一冊の本』が現れたのだ



その光景を見てはびっくりする少年



「な、なに?どうゆうことなの??」


少年は訳も分からず困惑していた


シャウラはそんなびっくりした少年を見ては

お腹を抱え笑っている。



「すごいでしょ♪

 いざぴはね、

 ここに置いてある本を"転移"させることが

 出来るんだよ♪

 その人に合った今の状況を導き出せる本、

 つまり!

 迷っている人を導いてるんやでぇ♪

 預言者なんやでぇ♪」



甘飴甘味(あまあめかんみ)が誇らしげにドヤ顔をしている



(かんみおねえちゃんって、

たまに言葉使いがおかしくなるよね?)




「……わたしは預言者なんかじゃない

 ヒントを与えてるだけ。

 ……本を読んで何かを感じたり、

 行動したりするのは本人次第だからね?」


ボソッと言う十六夜(いざよい)



「それでもあなたはすごいわよ

 わたしも随分とお世話になったもの」


りと!も十六夜(いざよい)のことを称賛していた



「……いやいや、

 すごいのはりと!だよ。

 わたしが導いた本の内容を全部、

 その頭に吸収したんだからね。

 ほんとキミは頑張り屋さんだよ」



またまたボソッっと言う十六夜(いざよい)



「さすが図書館の妖精さまだな。

 後ろを見てみろよ?」


シャウラが十六夜(いざよい)の後ろを指差した


つられて少年もシャウラが指差した方を見た。



なんと!


いつのまにかズラーっと長い列が、

このお店に向かって並んでいるではないですか!



   ヒソヒソッ

         ヒソヒソッ


(ねぇ聞いた?

いま妖精さまがいらっしゃるみたいよ)

(うそー⁈

いつもはこの図書館の秘密のお部屋に

引きこもってるって噂なのに⁈)

(おいおい聞いたか?

図書館の妖精がこの店にいるみたいだぞ!)

(ちょっと待て、

近くにいるのは天才錬金術師のりと!じゃねぇか??)



なにやら図書館内の至る所で噂になり、

十六夜(いざよい)のことを一目見ようとする者や

人生に迷い助言を請う者

子供の名前はどれが良いかなどを聞きにくる者、

などなど。


様々な目的で列が出来ていた



少年は、はっ!と気づき、


「お土産屋さんがあるのってもしかして……」


「そうよ?

 〈図書館の妖精グッズ〉が置いてあるのよ?

 わたしのオススメは

 『十六夜まんじゅう』と『妖精コロッケ』ね」


りと!が少年が疑問に思っていたこと答えてあげた



「なるほどぉ、そうだったんだぁ〜」


少年は入り口にあった『お土産屋さん』の謎が解けて納得していた。



「この人達みんなをさっきのやり方で導くの?」



少年は列の長さに困惑していた



「ん?

 いや、、、

 もうそろそろ終わる頃なんじゃないか?」


シャウラはそう言い終わると、

長蛇(ちょうだ)の列のことなど気にもせず、

優雅にコーヒーを飲みながら本を読んでいた。


……その姿、まるで『一枚の絵』のようだった



甘飴甘味(あまあめかんみ)はいつのまにか

『当店自慢のあっさり病みつきプリン』を追加で注文していて、

夢中になってまたもぐもぐ美味しそうに食べていた。


……その姿、まるで『甘飴甘味(あまあめかんみ)と言う概念』



りと!は手際良く十六夜(いざよい)の列を誘導し、

長蛇(ちょうだ)の列を(さば)いていた。


中には十六夜(いざよい)に会わずに、

りと!に握手を求める人もいた。


この国でりと!と十六夜(いざよい)の2人を知らない者はいないのだ。

もちろん紫陽花(アジサイ)コンビのことも……


次に十六夜(いざよい)に助言を貰いにきた女の子が、

そのことを口にしてしまうのだった



「あ、あれは!

 紫陽花(あじさい)コンビのおふたりですわ!

 こんなところで会えるなんて!

 これは運命ですわ!」



なにやらお嬢様っぽい口調の女の子が、

紫陽花(アジサイ)コンビに熱い視線を向けている


お嬢様育ちの女の子の容姿は、

髪は金髪でお嬢様っぽい髪型、

体型はふくよかな胸でいてスタイルがとても良い。


……が、


顔をよく見てみると、

その、

なんてゆーか、はい。

いわゆる"モブ顔"ってやつなのです、、、

……実に「惜しい!」の一言ですね。



「あぁーん!もぉ!

 せっかく紫陽花コンビのおふたりに

 出会えましたのにぃー!

 わたくしめは今は

 妖精さまの助言が必要なんですわよ!!」



モブ顔のお嬢様の声を聞き、

周りは一層ざわつき始めた。



(え?紫陽花コンビ?えっ??

あのぶっ飛んでる?)

(やべーやつってのも言われてるよな?)

(噂はほんとか?

りと!や十六夜(いざよい)と同期って噂……)

(甘飴甘味(あまあめかんみ)だぁ!もぐもぐしててかわいいな)

(やだ⁈

シャウラ様ファンクラブに今すぐ連絡しなきゃ!)


さまざまな方向からそんな声が聞こえてきた。


しかしそんな騒ぎも、

このお嬢様が十六夜(いざよい)から助言を受け、

幕を閉じるのだった



「この本を読めば良いのですわね。

 ありがとうございます妖精さま!

 ……あら?

 こっちの黒い本はなんですの?」


モブ顔お嬢様は自分に出てきた本を受け取り、

もう一つ後から出てきた『黒い本』を見つけては

首を傾げていた。


その黒い本が出てきたことで、

紫陽花(アジサイ)コンビとりと!は、

「ようやく終わったか……」

と言った顔をしていた。


そして長蛇(ちょうだ)を作っていた人達もまた、

その黒い本が現れたことに落胆し、

すぐさま列を解散し出したのだった。


(ちぇっもう出たのかよ)

(そんな……

私の運命の人を導いて欲しかったのに……)

(せめて紫陽花(アジサイ)コンビを一目見てから帰るか)



十六夜(いざよい)は後から出てきた黒い本をぱっと取り、

紫陽花(アジサイ)コンビやりと!に向かって、

「……じゃあ……わたしはこれで」

と、ボソッっと言い。

呪文を唱え転移したのだった。



モブ顔のお嬢様と少年は2人して、

「一体どうゆうこと?」と言った顔をしていた。



十六夜(いざよい)はね、

 他人を導く本を出せるのだけど、

 今みたいに相手の導く本と、

 自分が読む『黒い本』が出てくる時があるのよ。

 それと、

 ……まぁ、滅多に出ないんだけど、

 【赤い本】が出た時は、

 国王様や王都ギルドに報告する義務があるのよ。

 なぜならその赤い本は、

 【歴史を変えてしまう本】

 っと呼ばれているからなの」



りと!が詳しく教えてくれている。



「赤い本のことは置いといて、

 その黒い本が出たら最後、、、

 十六夜(いざよい)は自分の部屋っと言っても、

 この図書館の中にある秘密の部屋に引きこもって、

 その本を読み終わるまでは

 どんなことをしても出てこないのよ。」



「そうなんだぁ」「そうなんですわね」


少年とモブ顔お嬢様は同じように返事をしていた



(少年は赤い本のことが気になっていた)



「赤い本はかんみの時だったよなぁ〜

 いやぁ〜あの時は大変だったよなぁ……

 ふっ……思い出したくねぇ」 


シャウラは不適な笑みを浮かべたと思ったら、

すぐに発言をした。



「さてと、

 オレ達もそろそろ行くか!

 みらいさんに〈ねるねるじくね〉を渡さないと、

 いおりちゃん達が帰れないんだろ?」



シャウラはギルド学園時代に、

甘飴甘味(あまあめかんみ)十六夜(いざよい)によって赤い本が出現した回想シーンが、

このエピソードに出てくるだろうと先読みし、

先手を打って出発する発言をしたのだった。



……さすがシャウラさん、、、やりますね。



そう発言したシャウラだったが、

〈シャウラ様ファンクラブ〉のファンの女の子に囲まれ、

女の子達になにやらサインを書いたりしていた。


……いや、ほんといつのまに。



「え?シャウラ様?

今……いおりとおっしゃいましたの??

みはらいおりのことですの??」


会員No.0番のモブ顔お嬢様がシャウラに聞いた。


……あなたがお作りになったのですね。



「そうだぜ?

 知り合いかい?えーっと、たしか……

 ギルド長のじいさんの孫の……

 『モフ子ちゃん』」


そう聞き返すも、

シャウラは忙しくファンの女の子にサインを書いていた



「しゃ、シャウラ様がわたくしのお名前を!

 はぅ⁈……………………はっ!。

 あっ危なかったですわ。

 一瞬、天国に行くところでしたわ!

 そのとおりなのですわ♪

 わたくしはいおりさんやあいすさんのお二人と

 知り合いになったのですわ!

 この本をお二人に

 早く届けないといけませんのでしたわ」



そう言いながら、

モフ子と呼ばれたモブ顔のお嬢様は魔道カメラという魔道具で、

紫陽花(アジサイ)コンビと一緒に記念撮影したのち、

急いで帰って行ったのだった。



図書館を出て七星(ななほし)みらいのとこに向かう

紫陽花(アジサイ)コンビと少年そしてりと!

りと!はちゃっかり少年と手を繋いで歩いている。



すると、


一同の目の前に、

〈同じ顔の怪しい盗賊団5人〉が現れたのだ


その内の1人がこう言ってきた。



「おい!そこの青い髪の兄ちゃん!

 オメェが〈ねるねるじくね〉を持ってんだろ?

 へっへっへ、さっさとそれをよこしな」



なぜこの男はシャウラがアイテムを持っていることが

わかったのか……




ーーふふ。

図書館の妖精ですか、

なんとも不思議な能力ですね。

わたくしもぜひ導いていただきたいもの……


それにしてもこのモフ子……

ただのモブかと思っていましたが、

本編の重要な登場人物なのでしょうか?


……え?

な、なんですと⁈

モフ子が番外編でナレーションをするですと⁈


そ、そんな!わ、わたくしは??


……え?

あくまでも番外編だけ?

なんだ……い、いえ

そんなことだと思っていましたよっ!

いやほんと……ゴホン。

同じ顔の怪しい盗賊団も気になりますし、

早く次回に行きましょうか。

ではまたお会いしましょう。(ほっ)


番外編の伏線を入れたらめっちゃ長くなっちゃった。

(๑❛ᴗ❛๑)てへぺろ。

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