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エピソード4 魔獣討伐!噂の魔法剣士



「オラさ珍しいもん見れただぁ〜

 この村に魔獣があらわれたんらけろぉ

 魔法剣士様がぁ

 おたすぅけにくださぁったさぁ〜」


そう農民のおじさんは言う



王都にあるギルド学園から魔獣討伐に向け、

出発した4人は、

目撃情報があった近くの村から煙が見え

急ぎ村へと駆けつけた



……が、



見渡す限り魔獣も魔法剣士もその場にはおらず、

村にも被害がさほど出ていない様子だった。




「いやぁ〜

 魔法剣士様なんぞ

 めったにみねぇ職業だべ?

 おまけに世界にゃあ7本しかねぇ【魔剣】を

 拝めたけぇぇのぉ

 息子に自慢できっべなぁ〜!

 はっはっは!」



魔獣に襲われたと言うのにこの明るさ

実にたくましい農民の方だ。



詳しく魔獣の情報を聞いてみたところ、

どうやらひと足先に魔法剣士が

魔獣を追い詰め、

そのまま追っているらしい。



「くそ〜、出遅れたぁー」


それを聞き(くや)しそうにするシャウラ



「被害が少なくてよかったね♪

 わたし達も後を追いましょ♪」

 


村人達を心配し励ます甘飴甘味(あまあめかんみ)

甘飴甘味(あまあめかんみ)はぶっ飛んでいる所はあるが、

意外と他人のことを心配し

他人の為に行動する

そんな心優しい女の子なのだ。


……ほんと意外ですね



(よかったぁ

思ったほど魔獣って強くないのかも?

それとも魔法剣士さんが強いのかなぁ?)


少年の不安だった心が少し晴れ、

魔獣が危険なことも忘れ、

魔獣がどんな姿か?

そして世界に7本しかない魔剣とは?


少年はそんなことばかり考えていたのだった。



しばらく進むと森が見えてきた


どうやら魔獣はこの森を住処(すみか)にしているようだ。




「キャー」「うわー」


森の中から悲鳴が聞こえてきた


4人は悲鳴のする方へと急ぎ向かった



するとそこには……



爪が鋭く、

目はギラギラとし、

口には血のついた硬そうな牙が!


そして狼よりも何倍もデカいその姿……


Aランクの魔獣がそこにいたのだ。



魔獣の近くで傷付き倒れている人達を見つけては、

その中に顔見知りがいたことに

甘飴甘味(あまあめかんみ)七星(ななほし)みらいは(おどろ)いていた。



   『『 ザナトス先生⁈⁈ 』』



甘飴甘味(あまあめかんみ)七星(ななほし)みらいは同時に声をあげた


そこにはギルド学園の先生と他の冒険者達が倒れていたのだ



「他の倒れている連中はおそらく、

 街のギルドから依頼を受けちまった連中だな」



シャウラは自分達と魔法剣士のほかに、

魔獣の討伐に向かっていた連中がいたことに驚いていた。

そして冷静に分析していた。



なぜならAランクの魔獣となると、

本来ならトップクラスの冒険者や、

魔獣を討伐として本領を発揮する魔法剣士や

魔闘士などが受けれる依頼だからだ。


(街ギルドの連中では

この依頼は受けられないはずなんだがな……)



シャウラは疑問を持ちつつも、

甘飴甘味(あまあめかんみ)と目を合わせ

すぐさま助けに向かった。



シャウラが魔獣の目の前に立った



シャウラが魔獣と睨めっこをしている隙に、

甘飴甘味(あまあめかんみ)

傷付き倒れている人達の元へ行き、

声をかけた。



「ザナトス先生、ちすちす!

 大丈夫ですか?

 ここはわたし達に任せてなぁ♪

 みらいさん手当てを!」



七星(ななほし)みらいも甘飴甘味(あまあめかんみ)の近くに駆け寄り、

すぐさまザナトス先生を治療しようとした


「……私としたことが(クイッ)

 甘飴甘味(あまあめかんみ)?それにシャウラ?

 みらい先生もどうしてここに??」


倒れていた男が眼鏡をクイッと上げていた


「それはこっちのセリフですよ!ザナトス先生」


七星(ななほし)みらいが返事をした



どうやら『ザナトス』と呼ばれているメガネをかけた男の人は、

ギルド学園で先生をやっている人みたいだ。



「 わ、たしは、いいの、で、はっ早く……

 こ、こちらの冒険者の、方達を……」



「!」


七星(ななほし)みらいは一瞬、

ザナトス先生の傷を見たが、

すぐさま意識のない冒険者達の手当てに取り掛かった


こちらの冒険者達の方がすごい傷だからだ。



先ほどから睨めっこをしていた魔獣とシャウラが動きはじめた



魔獣の鋭い爪と硬い牙がシャウラを襲う!


それを回避し反撃するシャウラ!


そんな攻防が幾度なく繰り返されていた。



その場からさほど動いていないにもかかわらず、

その攻防の動きは目で追えないでいたのだ。



魔獣のスピードも素早いが、

シャウラはそれに平然と追いつき

手に持つナイフで魔獣の命を狩りとろうとしている。


魔獣も相手が只者ではないことを感じ、

必死に攻撃を繰り返していた。




     「ふっ……」


           不適に笑うシャウラ


     「ガガァァ⁈」


魔獣はなぜシャウラが笑ったのか理解できずにいた


……が、


その答えは1秒後にやってきたのだ。


   

ーーゴォォォォォォォォ!!



シャウラの動きに集中するあまり

      "もう1人"

自分の命を狙う者がその場にいたことを見落としていた魔獣……


"甘飴甘味(あまあめかんみ)の激しい炎の魔法"が、

そんな油断した魔獣へと直撃した!



「ガァァァァー!!!……ァッ」



断末魔を上げ、

地に伏せる魔獣……

ギラギラしたその目からは

だんだんと輝きが失っていった……


一瞬の油断が命を分けることを

野生の本能が思い出し、

後悔しながらも魔獣は朽ちていったのだ。



「はい、清楚♪」


甘飴甘味(あまあめかんみ)が杖を振り回しながら言った




「いまのがAランクの魔獣なのかぁ??

 強さはBランクの魔獣と対して違わなかったぞ?」



シャウラは拍子抜けした顔をしていた



「ふふふっ、こっちも終わったわよ」



七星(ななほし)みらいも冒険者達の手当てが終わったみたいだ



「ち、違う……さほど驚異ではないが、

 なぜAランクがついたかと言うと、、、

 ま、まだ大きい魔獣がいるのです(クイッ)」


ザナトス先生は眼鏡を上げた後、

弱々しくも向こうの方を指差したのだった。




向こうの方に目をやると、

"一際大きい魔獣"と対峙(たいじ)している赤い髪の青年が目に映った。



な、なんと⁈



倒したはずの魔獣がまだ1体いたのだ!


しかも明らかにさっきよりバカでかい……


あの大きい魔獣がボスのようだ。



赤い髪の青年は臆せず剣を構えていた

その手に持つ【魔剣】が、

赤く輝き出し、赤いオーラを纏い出した。


それを見た大きい魔獣は

命の危険を感じたのか、

赤く輝きだす魔剣と同時に、

大きい魔獣は雄叫びを出し空気を震わせたのだった



すると……



森の中からものすごい数の魔獣が、

ウジャウジャと何体も周りに集まり出してきたのだ。


その数は100体は超えているであろう。



「こいつらちょっと出過ぎじゃね?」



シャウラは森からゾロゾロと出てくる魔獣を

気持ち悪そうに見ていた。



「しゃ、シャウラさん!早く加勢に行かなきゃ!」


少年は慌ててシャウラの方を見た



「だな!いくぞ かんみ!」

「任せて♪シャウぴ♪」



紫陽花(あじさい)コンビが魔獣の群れへと突っ込んでいった



「みらいさん少し離れようよ」



少年はそう言い七星(ななほし)みらいの方を見たのだが、

七星(ななほし)みらいは目を閉じ、

なにやら歌声に似た詠唱を始めていた。



(この世界の魔法の詠唱じゃない??

 なんだろ???

 歌を歌っているような不思議な詠唱だぁ……)



少年は七星みらいの不思議な詠唱を聞き、

なぜか心から暖かさを感じていたのだった。



七星(ななほし)みらいの不思議な詠唱を近くで見ているザナトス先生はとても驚いていた。



(こ、これは⁈

まさか【七色(なないろ)音色(ねいろ)】なのか⁈

やはり七星(ななほし)みらいの補助魔法の正体は……

ん??

いや、、、少し違いますねぇ……

七色(なないろ)音色(ねいろ)】を真似た、

みらい先生の再現魔法ってところですか)



ザナトス先生は七星(ななほし)みらいの不思議な詠唱の正体を知っているのか、

その歌声を聞き、

驚いていたのだが、、、


その顔は怪しく笑みを浮かべていたのだった。



七星(ななほし)みらいの詠唱が終わると同時に、

七色の光が甘飴甘味(あまあめかんみ)を包みこんだ。



「みらいさんありがとう♪」


七色の光を帯びた甘飴甘味(あまあめかんみ)が宙を浮いている



「かんみ!道は作ったぞ!」



そうシャウラが叫んだ


シャウラの姿を見てみると、

"蒼い残像"が陽炎のように出ていた。

そして手前にいた魔獣を

すでに何体かやっつけては道を作り出していたのだ。


シャウラはそのまま素早く七星(ななほし)みらいや

少年がいるこちら側へと戻ってきた。


(シャウラさんいつのまに⁈

しかも何体かやっつけてる⁈

さっきの魔獣との戦闘は遊びだったってこと??)


少年はシャウラの強さに呆れるほど驚いていた。


そんな少年を

さらに驚かせる出来事が、

この後すぐに起こることになる……



七星(ななほし)みらいがザナトス先生に向け声を荒げた


『ザナトス先生も結界を! はやくっ!!』


そう言いながら、

七星(ななほし)みらいは怪我人を含め

自分達の周りを急ぎながら魔法の結界を張り巡らせている。



ザナトス先生は七星みらいの声で 

はっ!と気付き、

すぐさま慌てて自分も結界を張り巡らせた。

何重にもだ。





『べこぉぉぉ! よけてぇぇぇ!!!』




甘飴甘味(あまあめかんみ)はシャウラが作ってくれた道を飛びながらも、

魔獣に突っ込んでいき、

そして赤い髪の青年に向かって叫んだ



その姿は今にも魔法を放とうとしていたのだ。



「げっ!

 か、かんみ⁈

 それにシャウラまで⁈

 ちょっと待ておまっーーーーー」



赤い髪の青年が言う終わる前に、

甘飴甘味(あまあめかんみ)から(すさ)まじい数の魔法が飛んできたのだ




ーーズドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドッッッ!!!!




まるでマシンガンでもぶっ放して撃っているかのように、

甘飴甘味(あまあめかんみ)から"光の魔弾"がものすごい勢いで繰り出されたのだった。


その魔法の威力は(すさ)まじく、

魔獣に対して

1発、1発が大砲のように重くのしかかり、

魔獣の身体をコッパ微塵(みじん)にしていた。



気がつけば100体近くの魔獣を見事に殲滅し、

ついでに周りを綺麗さっぱり吹き飛ばしていたのだ



「はい、清楚♪

 あぁ〜スッキリしたぁ〜♪」


甘飴甘味(あまあめかんみ)はとても満足した顔をしている


少年は目を点にしては、

口をポカーンっと開けていた。


(う、うん。

ほんとに周りがスッキリしてるね、、、

さっきまでそこに"森"があったはずだよね???)



少年は甘飴甘味(あまあめかんみ)の魔法の威力と、

それを何倍にもした七星みらいの不思議な補助魔法を

恐れた。

この2人から生まれたコラボレーションによって出来た

見事な"森林破壊"に、

空いた口が塞がらないでいたのだ。




ーーふふっ。

森ひとつ吹き飛ばす、

見事な見事なコラボレーションやぁ♪♪♪

……ゴホン、失礼

今のは聞かなかったことにしていただきたい。


そういえば、

巻き添えを食らった赤い髪の魔法剣士はどうなったかと申しますと……


おっと、

本日はこの辺りで。


ではまた次回にお会いしましょう。


『次回!魔法剣士 登場することもなく死す!』


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