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僕だけに聞こえる彼女達の本音がデレデレすぎてヤバい!  作者: 寝坊助
デレ2~第2の妹登場!? クラスメートのお嬢様もヤバい!~
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17「うん♡♡ 気をつけて行ってきてね♡♡♡♡」

 というわけで、アリサさんとデートすることになった。

 何でも、遊園地のチケットが二枚分余ったので、一緒に行きたいらしい。

 まあ宿題の方は順調だし、あすかの問題はしばし置いておくとして、今日はアリサさんとのデートを楽しむことにしよう。


 僕も高校生だ。数少ない夏休みを、思い切り遊びたい。アリサさんなら気心も知れているし、さほど緊張もしないだろう。


 さて、ここで問題が一つ。アリサさんとデートに行くのがほみかとりおんにバレそうなのである。別に秘密にする理由もないのだが、色々と面倒くさい。特にりおんは。


「男友達と待ち合わせって、そんなはずないじゃん」


 早朝のリビングで、ほみかが顔をしかめながら言った。


「ていうか、男に会いに行くのにそんなオシャレする? 上はグレーのストレッチシャツ。しかも腕にはブレスレットなんかヂャラヂャラつけて。下は黒のスキニーパンツ。靴は生意気にもキャンパスシューズなんか履いちゃって。完全にこれデートじゃん。ねえ、りお姉もそう思うよね?」


「そうだね、わたしもほみかちゃんの言うとおりだと思うな」


 りおんが、珍しくほみかの意見に同意してから、


「わたしが調べたところ、透ちゃんのクラスでそんなに親しい友人はいなかったはず。それに、今日は朝から透ちゃん顔がにやけているもの。デートと考えるのが自然だと思うな」


 そう、朝からずっとこの調子なのだ。僕はアリサさんとの約束に向けておめかししてた所を、ほみかとりおんに見咎められ、こうしてリビングに拘束されているというわけだ。


「いや、だから友達とちょっと会ってくるだけだって。別に何もないし」


 僕がそう言うと、二人はぬっと顔を突き出して、


「ていうかバカ兄貴、そんな急に待ち合わせとかおかしくない? この夏は特に予定もないから暇だって言ってたじゃん。だからあたしと一緒に夏祭りに行ったんでしょ? なのに、なんでこのタイミングで遊びに行くの? いいから白状しなさいよ!」


(ほんとはほみか……お兄ちゃんに行ってほしくないの! ずっとほみかと一緒にいてほしい! だから、行かないで、お兄ちゃん!)


「そうだよ透ちゃん。もう怒らないから正直に言って? 本当は、男の子じゃなくて女の子と会いに行くんでしょ? 分かってるんだからねわたしは」


(またわたしを置いてけぼりにするの? ほみかちゃんと夏祭りに行って、今度は白輝さんとでもデートする気なんでしょ? もしそうなら、わたし許さないから!)


 ほみかとりおんは、僕のことを疑ってるようだ。

 というより、完全にバレている。


「さあどうなのよバカ兄貴!」


「どうなの透ちゃん!」


「――ちょ、ちょっと待って!」


 僕は慌てて二人を制止した。


「何で、そんな風に詰め寄られないといけないの? 別に、僕が誰と遊ぼうが自由じゃないか。ていうか、これじゃまるで犯罪者扱いだよ……」


 そう。そうだった。

 今日はアリサさんとデートに行くけども、だからといって何をするわけでもない。ただの息抜きとして行く予定なのに、どうしてこんな言われ方をしなくちゃならないのか。


「だから、本当に何もないんだよ。別に大したところに行くわけでもないし。すぐ帰ってくるんだよ。いい加減に僕のことを信じてくれないか」


「あら透ちゃん。人聞きの悪い」


 りおんは、冷たい目をしながら笑顔で、


「わたしは別に、透ちゃんがその人に何をするかなんて、最初から疑っていないんだよ? でもさあ、その人の気持ちは分からないじゃない? もしかしたら出かけた先で透ちゃんが何かされるかもしれないし。幼馴染として心配する気持ち、分かるよね?」


(透ちゃん可愛いから。たとえ男の人だとしても、お尻の穴を×××されるかもしれないでしょ? わたし以外の人だったら、男の人でも浮気だからね!)


「そういうことよバカ兄貴。大体、アンタはいつもコソコソと影で隠れて何か企んでるからね。信用しろと言う方が無理なのよ!」


(ほんとのこと話して! お兄ちゃんが浮気するなんて考えてもいないけど、また何か危ないことに巻き込まれるかもしれないから! ほみか心配なんだよ!)


「……君たち、僕のこと一体どういう目で見てるんだ?」


「ともかく! あたしは認めてあげないからね! 正直にどこ行くのか白状するまで、家から出さないから!」


「ほみかちゃん。ちょっと待って」


 りおんは激高するほみかを押しのけて、僕に向き直った。

 その手には、小さな布袋が握り締められている。

 

「透ちゃんの言うこと、よーく分かったよ。でもね、やっぱり心配なの。だから、このお守りだけ持っていって」


(わたしが三日三晩、寝ずに作ったお守りだよ!)


 そうしてりおんが差し出したのは、手作りのお守りだった。

 うわ。

 ピンクの布地で、ハートマークの中に透ちゃん♡りおんとか書かれてるよ。

 顔を上げると、りおんがニッコニコ顔でこっちを見つめていた。


「……ええと、これをつけるの?」


「当たり前じゃない! それにね」


 りおんは僕にそっと近づき、耳元でささやいた。


「……昨日、誰のおかげで命拾いしたのかな? わたしが体を張ってアイツを止めたおかげだよねー? それなのに、透ちゃんは恩も友情も感じていないの? それって人の道に欠けると思うなー。透ちゃんだけはそんな人じゃないと思ってたけど、ちがうのかなあ?」


「い、いや、そんな話を今しなくたって」


「……だいじょうぶ。ほみかちゃんにはこのことは言わないから。わたしだって詳しい事情は聞かないことにするよ。でもね、それには透ちゃんの誠意ってものが必要だよね。それさえ見せてくれれば、わたしだって悪いようにはしないよ?」


 明るく、ゾッとするほど優しい声色でりおんが脅しをかけてきた。

 これなら怒鳴り散らされた方がまだマシだよ。


「……というわけで、はい、透ちゃん。お守り」


「……ありがたく頂戴します」


「うん♡♡ 気をつけて行ってきてね♡♡♡♡」


 ポカンとするほみかを尻目に、僕はりおんからお守りを受け取った。

 まあそんなわけで。


 僕はアリサさんとデートする許可を二人からいただけたわけだ。

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