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僕だけに聞こえる彼女達の本音がデレデレすぎてヤバい!  作者: 寝坊助
デレ4~決着!? 最後に誰が選ばれるのかがヤバい!~
202/217

41「ぉ兄様のそれって、ただ逃げてるだけだよね」

 そんなこんなで、アリサとのデートを終え、帰るころにはすっかり日が暮れて、辺りは真っ暗になっていた。

 僕が玄関に上がると、すぐさま青い着物を着た少女が抱きついてきた。


「やっほぉ~! ぉ兄様ぁ、ぉっ帰りなさ~ぃ♪」


 見た目はあすかだけど、その声は甲高くてテンションも高くて、おまけに体のあちこちに柔らかい部位を押し付けてくるこのサービス精神ぶり。こんな真似を恥ずかしげもなくしてくるのは、間違いなくあすかの方ではない。


「ただいま。珍しいね。ことりが出迎えてくるなんて」


「だってさぁ~、あすかがあんまり代わらせてくれなぃんだもん! ことりばっかりぉ兄様と仲良くするのはダメみたぃ。ひどくなぃ? ことり、ぉ姉ちゃんなのに!」


「それは……まあ、どうなんだろうね。ことりの精神年齢は十二歳のままでストップしてるから、妹でもあすかの方が年上だろうし。そこは、ある程度あすかに主導権を任せていいんじゃないかな?」


「もぉ~、ぉ兄様までそんなこと言ぅ~。ぁんまり意地悪言ぅと、ことりグレちゃぅよ? そこら辺にぁるもの、手当たり次第に破壊しちゃぅよ?」


「止めてくれ。お前が言うとシャレにならないから……。ていうか、何しに出てきたんだ? 僕に話でもあるのか?」


「ぁ、そぉだった! ことり、ぉ兄様にぉ話がぁるんだった! ぃやだねぇ、この頃ちょっと忘れっぽくて。もぉ歳かしらぁん♪ なんてね。きゃはははは!」


 ……とまあ、やたらテンション高めのことりに連れられて。


「話って言ぅのはね。どぉしてぉ兄様とほみかぉ姉ちゃん、仲直りしなぃの?」


 リビングに入り、ソファに座るなり、ことりはそんなことを言った。

 すぐに答えようとしない僕に対し、ことりは眉をひそめながら、


「……ぁたし思ったんだけど、どぉしてぉ兄様はほみかぉ姉様を迎えに行かなぃの? 悪ぃと思ってるんなら、ごめんなさぃすればぃぃじゃなぃの。居場所も分かってるんだし。それとも、ほみかお姉ちゃんのこと、嫌ぃになっちゃったの?」


「いや……そんなことはないよ。ないんだけど……」


 どうして? と聞かれると答えづらい。あまりにも申し訳がなくて、どのようにして謝ればいいか分からないというか。ほみかのあの怒りようは、もう僕を許してはくれないだろうと、勝手に諦めてる部分もあるけど。


「ほみかぉ姉ちゃんは子供だから、ぉ兄様が大人になった方がぃぃよ」


「……だと思うけどね。でも僕はまだ、少し距離を置いた方がいいと思うんだ」


「距離ってなぁに? ぉ兄様はお姉ちゃんを大事に思ってるし、ほみかぉ姉ちゃんも、ぉ兄様のこと好きなんでしょ? それなのに、どぉして誤解したままにしとくの? 仲直りしづらくなるよ?」


「それは……でも、タイミングってものが……」


「ぉ兄様のそれ・・って、ただ逃げてるだけだよね」


「そうかもしれない。でも謝罪って、ただ謝ればいいってものでもないと思うよ? 今回みたいに相手が心底怒ってる時は、冷静に話を聞いてくれるまで待った方がいい」


「それが間違ってるんだよ。言ったでしょ? ほみかぉ姉ちゃんは子供だって。相手してぁげないとますます拗ねちゃぅんだよ。だから、ぉ兄様の方からきちんと謝って仲直りしなよ――生きてる内に・・・・・・


 真剣な表情で、声を低くしてことりは言うのだった。だから僕も真面目な顔で、


「ねえ、聞きたいんだけど。どうしてことりは、僕とほみかの仲をそんなに取り持とうとしてるんだ? ことりって、ほみかとそんな仲良かったっけ?」


「べつに? ことり、ほみかぉ姉ちゃんのこと嫌いでもなぃけど、好きでもなぃよ? ほみかぉ姉ちゃん、ぉ料理下手だし」


「なら別に……」


「でもね、ぉ兄様とぉ姉ちゃんを見てると気になるの。ぁたしは、あすかとすれ違ったまま死んじゃったから。でも仲直りできる時間も信頼もぁるのに、どぉしてぉ兄様達はそれをしないの?」


「それは……」


 僕がほみかに会いに行かない理由。それは、本当にほみかの為だろうか。そんなことを言いつつ、また保身に走っていたのではないだろうか? いわゆる、自分のための保身を。


「ね? ことりの言ぅこと、分かるでしょ?」


 落ち込む僕に、優しく声を掛けることり。


「だったらもぉ、やることは分かるよね? ぉ母様に連絡を取って、一日でも早く、ほみかぉ姉ちゃんを迎えに行く。急がなぃと、間に合わなくなるよ? だから、ふぁいと、だよ! ぉ兄様♪」


 体の前で両手をぎゅっと握りしめて、ことりは僕にエールを送るのであった。

 まさか、小学生のことりにまで諭されるなんて。これじゃ兄貴失格だな。僕は心の中で苦笑しながら、


「分かったよ。とりあえずは、つばめさんに電話してみよう」


「ぅんぅん。それがぃぃよ。ぁんまりぉ姉ちゃんが聞き分けなぃようだったら、ことりが首根っこ引っつかんでくるから」


「いや、それは逆効果だから止めてくれ……」


「なんでなんで? ことり、上手くやれるよ?」


「あのねえ。お前が動いて上手くやれたことなんて、今まで一度もないだろ。信用0なんだけど」


「ことり、手加減するの上手いんだけどなぁ。生かさず殺さずってやつ? ぉ兄様のことも、殺さなぃようにわざと短刀を外したりしてたんだよ? ほみかぉ姉様の抵抗する力をそぎ落して、なぉかつ重症も負わないように出来るんだけどなぁ」


「それが本当だとしても絶対頼まないし、むしろ止めてほしいんだけど……ん?」


 ことりの頓珍漢な提案を断っていると、スマホから着信が鳴った。僕はポケットからスマホを取り出した。


「誰から? りお姉ちゃん? アリサ姉ちゃん?」


「ちょっと待ってね。ええと、え? ――」


 僕がスマホの画面を見つめて硬直していると。

 ことりは焦れったそうに聞き直してくるのだった。


「ぉ兄様? 誰から? 誰からの電話なの?」


「いや、これ……何かの間違いじゃないのかな」


「だから、誰から?」


「ほみかから」


「……………………」


 ことりは僕の言葉を聞いて、絶句するのであった。

 それは僕も同じだ。今から電話しようと思ってた相手から、急に電話が掛かってきたのだから。しかも、あれだけ僕との連絡を拒絶していたほみかから? 心の準備がまるで出来てない内に、驚愕するのは当たり前のことで。


 そんな驚きはともかく。

 僕は通話ボタンを押し、ほみかからの着信に出るのであった――

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― 新着の感想 ―
[良い点] 更新お疲れ様です! [一言] 皆に背中押してもらって重い腰が上がったと思ったらほみかに先を越されたでござる。
2020/06/07 20:52 退会済み
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