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僕だけに聞こえる彼女達の本音がデレデレすぎてヤバい!  作者: 寝坊助
デレ3~主人公、まさかの離縁!? 幼馴染とクラスメートのバトルもヤバい!~
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2「白輝さん! わたしと勝負してもらうよ!」

 その後も、アリサさんからの『好き好きアピール』は続いた。

 そのデレデレっぷりはクラスメートからもドン引きされたほどだ。

 例えば、授業中であるにも関わらず膝枕を要求するとか。

 もしくは、休み時間中トイレに行こうとすると一緒についてくるとか。

 

 要するに、付き合いたてのバカップルみたいなことをノリノリでやってくる。いや、そもそも付き合ってないんだけどね。


 そのクールっぷりから、周囲から敬遠されてたアリサさんだが。

 今となっては立派な恋愛脳。

 そのデレデレっぷりが引き起こす影響はクラスだけでなく、もっと厄介なところにまで波及していて……。


「……はい、透さん。あーん♡」


 お昼休み。屋上のフェンス下に腰掛けたアリサさんが、お弁当のおかずを箸でつまみながら、僕に話しかけてきた。


「……遠慮しなくていいんですよ? 透さんのために作ったんですから、いっぱい食べてください」


「ああ、うん。いただきます」


 遠慮してるわけじゃないんだけどね。そう思いつつも、僕はアリサさんが差し出すおかずにパクつく。


「……どうですか? 透さん、お口に合いますか?」


「うん、とっても美味しいよ」


「……そうですか。それはよかったです。なにしろ、透さんのために朝四時から起きて作ったんですよ? 私の愛情がたっぷり入ってますから」


「そ、そんなに朝早く……? でも、うん。どうもありがとう」


「……いえいえ。あ、ご飯粒がついてますよ」


 嬉しそうにそう言うと、アリサさんは僕の口元についてたお米を指で拾い上げ、口の中に入れた。


「……うふふ♡ 透さんったらしょうがない人ですね♡♡」


「ご、ごめん。手間をかけたね」


「……いいんですよ。透さんのためなら、私、何だって出来ますから♡♡♡」


「ありがとう」


「……いいえ。うふふ♡」


「「…………」」


 と、僕とアリサさんのやり取りを、不満げに見つめる者が二人。

 

 まず一人めは、僕の義理の妹で、神奈月ほみか。

 眩しい金髪の両サイドを、ピンクのリボンでまとめてツインテールにしている。

 特徴的なのは、大きくてスラッと切れ長な猫目。

 高校生にしては身長が少し残念だけど――おっとと。こんなことを言うとほみかに失礼か。控えめなスタイルは可愛らしく、成長性抜群、と言い換えておこう。


 もう一人、一ノ瀬りおんは、僕の幼馴染にして、ヤンデレ病の発症者。そして、我が安寧学園のアイドル的存在でもある。


 艶やかなピンクのゆるふわウェーブは癖っ毛ひとつなく、スタイルはとても引き締まっていて、特に胸ははち切れんばかり。本人いわく、何と驚きのFカップだそうだ。

 

「あの、白輝さん。ちょっといいかな?」


 りおんが眉根を寄せながら話しかけると、


「……なんでしょうか? 一ノ瀬さん」


 アリサさんは飄々と応える。


「……というか、いたんですね。気づかなかったです」


「いたよ! どれだけ目に入ってないのわたし!? てゆーかそうじゃなくて! 何よ! さっきから黙って見てればずっと透ちゃんとイチャイチャして! 透ちゃんはわたしのものなんだよ!」


「……そんなこと、いつ決まったんですか?」


「生まれる前からだよ。透ちゃんとわたしは、運命の赤い糸で結ばれているの。あなたはさっき透ちゃんのためなら何でも出来るって言ってたけど、わたしは死ぬことだって出来る……それぐらい、透ちゃんを愛してるの! 分かったら、さっさと透ちゃんから離れて!」


「ま、まあまあ二人とも。ちょっと落ち着いて」


 僕は両手を振ってアリサさんとりおんを宥めた。

 特にりおんの方は、またヤンデレモードが発動してるっぽいし

 そんな僕の危機感は無視して、りおんがアリサさんに向かって口を開いた。


「白輝さん、いい加減にしないと、そろそろわたしも怒るよ?」


「……私に、どうしろというんですか?」


「簡単なことだよ。透ちゃんから離れて、そして二度と近づかないで!」


「……そんなこと、出来ると思います?」


「あなたの意見なんて、聞いてない!」


「……お断りです。一ノ瀬さんこそ、透さんに言い寄るのは止めてください」


 うん、これはヤバい雰囲気だね。

 ヤンデレのりおんはともかく、アリサさんまでもが臨戦態勢になってるよ。


「うふふ、面白いね。透ちゃんをあきらめないどころか、このわたしに、透ちゃんをあきらめろって? 白輝さん、冗談もそこまでいくと笑えないよ?」


「……本気ですから。私は透さんと結ばれるためなら、誰とだって戦います」


「ふーん、大した覚悟だね。それじゃあ、その覚悟が本物かどうか、試させてもらおうかな?」


 まずい。

 口喧嘩が、どんどんエスカレートしている。このままでは、取っ組み合いになりそうな雰囲気だ。

 やっぱり、りおんの前でアリサさんとイチャイチャするのはまずかったか。

 りおんの発症してる『ヤンデレ病』は、対象の異性が他の異性と仲良くしてるのを見ると、激しい嫉妬の炎を燃え上がらせるからなあ。


 僕がそんなことを考えていると、りおんは射抜くような鋭い視線を向け、アリサさんを指差すとこう宣言した。


「白輝さん! わたしと勝負してもらうよ! 次の授業は二クラス合同で水泳だからね。その時、わたしと競泳で勝負だよ。名づけて、『ドキッ☆りおんとアリサの水泳競争! ~ポロリもあるよ~』……どう? 受けて立つでしょ!?」

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