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カーリーの魔法学院生活  作者: 田中
7/10

友達

そんなこんなで今は4回先輩の部屋。沢山の本で足の踏み場が無い程汚い部屋にアルネージュ先輩がこれでもかと眉をひそめた。


私もいつもの癖で手が掃除したくてうずうずしたけれど気持ちを押しとどめる。


「ゴホン、まず、カーリー・アルミナ。お前の欠点はその痩せすぎている所だ」


ビシィと、効果音が鳴りそうな程素早く指を刺される。私の国では指を指すのははしたないと言われていたけれどここでは違うのだろうか。


既に遠い目をした私の頬をパシンと両手で挟み込まれると唇が突き出る。


「オイ、現実に戻れ。まずは太らせる所から始めるぞ。」


「ほんなはやふふほへはへん」


「そしてその髪もなんとかしよう。まったくパサパサじゃないか。こんな暗い赤毛と私の赤毛を同一視するとは…ロゼットはどうしてしまったのか」


「ひいへ 」


「よし、では食堂に行くぞ」


「さっひはへはひは」


「さっきはさっき今は今だ。」


首根っこを掴まれて軽々と持ち上げられる。さっき食べたばかりでお腹に入る気がしない…


「せんぱーい、そんなまどろっこしいの無しに変身魔法でちょちょいのちょいって変えれば良いじゃないですかぁ」


「よ、4回先輩…ナイス提案です」


「何気に失礼だねぇ。まぁ、いいけどさぁ」


「はぁ、それが出来たら苦労しない。私の可愛いロゼットは産まれながらの魔眼持ちのせいで変身魔法や幻惑の類の本質を見抜いてしまうのだよ」


「……あー、カーリー頑張ってぇ」


「4回先輩助けて下さいっ、さっきご飯食べたばっかです。もう入らないですってば!!」


そんな泣き言を言っているとドアがノックされる。


「はいはーい」


4回先輩が扉をあけると、金髪碧眼美少女が入ってくる。


「ロゼット、私の可愛い「(お前は少し黙っとけ)」


ついでにケルピーも。

ケルピーの前足がアルネージュ先輩の鳩尾に入り気絶させた。


「少し黙ってお兄様。」


そしてロゼットは私にその形の良い頭を下げた。


「え、あの…」


「ごめんなさいっ」


「えっ…?」


「ルームメイトになる人に、あんな態度とってしまって…そこのケルピーが私のポーネンティアのケット・シーを通して教えてくれました。」


「あまりにこのバカ馬が扉を叩くからにゃあ。そしたらそこの馬鹿兄貴に連行されたと聞けば…話ぐらいは聞くにゃあ」


視線を落とせば灰色の毛並みの尾を二本持つ猫が二本足で立っていた。


「この学院には様々な人が来るとききます。なのに、私…あなたを偏見の目で見てしまいました。」


「けど、驚かせてしまったのは私のようだし…」


「いいえ…それでも、謝らなくてはなりません。家の者から扱き使われろくに食べさせて貰えなかった挙句に着の身着のまま追い出されて、ボロボロの満身創痍で試験に臨んでいた…と。しかも聞けば私が見た時のあなたは魔物に襲われかけ命からがら逃げていたそうじゃないですか」


思わずケルピーを睨むとケルピーは何処吹く風。


「(運命の糸を結ぶとある程度記憶も読めるんだよ。それに嘘は言ってねぇだろ?)」


「そうだけど…」


「カーリーさん!」


「は、はいっ」


「本当にごめんなさい」


「ろ、ロゼットさん、頭を上げて下さい。私がこんなナリなのも悪いですし…ドア閉められた時は確かにびっくりししましたけど…ちゃんと理由も分かりましたし。おあいこです」


「カーリーさん… 」


「だから、その…私をルームメイトにしてくれませんか?」


「はい、勿論です。そしてルームメイトだけと言わず友達になって頂けると嬉しいです。」


「友達…」


「あ、不躾ですよね。さっきまで締め出してしまってた相手にこんなこと言われるなんて…」


「ち、違う違うっ…そうじゃなくて。友達なんて、初めてだから、その嬉しくて… 」


「カーリーさんの最初の友達なんて光栄です。」


「私もこんな可愛い友達が出来て凄く嬉しいよ。よろしくね、ロゼットさん」


「折角と友達になったんです、ロゼと呼んでください」


「うん、私の事もカーリーって呼んで。あと、そんな堅苦しい喋り方しないでいいよ、私身分低いし」


「身分は関係ないです。なら、お言葉に甘えて…よろしくね、カーリー」


「うん」




「これで一件落着ですかー、良かった良かったー」


「っ、良くない…妹の友人ならばもっと気品の…ぐはっ」


「ロ、ロゼ!?」

復活したアルネージュ先輩を急に足蹴にしだしたロゼに驚いているととんでもない程素敵な笑顔をロゼはする。


「貴族の間では学院デビューなんて言葉が存在するんだけど… そろそろお兄様、もとい、クソ兄貴がウザイので私もデビューすることにするね?カーリー。」


「ロ、ロゼットーーーー、許さん、許さんぞカーリー・アルミナーーー」


初めての天使のような友達が悪魔になった瞬間に、私は顔が引き攣った。


拝啓、天国のお母さん。

やっぱり学院生活は波乱万丈に満ちてます。

ケット・シー

猫の妖精。100年以上生きた猫の尾が二つに割れ精霊かしたとも言われている。二足歩行で人語を喋り非常に博識。中には武器を使いこなすケット・シーも居るとされている。

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