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カーリーの魔法学院生活  作者: 田中
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寮生活は始まらない

「(オイ、何してるんだ)」


私は今、寮の自分の部屋の前で立ちすくんでいる。急かすように鼻面を押し付けて来るケルピーの頭を押し退け溜息を吐いた。


エリザベータ先輩達とご飯を食べた後に女子寮まで案内してもらったものの、寮母さん曰くルームメイトが既にいるとかでどう入ったら良いのか迷いに迷っていたのだ。頼りになるエリザベータ先輩は用事があるとかで居なくなってしまったし。


ノックをしようと手を挙げてはまた下ろすのを繰り返し早何度目か。


「(お前そんな弱気な奴じゃねぇだろ。俺の鼻足で踏みつけるぐらいなんだから肝座ってるだろ)」


「あれはケルピーが苛立つ笑い方したから。ってそういう度胸じゃなくて、私友達なんていたことないから…」


「(友達出来るか不安ってか?見ての通りの餓鬼か)」


「見ての通りの餓鬼だよ。」


ついでにガリガリのみすぼらしいもつく。そう言おうとして情けなくなったのでやめた。


「(ったく、世話のかかるヤツだ)」


「あ、ちょ…待って」


そう言ったのにも聞かないでケルピーが脚で扉をノックする。


するとドタンバタンと凄まじい音が響いてから小さく扉が開いた。

扉の隙間から整った顔の女子が出てくる。ブロンドのウェーブの髪に青い瞳はまるで人形のようで、思わず見蕩れているとヒッという悲鳴と共に扉を閉じられてしまう。


「……え」


「(あー…どんまいだ。そういうこともある。)」


「でも…ここ、私の部屋でも」


「(野宿だな。)」


「ううう、嫌だよ…折角エリザベータ先輩から寮の色んな部屋教えて貰って寝る部屋楽しみにしてたのに…フカフカなベッドで寝たかったのに」


「(痛いって、鬣引っ張るな呪うぞ…仕方ないだろ嫌われてんだから)」


「初対面で嫌われることした覚えないよっ。」


「(なら俺に驚いたか。残念だったな俺と運命結んだのが運の尽きだ。透過魔法覚えるまで諦めろ)」


「ケルピーの馬鹿ァァァ」


べしべしと叩いてるとガチャりと隣の部屋から褐色の肌の人が出てくる。エルデルシアの南側の国アラビリア出身の人だろうか?緑色のローブを着てるから確か2年生で先輩なのは確かなんだろうけど。


「なぁに、騒いでるかと思えばぁ、赤毛の新入生さぁ、もしかしてぇ、ロゼットに入れてもらえなかったんでしょー」


「ロゼット?」


「金髪碧眼の美少女」


「は、はい」


コクコクと頷くとアチャーとその先輩は額に手を当てた。


「まぁ、そうだよねぇ…。あんたを医務室で見た時にそんな気はしてたんだけどさぁ…」


間延びした舌足らずな喋り方をする先輩は何故か遠い目をする。


「あんたとロゼットは初対面じゃないのよぉ。残念なことにねぇ」


「え、でも私会ったことなんて」


「正確にはロゼットがあんたを見ただけなんだけどねぇ。試験中小川で見たあんたがあまりに動く屍のようであの子赤毛恐怖症な訳ぇ」


確かにあの時女の子の悲鳴が聞こえた気がしたけれど、まさかこんな事になるなんて思うわけが無い。


「そんなぁ…あれは、不可抗力ですよ」


「けどねぇ、あの時よりマシになったとはいえねぇ、そんだけ落窪んだ目と痩けた頬じゃ無理ってもんだよぉ?私も炎の身体になってたけど怖かったもん」


そう先輩に言われてしまうとどうしようもない。


「私はどうすれば」


「そうねぇ。うーん…」


「そういう事なら私にお任せだ迷える子羊」


褐色の先輩が押しのけられると、どこからともなく白色最高学年を表すローブを纏った以外全てが赤い人が背後に薔薇を散らせながら現われた。


「(なんだコイツ)」


「アルネージュ様と呼べ」


「7年生の、男子寮の寮長ですよぉ。女子寮に潜り込む変質者なんでなるべく関わらないことを「煩い、留年4回目。こんないたいけな少女を見てカンテラから脱兎のごとく逃げだした挙句我が可愛い妹のロゼットを置いて逃げたしてトラウマを作ったんだから手伝いたまえ」


「先輩も赤毛で嫌われたからって八つ当たりですよぉ」


「シャーラップ、黙れ!」


拳骨を思いっきりくらった留年4回目の先輩に不憫な目を向ける。

なんだか、私はとてつもない所に来てしまったのかもしれない。


「(どんまいだ)」


「…うん。」


もう談話室のソファで寝るのもありなんじゃないかと思い始めているもアルネージュ先輩の声は高らかだ。


「さて、新入生!私は思うのだよ!怖かった原因を取り除くのがトラウマを無くす近道だと」


「つ、つまり?」


「お前を改造する」


「ケルピー、助けてっ!!」


「(諦めろ)」


ガシッと腰を掴まれる細身の身体のどこにそんな力があるのか長身の寮長に俵のように担ぎ挙げられて拉致られてしまう。


「ケルピーの裏切り者おおおお」



拝啓、天国に居るお母さん。まだ入学式を迎えてないのに波乱万丈な生活を送ってます。

基本的にエルデルシア王立魔法学院の生徒は寮に入ることになっている。

男子寮は校舎塔の東側、女子寮は西側に位置している。一階の談話室のみまでがお互いに入って良い空間になっている。内装はあまり変わらす広い大浴場やトイレの他にも魔法の訓練場や図書館、談話室なども備わっている。4階より上が個々の部屋になっていて最上級生以外は相部屋となっている。女子寮男子寮共に寮母、寮長がおり。相談役となっている。門限は23時。


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