25話 秋良の心配
(注)この物語には多少の流血、いじめ、殺人等の残酷な描写が含まれます。苦手な方はブラウザバックをお願いします。また犯罪行為を助長する意図はございませんのでご理解いただきますようお願い申しあげます。
「千里大丈夫かなぁ……」
「え?なんで?」
メリーゴーランドに乗り終わった後に、買ったチェロスを片手に思い出したかのように秋良が口にした言葉に翔太は首をかしげた。秋良はその翔太の言葉に驚いたわけだが。
「……まさか翔太君千里の感情に全く気がつかなかったの?」
「は?千里がなに?」
「んー、ここまで翔太君が鈍感だとは思わなかったなぁ……。なんて言えば良いのかなぁ、ココははっきり言った方がいっか」
ぶつぶつと呟きながら、少し考え込んだ後に軽く頷きながら、考えを纏める。そんな秋良の様子に口元に砂糖を付けながら首をかしげることしか出来ていない正直間抜けな面をした翔太に“相変わらずだなぁ”とか思いながら、千里には口止めも言っても言い、と言われていたが、それでも勝手にこんなことを話す、と言う罪悪感にとらわれながらも、口を開いた。
「んー、実は千里ね、縁君のことちょっと苦手みたいなんだよね。なんか裏表ありそうとか言ってたけど……。最近はそうでもないけど、っていってたんだけど、それでもやっぱりちょっと心配で……喧嘩とかしてないかなって」
「へぇぇ……初めて知ったよ。でもそんなかんじにはみえなかったけどなぁ。なんか俺らといる時よりもふわふわした顔してる。にしても、秋良って心配性だな」
「千里は隠すのがうまいからね……というか本当に気がついてなかったんだね」
秋良のかなり端折った説明に翔太はほんとうに驚いていた。この様子だと、ほんとうにどうやら気がついていなかったのかと言う秋良と共に翔太らしさを感じて苦笑をこぼした。その顔を見るなり翔太は少しむくれ始める。その顔を見ると、秋良は再び、クスクスと、笑い始める。が、それもすぐに思案顔へと変わっていった。
先程、秋良は"千里は楔のことが苦手だ"そう話したが、確かに、翔太の言うとおり、今は普段よりも柔らかい様な気がするのだ。あの顔は、嫌悪と言うよりは────。
「まさか……ね?」
一つの予想に思い立ったのだが、少し前に千里にそういうことを聞いてみたが、よく分からない、と冷めたひとみで言っていたのを知っている。秋良は先ほどの考えを吹き飛ばすためにも小さく呟きをこぼした。
一方翔太は、先程秋良に言われたことを考えていた。確かに最初の頃、中学の時には、嫌われていたし、この桜才に入学したての頃なんかは、もしかして楔のことは嫌いというよりは、苦手なのかな?と思うことは多々あったが、最近はむしろ友好的なのをよく見かけるし、楔からも千里からもお互いの名前を聞くことが増えていた。楔も千里もお互いにお互いの文句だが。楔に関しては、裏の性格がばれてからは、千里に遠慮というものがなくなり、千里も千里で楔に警察をやっていることをカミングアウトしてから、千里にも遠慮が無くなったように見えた。それに、千里自身もあのときよりは、警戒心は解いているように見えた。それでも最近の千里は友情とは何か違う、そんな感情を持ち合わせているように感じていた。
「あいつが……?まさか、あり得ない……」
前に、翔太は気軽に千里の秘密に触れてしまった。その時にほんの少しだけ、苦しそうにしながら千里が教えてくれた、千里の過去や秘密を知っている翔太は一つの考えに行き着き頭を振った。それだけは千里はしない、怖いからしたくない。本人が、そう言っていたのだから。
「ま、いっか。なぁ、秋良。そろそろ二人と合流しようぜ。秋良、千里も事心配なんだろ?」
「……う、うん!」
翔太は今までの考えを放棄すると、秋良に向き直り、そろそろ二人と合流しよう、と言う提案をした。秋良の心配だ、という意見をくんだのは建前で、ほんとうはそろそろ緊張が極限まで達していたのだ。だから、秋良の優しさをほんの少しだけ利用して、合流することを決める。
その後、千里達に秋良が連絡を入れると、すぐそばにいるとのことで、千里達には待って貰って、翔太と秋良は二人が待つ場所へと歩き出すのだった
この物語はフィクションです。登場する人物・団体・名称等は架空であり、実在のものとは関係ありません。




