16話 作戦決行の日の朝
(注)この物語には多少の流血、いじめ、殺人等の残酷な描写が含まれます。苦手な方はブラウザバックをお願いします。また犯罪行為を助長する意図はございませんのでご理解いただきますようお願い申しあげます
作戦決行当日。
その頃学校では相変わらず千里の悪い噂は途絶えなかった。秋良がうつむいているとクラスの女子の中でもそれなりに仲の良い十日市命が話しかけてくる。
「ねー、秋良もさぁ騙されてたんだって!目ぇ覚ましなよ!殺されちゃうよ?」
「千里はそんなことしない……命ちゃんは千里のこと何も知らないじゃん……、なにも……何も知らないのに勝手なこと言わないでよ!」
「ご、ごめん……」
秋良は気分が悪かった。千里のことを何も知らない癖に勝手なことを言われているのは。もちろんそれは秋良以外も例外ではなかった。蒼なんかはイライラしているし、真実を知る楔としては、胸糞悪い、と思うしかできなかった。伊織としても仲のいい人が悪く言われるのはあまりいい気分ではなかった。
なにやら落ち込んでいる伊織を見か寝た蒼は楔がいないことを確認した後にそっと伊織に声をかける。
「千里ちゃんの悪い噂、絶えないな……」
「蒼……。うん、昨日ね、千里がうちに紫陽花見に来たんだ。綺麗だねって。疲れたような顔してたけど、人を殺すような人がそんなこと言うことないと思う……」
蒼は伊織のその悲しげな横顔を見ながら、苦し気に顔をしかめる。こんな時なのに気の利いた一言も言えない、ほんとう尾のことを教えてあげられないことが自分を苦しめていた。
────ねぇ、千里ちゃん。まだ伊織ちゃんや、秋良ちゃんには秘密にしていないとかな……?僕、つらそうな顔見るのつらいよ……。
伊織から聞いた紫陽花の花については蒼も楔から聞いていたので、千里が忙しい合間を縫って伊織のもとを訪ねたのかと思うと、苦笑がこぼれた。また無理して睡眠時間を削ってまで捜査をしてるのだと思うと今度はため息がこぼれる。それを見た伊織は「蒼ちゃん忙しそうだねぇ」なんてけらりと笑いながら言うもんだから自然と口元がほころぶ。蒼はまだ知らない。今回千里が受け持っている事件の全容を、伊織が狙われていることも、その護衛に和斗が付くことも何も知らない。知らされていなかった。それは楔も同じ事で、楔に頼まれていたことは“何かおかしなことがあれば、連絡が欲しい”ただそれだけだった。
二人は知らなくていいことだから、千里はあえて教えていない。それから、この事件の全容を知れば、この二人は危険だ、という千里の判断で教えていないというのもあった。
「伊織」
「あ、和斗君。なんで竹刀……持ってきてるの?」
「あっ……、蒼。ついいつもの癖でな……。たまたまだ」
そこに和斗が竹刀を持って現れる。和斗は蒼に竹刀を持っていることを突っ込まれると、少し戸惑いながらも一生懸命考えた言い訳を言葉にする。蒼は乗っとくしてなさそうにしながらも「ふぅん……」と相槌を返していた。蒼と和斗のじゃなしにひと段落が付くと伊織が和斗に声をかける。
「そういえば和斗君は僕に用があったんだよね?どうかしたの?」
「今日伊織の家の方にたまたま用事があるのだが、あそこら辺の地理はよくわからなくてな……」
「そういう事だったら、僕に任せてください!」
伊織は用事を聞くと任せてください、と言いながら笑った。和斗もその笑顔を見ながらふっと微笑みながら「あぁ、任せた」そう言って伊織を守るのは任せてくれ、そう思いながら、今日の放課後を待つのだった。
────事件が起こるまであと三時間にまで迫っていた。
事件が起こる20分前のこと。六合亜留斗は零と話をしていた。
「おい、六合。あれはいったいどういうつもりだ」
「どういうつもり……とは?一体どういうことだ?」
「しらばっくれるな」
「生憎、あれが僕の仕事であり、やらなきゃいけないことだ。たしかに本業は科学者だけどね。見損なったよzero、僕の化学をあんなことに使われるなんて不快極まりないね。見損なったよ」
「お前も変わらないだろう?結局はお前も共犯者になる」
「そういわれると元も子もないんだがね。まぁその時はその時だ。しかし……、君も冬木に見捨てられて臓器がなくなるのも時間の問題じゃないか?にしてもなぜ、そんなに橘に固執をする?」
「あいつらは冬木の名を侮辱した!それだけじゃない、橘伊織!あいつのせいで俺の組はつぶれた!あぁ、本当害悪極まりない……。でもそれも時期に終わる。橘を殺害した後に遺体は燃やしてその灰を庭に撒いた後でも自首をしておくよ。骨は適当なところに捨てておけばいい」
「……それはどうだろうね」
その会話が終わるころには伊織たちは下校時刻になっていた。如一は後ろから張り込んで伊織の様子を絶えず報告をするのだった
「じゃぁ和斗君、行きましょうか」
駅までは蒼や翔太も一緒にいたが翔太は自転車で駅まで来ているし蒼は家が駅に近いのもあり、歩いて駅まで来ている。そもそもの話蒼の家は伊織の家とは真逆だ。伊織は西口で蒼は東口だった。よって伊織と和斗は自然と二人きりになれる。和斗はあまり違和感を感じさせぬように気を配りながらあたりを警戒していると、
「和斗君!」
不意に後ろから声が聞こえ、伊織を庇うように和斗は立ちふさがった。ZEROは和斗の姿を認めると苦虫をかみつぶした様な顔をしながらこう、口にした
「……君さぁそこ、どいてくれない?邪魔なんだよ」
「お前がこの連続殺人事件の犯人か……」
この物語はフィクションです。登場する人物・団体・名称等は架空であり、実在のものとは関係ありません。




