15話 作戦会議
(注)この物語には多少の流血、いじめ、殺人等の残酷な描写が含まれます。苦手な方はブラウザバックをお願いします。また犯罪行為を助長する意図はございませんのでご理解いただきますようお願い申しあげます
この事件が始まって間もなく一週間がたとうとしていたが千里は捜査に詰まっていて、一人捜査室で頭を抱えていた。
そんな時に捜査室に一人の人物が入ってくる。
「ああ、そうだ。僕はもう犯人が分かった」
「はぁ?!」
その人物は亜留斗で、彼女は捜査室に入るなり、そう言い放った。千里はその言葉を聞いて驚きの声を上げる。亜留斗はその声を聴いてさも迷惑そうな顔をしながら口を開く。
「うるさいなぁ……、少しは静かにできないのか……!?
……というよりもまだ解決できていないのかい?さすがに遅すぎやしないかい?」
「はっ……?!いやいや……、誰のせいだと……!てかほんと、お前失礼だよな……!」
「事実を言ったまでだよ……。今回の最終被害者は「橘伊織」ってのはわかってるんだよ」
千里は亜留斗の言葉に重ねるようにイラついた口調で声を出すと、それを聞いた亜留斗は「なんだ、そこまでわかっているのに犯人はわからないのか」と少しおどけたかのように口を開く。千里はその言葉に怪訝そうに顔をしかめる。
「よくよく考えてくれたまえよ。詩織さんは“冬木家とかかわりを持っていて、冬木の母親と試合をして負けていた”さて、誰かさんと似ていないかい?」
「……?!」
「あまりにも近しい人物だから盲目になることもあるだろうね。何しろあいつは、忠義心だけは天下一品だ」
「……っ」
亜留斗の言葉に千里は息をのんだ。理由としては、一人の人物像が浮かんできたからだ。もし、やるとしたらあいつしかいなかったからだ。
千里はしばし言葉に悩んだ挙句、重々しい様子で口を開いた。
「……どうなると思う?」
「動くだろうね、近いうち。少なくとも今週中には動くと思う」
「こそこそと、何の話してんの?」
声を潜めて話をしていると、ふいに声をかけられる。後ろを振り返ると、噂をすればなんとやら冬木如一が立っていた。
「まぁ……犯人についてかな?」
「そうだね。まず如一は土下座の準備と練習をすることをお勧めするよ。俺が神に誓って言ってあげるよ。お前は本気で伊織に土下座をすることになる。冗談でもなんでもなくすることになるよ」
「は?」
如一は千里の言葉を聞いて少し顔をしかめる。冗談だと思いたいようだった。如一は救いを求めるかのように亜留斗に目を向けてもやれやれといった顔をしているだけで否定はおろか肯定もしてくれない。はあぁ、と深い溜息を落としてから、零に顔を向けながら、零に声をかける。厳しい目つきを向けながら。
「とりあえず、零。君は先に家に帰ってくれるかな?これから俺らは話し合わないといけない」
「え……。わかりました。では、如一様終わりましたらいつでもお呼びください」
零はそう言いながら捜査室から出ていく。亜留斗はその背中を厳しい目で見つめながら零が見えなくなったのを確認してからそっと口を開いた。
「地雷とともに話し合った結果、僕たちは犯人が分かった。その結果から言わせてもらうと、冬木、お前は地雷の言う通り、必ず橘伊織に頭を下げることになるだろう」
亜留斗がそういうと、頬を膨らませながら口を開く。
「そうは言うけどさ、俺があいつに頭下げるようなことしてねぇもん……」
「はぁ、なんつーか、こういう時の如一って……、普通に馬鹿だよなぁ……」
「同感だね。冬木如一、お前は大バカ者だよ。君は少し人を疑う、という事を覚えた方がいい。信用できるのは少ないと思った方がいい。わかったね」
「えぇ……」
亜留斗の言葉に千里も小さく頷きながら、口を開く。
「とりあえず、犯人は早くても明日、一番のターゲットを殺しに来るだろうね。こっちもあまり人員は避けないから、桜才高校から一人、助っ人を頼まないとなぁ……」
「あまり乗り気じゃないようだね?」
「そりゃあね。あくまでも俺は警察だし、市民をわざわざ危険にさらしたくはないね」
「その依頼は俺が頼む。千里、任せて、和斗でいいかな?」
「まぁ一番妥当かな。とりあえず、如一、君にはもう一つ頼みたいことがある」
会議は淡々と進んでいき、如一も最初は乗り気ではなかった頼みも一つの言葉で面白いぐらいに頼みを聞いてくれるようになり、同時に吹き出してしまった。
因みに和斗には如一から『和斗、お前に頼みたいことあるんだけど、聞いてくれる?そしたらねー千里の家の近くの警察庁きてくれると助かるな』と呼びだして事のあらましを説明。
快諾し、大いに乗り気で頼みを聞いてくれることになった。
「まぁ、とりあえず明日はさっき決めた作戦通りでよろしくお願いします。じゃぁ、明日、作戦決行時間は、如一の連絡から、という事で。和斗には悪いけど、作戦に協力するに当たって、怪我とかするかもしれないけど、その時はごめんな。なるべく和斗には手出しさせないようにするから……。じゃあ解散」
千里は話がまとまったことを確認し、解散、と号令を出した。
その後に和斗に声をかける。
「あ……、和斗。こんな無茶な作戦、乗ってくれてありがとうな。あと、この作戦なんだけど、蒼には秘密にしてほしいんだ。俺また怒られる……。それから、かなり遅い時間だが家まで送らなくても大丈夫か?如一家の使いの者に車出せる人が他にもいるからそいつに出してもらうように頼むけど……」
「そうか……。お前は相変わらず蒼に怒られてるのか?変わらないな……。まぁ、わかった。このことは秘密にしよう。いや、送らなくて大丈夫だ。ここから桜才駅の行き方さえ教えてくれればあとは帰れる。俺の家は意外と人通りが多いところにあるからな……」
千里はそれを聞くと、よかった、とふっと微笑む。
作戦決行まであと少し。
この物語はフィクションです。登場する人物・団体・名称等は架空であり、実在のものとは関係ありません。




