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フェニックス始めました。  作者: シオアジ
〜第1章〜 出会いからの保食神 編
1/39

第1話(旧1話) 高校生始めました。





 今まで信じてきた世界が変わった。意外と忽然とあっさりと。


 彼女が来てから。


 ありきたりな日常が全てもってかれた。何もかも。


 つーか、なんかありきたりな冒頭で申し訳ないが、だって変わっちゃったんだもの。仕方がないよね!


 ま、人の人生なんて意外と変化の連続が所々いっぱいあってその積み重ねが後々振り返ると、これまで生きてきた道、つまり人生になってるってもんだよねきっと。


 とりあえず、さっさとぶっちゃけると、オレ、フェニックスだったらしい。


 鳳凰、朱雀、ガルーダ、火の鳥、不死の鳥。


 と他にも色々呼び名はありそうだけど、フェニックスということにしといてよ。

 彼女には『やきとり』呼ばわりされてるけど。そう呼ばれるとグッと残念な感じになるよね、実際。


 あ。

「彼女」と言ってもステディー的な彼女という意味ではなく、この場合の「彼女」とは、三人称的な意味合いでの彼女を指してるだけな訳で。ま、そんな言い訳どうでもいっか!


 とりあえず、彼女のお陰でオレの平穏で普通で平和な日常は劇的な変化を遂げて、かなりの非日常が日常的にやってきちゃった。




 ◆◇◆◇◆◇◆◇




 今年の春は違う。


 この桜舞い散る季節。って言っても実際はまだ桜咲いてないけど。

 ま、とりあえず3年間という青臭い中学生活が終わり、今年からオレは新たに高校生活が始める。


 そう始まるのさ!

 憧れのハイスクールライフが!屈託なくなんでも言い合える仲間!憧れのマドンナ的先輩女子や、クラスメイトの可愛い女子たち!

 ちょっと大人になった気分の楽しい楽しい学園生活がこれから待ってる!


 ……のはずだったが。



 私立「中津なかつ高等学校」の校門を生徒として初めてくぐる。


 学校からあらかじめ送付されてあったプリントを何度も見ながら、クラスと出席番号の下駄箱を探す。見つかった自分の下駄箱に真新しいローファーの革靴を入れ、これまた真新しい上履きに履き替え教室に向かう。


 どうやら、オレの教室は1‐Cらしい。


 教室に入るともう何人かクラスメイトになるであろう新入生がいた。黒板には、出席番号順の席順の張り紙が張られてあり、張り紙を確認したオレは、その指定通りの席に着く。

 そのうち段々とその教室に新入生が集まってくる。残念ながら、同中の奴や知り合いはこの教室にはいなそうだ。


 若干の緊張からかそわそわしながら、まずは様子見とばかりに、周りの奴らを人間観察しているうちに高校初の開始時間になって、この教室の担任の先生が入ってきた。


 一通りの挨拶やこれからの学校生活の説明が聞き終わり、その後すぐに講堂に移動させられた。入学式を行う為だ。

 その全一年生を集められた入学式も滞りもなく終わる。


 意外と初日は、フツーに終わった。あっさりと。

 オレがどっか冷めてるのかねー。ま、初日はこんなもんでしょ!そのうち色々なイベントフラグが立つに違いない。



  …その後、数日が立ったが現実は何も待ってなかった。何も待っててくれてはなかった。



 入学式初日から、いきなりの事故的な出会いからお互い徐々に好意を寄せていき、気持ちのすれ違いからやきもきする展開を繰り広げるという、女子とのラブコメストーリー的な展開もなく。


 かといって、入学式初日から言われもない因縁をつけられ、不良達に絡まれボコボコにされるもそっから怒濤なストーリー展開によって、最初からんできた不良達とも何時の間にかうち解けて、そいつらさえ自分の配下に納め、あわや学園のボス的存在に成り上がるサクセスストーリーになるべくきっかけも勿論なかった。

 平凡に普通にダラダラと過ごしてしまい、あっという間に数日どころか4月終了してしまった。



 この学校の男子制服のボタンが全部、詰襟ホックというのが未だに慣れない。

 詰襟ホックを一段づつ掛け違いすることなんてしょっちゅうだ。

 なんとかならんのこの制服?上下紺色であんま見栄えもしないし。襟のところのカラーも邪魔だし。

 どっからか聞いた話によると、創立時の校長が海軍好きで半ば趣味で海軍の制服を真似てこの制服を作成したらしい。

 着させられるこっちは迷惑だよ!



 そんな制服もまとも着れない間に気づけば周りのクラスメイト達は様々なグループが出来ていた。

 部活が同じで仲良くなったグループ。席が近くて仲良くなったグループ。出身校が同じで仲良くなったグループ。音楽の趣味が同じで仲良くなったグループ。なんだか気があって仲良くなったグループ。周りからの疎外感を感じとって寄り集まったグループ。

 自分が宇宙人、未来人、超能力者だと信じ込んでやまないグループやらと…。


 オレはそれらのどのグループにも属さず、何時の間にか孤高と化していた。クラスメイトから一番やっかいとされる奴に。特に全員からイジメを受けてるわけでも気持ち悪がられてるわけでもないのだが。


 ……多分。

 いや、是非そうであって欲しい!


 そう願いつつも、周り奴らとオレの空気がなじまないというのか、なんというか。

 うん、きっとオレがちょっと周りの奴らより、ワンランク上のレベルの為、周りの奴らのような下々の者達とは反りが合わないのさ。きっと!


 そうに違いない!


 つか、そうやって無理矢理にでも、そう自分に言い聞かせないとやってけないでしょ実際!

 だって、もう5月も始まっちゃったのに何もオレは始まってないよ!意外と高校生活、世知辛いっ!


 あー。なんか、高校生活無駄にしてんなー。早い奴は同じ高1なのにもう同級生の彼女ゲットしてるし!


 ドラえもーん!ドラ焼き死ぬほど食わせてやるから俺に彼女をよこせー!

 アンドロイド的な彼女でもこの際構わないよ?


 そんなドラえもん的便利な存在勿論いねーけど。はぁ、せめて心許せる友達ぐらい欲しいよなー。

 ま、一人なら一人で気楽なんだけど。時々、世間やらマイブームやらの話題を共有できる奴らが近くにいないって寂しいよね。


 あれ?

 オレかなり寂しい奴なのか?そこ気づいちゃった?オレ。


 早くこの脳内で一人会議してるというだけで一向に進展しないこの状況を脱しないと、3年間限定の高校生活という、おそらく一番人生で輝かしいであろう、この瞬間が後々の人生の最中で最も思い出したくもない、むしろ無意識に記憶から葬ろうとしてしまいそうな黒歴史になってしまう!


 嫌すぎるー!それだけはぜひ避けたい!



 そんな感じで内心は現状の生活に不満でいながら実際何にも変えられない日常を寂しく過ごす人見知りが激しいオレこと青桐彦一あおぎりひこいちは、高校生活最初のゴールデンウィーク前日になっても彼女はもちろん、クラスメイトで友達と呼べる奴すらも持てずにいた。

 他のみんなは、これから来るゴールデンウィークを仲間と一緒に部活やらお出かけやらを楽しみしてるんだろうけど、友達やら部活仲間やらがいないオレには全く楽しみでもなんでもなかった。


 そのうち友達はサボテンだけと言ってしまいそう。


 否!それだけは避けたい!


 そういやぁ。中学時代には、オレを親友と呼んでくれて、やたら絡んで来た奴がいたっけ。そいつも親の都合とかでどっかに引越してしまった。

 そーいや連絡してないな。と言っても、そいつは急な引っ越しで夜逃げ同然でいつの間にかいなくなってたから、連絡先すら知らないけど。

 ま、そんな過去のことは、この際いい!

 むしろこれからの学園生活をどうやったら楽しく過ごせるかを熟考し計画的に実践に移さねば!


 

 放課後。もちろん帰宅部なオレは家路を歩きながら、楽しい学園生活プロジェクトに思い巡らせ妄想し始めた。


 その前にこんなド田舎じゃあ、楽しい放課後ライフすら楽しめるわけないじゃん!そりゃ、妄想しながら、帰宅しちゃうよ!

 せめて、二次元世界みたく、なんだかんだ一緒に帰ってくれる、おせっかいで実はカワイイ幼馴染みの女の子一人や二人いてくれてもよくね!


 実際そんな子どこにもいないよ!

 ヒドイよ現実。オレのカワイイ幼馴染みの女の子を返せ!マジ返せ!


 つか、近所っても、隣が50m先って有り得なくない!遠すぎでしょ。仮に幼馴染みがいても朝オレを起こしに来るのも一苦労だよ!


 家まで上がりこんで、


「彦一くん起きて!もう遅刻しちゃうぞ!」


 って起こしてくれるフラグが立つ奴なんて実際リアルで何人いるんだよ。

 いたら教えてくれ!ぜひ逐一リアルタイムで報告しろ!

 報告されてもそんな羨ましいリア充報告聞いたらオレが涙で枕濡らすわ!ふざけるなー!


 と脳内で知らない誰かに腹を立てていた。



 そんな時。


 急に空から、純白の羽が生えたフワフワした軽装姿の女の子が降ってきた!なんの前触れもなく。目の前にドーンッ!

 

「って、んなわけねーー!」


 またもや一人ツッコミしてしまった。どうやらオレは相手がいなくてもツッコミをしてしまわずにはいられない性分らしい。


 そんなことを思い巡らせながらの下校中、家の近くにこんな田舎に似つかわしくもない、高級そうな黒塗り塗装の車が畑の路肩に停まっていた。でもただそれ以外は特に何事もなく家に無事着く。

 家は、田舎に似つかわしい、木造平屋建てのマイホーム(屋根裏部屋あり)。



 と、そこに同い年ぐらいの女の子が玄関先に立っていた。


 つか、同い年ぐらいの女の子がオレ家の玄関にいること自体珍しい。いや。というか今まで一度もないかと。



 帰宅した彦一の目の前に、現われた同い年ぐらいの少女。珍しい訪問客に一瞬、躊躇して立ち止まった彦一だった。






閲覧して下さりありがとうございます!

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