Milky way 第一話
Milky way
「残念ながら‥‥ 桜子さんは−−−−−‥」
あれから半年が過ぎた。
「もう花は咲かないのかな?」
毎朝見かけるあの子は学校に間にあっているんだろうか?
第一話
「いってきます」 十月に入り、肌寒くなってきたころ。『いってらっしゃい』の言葉を待てずに家を出た。
「あっ! いっけね」今、家の鍵を閉めたのにも関わらず、またあけ直し、自転車の鍵を取りに行く。無言で鍵を手に取り、家を出た。
「今日も働きますか!」自分と自分の自転車にそう言い聞かす。大きく背伸びして、自転車にまたがった。自転車のかごにはもう、俺が運ばなければならない牛乳が入っていた。
今日もいつも通り、毎日牛乳を運ぶ。俺は社長が持っている小さなアパートの一部屋に住んでいる。
商店街の店をいつも通りに運び終える。次は住宅街だ。
この日、この住宅街で俺の人生を左右するいつも通りじゃないことが起きるなんて、この時の俺はまだ知らない。
「おはようございま〜す」玄関掃除をしている佐藤さんにそう言って牛乳を渡す。
次の家は小川さんっと‥ ポストに牛乳を入れた時、肌寒い風がブワッと俺の足から頭へと通って行った。その時、上からの視線に気づいた。家の‥二階の部屋から髪の長い女の子、そう分かったときにはもう目が合っていた。俺は慌てて目を逸らす。「びっくりした〜」そう心の中で呟いた。自転車のペダルに足をかけ、二階を一切見ないように、逃げるように、その場からはなれた。