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大々過去編 ~イヨ誕生記~

イヨの母親にあたる神を設定したのでその時に何が起こったかということをちょっと考えてみました。ちなみにイヨを最初に受け入れた一族は蠣崎一族ではありませんでした(当時の神社と神職一族は戦国時代に壊滅しています)。

イヨは1000年以上前に信濃国の和田峠で生まれた。


母となったのは当地の火山と黒曜石の女神・ヨウである。彼女は人々の思いと自分の心身のリズムがシンクロした時に他の神と契りを結び、新たな神を身籠る力を持つが、イヨはその彼女にとって初めての子供であった。

ヨウが神の子を身籠るのは人々が必要としているためである。そのため子はすぐに神を必要としている場所に里子に出さなくてはならず、自分で正式な名前も付けられない。そして子もまたいずれ母である自分の顔も名前も忘れてしまう運命である。

しかし、ヨウにとっては可愛い我が子、しかも初めての子である。なので自分の手を離れるその瞬間まで全身全霊でその子を可愛がる覚悟を決めていた。


ところが、成長するにつれてその子にある変わった傾向が見られることにヨウは気が付くことになる。

ある時は…


「母さま、双六が欲しいのじゃ!」(←ここで言う「双六」は「盤双六」のことである)

「ん?何だ?神が賭博などいかんぞ。」(←盤双六は賭博遊戯としての顔あり)


またある時は…


「うわーん、碁石と碁盤が欲しいのじゃ欲しいのじゃ欲しいのじゃー!」

(…何でこの子はこんなに玩具を欲しがるんだ?)


何かというと遊び道具、それもゲーム性の強い新しいものを欲しがるのである。確かに子供である以上玩具を欲しがるのは当たり前なのだがそれにしても傾向が極端であった。


(まさか…)


ヨウには心当たりが無いではなかった。

ヨウは火山と黒曜石の女神として善の心と悪の心を行ったり来たりしているのだが、その子を産んだ時はちょうど善と悪がぴったりと均衡されている状態だったのである。そのため善と悪がきれいに混ざり合いよく言えば人間臭い・悪く言えば俗っぽい性格になってしまったのではないかということであった。


ともあれ子は健やかに成長したので人々の願いに応じ美濃国に送られ、そこで正式な名前と「イヨ」という通称を得て退魔と厄除けの神としての第一歩を踏み出していった。


(やれやれ…。しかしこれからどうするかな…。)


イヨの俗っぽさに悩まされたヨウは今後は善であるにせよ悪であるにせよある程度はっきりした状態で子を産む方が良さそうだと考えるようになったのであった。


―――


そして現代…


「香澄、ドラクエウ〇ークを…」

「ダメですよ!」


成長し立派な(?)退魔と厄除けの神となったイヨであったが遊び道具を欲しがる癖もまた一人前であり、その度におつきの巫女(?)を困らせていた。


「はあ…イヨ様には相変わらず困ったものです…。」

「…いつもイヨがすまないな。」

「…どちら様?」



おわり

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