現代編第21話 ~思い出を壊さないのも功徳~
17年前、子供(後の香澄)の出産を控えて未来がある産院に入院していた頃の話である。
さすがの肝の太い征美も義理の娘の出産&孫の誕生という一大イベントにはそわそわしていた。そしてちらっと一緒に待っていた未来の実母である平川花絵を見やると、何やらイライラを我慢するかのようにアンパンをかじっていた。なお花絵は征美より4つ年下である。
「花絵さん、なんでアンパンなんか食べてるんですか?」
「ああ…私小学校の頃いじめられていた時期があって、それでいじめられて泣きながら帰っていた時にたまたま中学生くらいの髪の長い綺麗なお姉さんと出会って…。」
「ほうほう。」
「そのお姉さんが『神様は笑っている人によりたくさん幸せを下さるのですわ』って言いながらアンパンをくれたんですね。」
「なるほど…神様…。」
「それ以来ドキドキすることがある時にはアンパンを食べるんです。」
「ふんふんそれはなかな…!?」
とここで征美の脳内で全ての記憶がつながった。確かに「女子中学生」だったころにこっそり買い食いしようとしたあんパンを泣いている小学校高学年くらいの女の子に渡したことがあったからだ。そう考えると全ての辻褄が合う。
(うーん…まあ言わないでおこうか…。)
さすがのイタズラ好きの征美も美しい思い出とともに娘の無事を祈る母親の思いを破壊するのは残酷だと思ったのであった。
おわり
最近ではプリキュアなどでよく見かける「祖母の思い出話」が元ネタですが、蠣乃神社だとこんなんなっちゃいます(笑)。




