過去編第7話 ~馴れ初め~
蠣乃神社の神・イヨと風松神社の神・みのりは今でこそ仲が良いが、かつてはそうでもなかった。
そもそも二柱の出会いはいつのことなのか、それははっきりしていない。いつのことか分からない昔からその土地の神々としての交流はあったものである。しかし、ほんの三十年前くらいまでは地域の神々の集まりで顔を合わせる程度の仲でしかなかった。
風向きが変わったのが二十八年前のことである。地域の神々の集まりでイヨが買ってもらった自分の玩具を自慢していたことが始まりであった。
「今度うちの神社にファミコンが来たのじゃ!興味がある者はうちに来るが良いぞ!」
「またイヨの悪い癖が始まったのじゃ…。」
「現代の文明など忘れるようにといつも言っておるのにのう。」
イヨの新し物好きぶりは地域の神々の間では割と有名なことであったので、ほとんどの神の反応は芳しくなかった。
しかしみのりだけはその「ファミコン」に何か感ずるものがあったのか、イヨの話に食いついてきた。
「あの…ファミコンって何なんです?」
「お、そなたは風松神社のみのりか!ファミコンとはテレビを使った面白い遊びのことじゃ!もし気になるならこれから一緒にうちに来るが良いぞ!説明するよりやったほうが早いのじゃ!」
「ええ、ぜひ。」
かくて蠣乃神社でのファミコン大会が始まったわけであったが、当時は対戦ゲームの選択肢は「マリオブラザーズ」や「ベースボール」くらいしかなかった。それでも当時のみのりにとっては十分に衝撃的であったようで…
「あ、これ面白いですねえ!」
「そうじゃろ!」
すっかりファミコンの面白さのとりことなってしまったのであった。それをきっかけとしてイヨとみのりは遊び友達として交流を重ねていくことになるのである。
そのはるか後風松神社にIT技術が導入される際にはみのりはテレビゲームで頭を馴らしていたおかげでそれほど抵抗なくなじむことが出来たのだが、それはまた別のお話である。
おわり




