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過去編第6話 ~夢の国チキンレース~

「んっふっふー。」

蠣乃神社の巫女(?)・蠣崎丸恵が珍しくテンションが上がった様子である。

「どうしたのじゃ?」

その様子に気付いた神社の神・イヨが丸恵に尋ねる。

「今度千葉に新しく出来た遊園地の券をですねぇ、伊藤さんが手に入れてくれたんですよぉ。で、わたしと伊藤さんと平川さんとで休みを利用していくことになったんですねぇ。」

丸恵は笑顔で荷造りをしている。そんな丸恵に対し、何故かイヨは暗い表情になる。

「のう丸恵、その千葉の遊園地とはアメリカから来た夢の王国とかいうやつか?」

「そうですよぉ。さすがイヨ様、良くご存知ですねぇ。」

「丸恵…そこに行くの、やめにしたほうが良いとイヨさまは思うぞ。」

「え、何でですかぁ?」

イヨの意外な発言に丸恵も少し驚いた様子である。

「その…何じゃ…何だか嫌な予感がするのじゃ…。よく分からないのじゃが…。」

「でももう新幹線の予約も取ってありますしぃ、伊藤さんや平川さんも楽しみにしてるんですよぉ。もちろんわたしもです。」

「うーん…しかし…。」

「遊園地~♪。楽しみ~♪」

「…。」

楽しそうに準備をする丸恵の様子の前に、結局抗し切れなかったイヨであった。


それから2日後…

「ただいま…。」

イヨの心配が的中したか、丸恵は悄然とした様子で帰って来た。

「どうしたのじゃ?やっぱり、つまらなかったのか?」

「それがですねぇ…設備もマスコットも何かみんなモザイクがかかっていて…良く分からなかったです。平川さんも伊藤さんもがっかりしてましたぁ…。」

「そうか…。」

がっかりする丸恵に対し、イヨはいつに無く真剣な様子で事情を話し始めた。

「実はのう、あの遊園地を経営する会社は著作権に厳しくてのう、黙って別の著作物に出してはいけないらしいのじゃ。」

「そ、そんな…。」

「つまりイヨさまたちがこの小説に出ている限りあの遊園地で楽しむことは出来ないのじゃ。」

「そ、そうだったんですか…。」

意外な答えに更にがっかりする丸恵ではあったが…

「でも、イヨ様っていつもいい加減に見えますけどぉ、実はわたしたちのことをちゃんと考えてくれてるんですねぇ。」

イヨの神としての優しさは嬉しく感ずるのであった。

「そうじゃ!それが神としての務めの一つだからの!」

丸恵のほめ言葉にふんぞり返るイヨであった。

もっとも…

「ところで丸恵、おみやげはまだかの?」

「お土産屋さんもモザイクだらけで買えませんでしたけどぉ…。」

自らの煩悩をむき出しにすることも決して忘れなかったが。


おわり

あの遊園地、80年代に出来たんですよね。つまり当時の最先端です。ちなみに、著作権に過剰に気を使っている様子をギャグにする手法は漫画「おさんぽ大王」のあの遊園地の訪問記が元ネタです。

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