妖精妖怪、小さな宴
寝て起きて酔いから覚めたチルノに運ばれ、私達は妖精の集まる場所に来ていた。
「あ!チルノちゃんだ!」
「大ちゃんも!」
「わーい!あそぼー!」
妖精たちはチルノと大ちゃんを見つけると、笑顔になってすぐさま飛んでくる。
そしてチルノと大ちゃんの手を取った所で、チルノが笑いながら私を妖精たちに見せた。
「あ!チルノちゃん、それなーに?」
「ふふーん!これはねぇ、とっぽぎって言うのよ!」
「チルノちゃん、とっぽぎじゃなくってとっくりだよ?」
とっぽぎ……ああ、確か百済だったか新羅だったかにあった餅のようなものだったな。キムチと混ぜてやると酒に合うらしい。
「そうだっけ? まあ、そんなことはどうでもいいの!この中に美味しいお酒がいっぱい入ってるから、みんなで飲んじゃお?」
「「「わーい!」」」
チルノの言葉に妖精たちがはしゃぐ。妖精でも何でも美味いものが好きなのは変わらないか。
まあ、チルノに出した甘酒と同じものを用意しよう。能力で出すのでなんともない。好きなだけ飲むがいい。
「……くぴくぴくぴ……ぷはー!チルノちゃん、ほんとに美味しいね!」
周りの子達が口々に言う。あたいはそれを聞いて、とっても嬉しくなった。
「そうでしょ~、あたいがみつけてきたんだー」
「チルノちゃんすごい!」
「あー!つぎわたし!わーたーしーっ!」
「うん、わかったよ。はい」
「わーい!……んくんく……美味しい!」
きゃいきゃいとみんなは喜んでいる。大ちゃんはやっぱりあんまり飲んでないみたいだけど、あたいは飲んでる。
「あっ!チルノちゃんも飲むの?」
「もっちろん!」
「もう……飲みすぎちゃダメだよ?」
「だいじょーぶ!あたいはさいきょーなんだから!」
「あははははっ!」
「きゃははははは!」
「ち、チルノちゃん!飲みすぎだよぉ!」
「ひっく、らいじょーぶらよぉー?」
「大丈夫に見えないってばぁ!」
やれやれ。妖精というのは随分と酔うのが早いな。人間の子供でもここまで酔いやすくはないぞ?
まあ、それでも美味いものは美味いのだし、好きにすればいいとも思うがな。
……む? 誰だあの娘は? 妖怪か?
「ひっく……あー!ちぇん!やっほー!」
「チルノちゃん? なにして……うわお酒臭い!? どれだけ飲んだの!? というか、どこにこんなにお酒があったの!?」
なんだ、知り合いか。子供というのはすぐに友を増やすのだな。例えその種族が違おうがお構いなしか。
「ひっく……ちぇんもどう? おいしいよー?」
「チルノちゃん!ダメだってば!」
やれやれ。まあ、おそらくこの娘も小さなこの能力に招かれたのだろう。ならば私のやることは一つ。
酔いたまえ。
「うにゃ~ん♪」
「あははは、ひっく。おいしいでしょー!」
「ああ、橙ちゃんまで……ごめんなさいいつも話に聞く藍さん。わたしは止められませんでした……」
「いーじゃんいーじゃん!大ちゃんも飲もうよ!」
「……もういいや。わたしも飲んじゃおっと」
後のことを考えたら飲んでない方がいいんでしょうけど、飲まないとやってられません。
そう思った私はチルノちゃんに差し出されたおちょこを受け取って、なかに入っていたお酒を一気に飲み干した。
「おー!大ちゃんものんだー!」
「うん、飲むことにしたの」
たまには、こんな風にね?