無力な挑戦者とお喋りな道化師
ガ・・・・・ッ!!
リーリアを突き飛ばし、俺が奴の刄を受けとめる。
だがアレスはそれにすら全く驚く事無く、けたたましい哄笑をあげ続ける。
「リーリア!術を展開しろ!ここは俺が押さえる!これが団体戦だということを思い知らせてやれ!」
「は・・・・はい!」
直ぐ様彼女の前に、豪椀のディンが立ちふさがり、術の展開により無防備になるリーリアを奴から守ってくれたのが横目でとれた。
だがそれ以上俺は周りに配慮できない。
剣に力をいれ、反動を使って後ろに下がる。
その細身で小柄な体格からは信じられがたい力が俺をねじ伏せようとしている。
しかも相手は未だ片手しか使っていない。あからさま馬鹿にされているが、俺は均等を保つことすら危うくなってきていた。
「ん、ん、ンー?団体戦?どう考えテモいわユるリンチじゃんよ?でもソンなに団体戦がシたいなラ、ヤッテやってもイイヨん。なぁトト?」
「エッジ!」
突然物凄い力で俺ははねとばされる。
仲間全員が俺に駆け寄ってくるのが見えた。
仲間達の手を借りて、俺はなんとか立ち上がる。
アレスは鎌も構えず、天井を見上げていた。
「トト。モウ終わりにシよう。俺と一緒二戦ッテくれないカ?」
「・・・ア・・・レス?」
また、あの声がした。か細く、いかにも内気な少女の声。
俺たちを惑わすためにアレスが作った音声とばかり思っていたが、そうではないらしい。
アレスは鎌を指で弄びながら、お調子者の真剣な声、という何とも形容しがたい声色で一人呟く。
「仲間、友、兄弟、両親。勇者様方は幾人モノ守るベキモノがいるらしい。ダがな、悪、死神、鬼、化け物と呼バレる俺にスラ一応そんな奴はいるんだゼ?なぁトト、お前はドウダ?」
「・・・それは・・」
「我が名に応えよ、裁きの者、ラウア!」
一人意識を集中させていたリーリアの術が完成し、身長十メートルはありそうな巨人が光の粒子で作りだされた。
アレスは動かない。
相変わらずおかしな方向を見ながら見えぬ誰かに何かを呟いている。
いけるかもしれない。
リーリアを振り返り、目で合図する。
彼女もその意図を理解し首肯した。
巨人は音もなく物凄いスピードでアレスの元に突進しながら、図太い柱のような腕を振り上げる。
アレスは動かない。
「トト、お前を愛する俺の言葉を聞いてくれ。俺はお前の体をもう、傷つける危険に晒したくないんだ。」
「・・・アレス・・」
「約束する。お前は俺が殺す。それまで誰にも傷どころか触れさせもしない」
「あはは・・・それっていつですか?」
「俺がお前に飽きた時だな」
「ふふっ。じゃあ・・・早く飽きてもらわないとあなたから解放してもらえないな」
グォオォオオオオ
巨人の鉄槌が、振り下ろされた。
「や・・やった・・の・・か?」
グレイが呟く。
「手応えは・・ありました」
リーリアは半ば放心気味に頷いた。
「・・・・いや。まだだ」
反射的に口が動いた。
ふと思い立って投稿しました。
レポートヤバいですが私には見えません。
どうか気が向いたらご賞味ください。