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リックという友達

「エドワード・ラフィーノ!!どういうつもりだ」


目の前にいる父上は顔を真っ赤にして怒っている。フルネームで呼んでると言う事は相当怒ってるな。


「何故あの縁談を断った。あんなに美しい令嬢は滅多にいないぞ。お前はこの伯爵家の次期当主としての自覚がないのか?後継者を作るのも重要な仕事だぞ」


「父上、私はまだ17歳です。結婚には早いです」


「今すぐ結婚しろと言っている訳ではない、婚約をしろと言っているんだ。目ぼしい令嬢はすぐに婚約してしまうから、うかうかしているとあの噂の妖精ゴリラ姫みたいなあまり者しか居なくなるぞ」


「ゴリラ??何ですかそれ、兎に角、私はドレスやお茶会だけにしか興味がない女性ではなく、私が騎士団に入った時に家を任せられるしっかりした女性と結婚したいのです」


「お前の言いたい事もわかるが、貴族の令嬢でそんな人は滅多にいないぞ」


「学園に行ったらいるかもしれないですか、学園の2年で見つからなければ、父上の紹介してくれた人と結婚します」


「わかった、約束だぞ」そういって、父上は部屋から出て行った。


「これでとりあえず、時間は稼げたな」


俺は騎士団に入ってゆくゆくは騎士団長になりたいんだ。その為には常にチヤホヤされてないと気が済まない令嬢では、仕事の妨げになるだろう。


まあそれは今は考える必要はない。


明日からイリウス伯爵領での合同練習だ。今日中に向こうに着いておかないと。


俺は荷物をまとめながら、ふと父上が言ったことを思い出した。


「妖精ゴリラで姫って何だよ」


昨日、無事にイリウス伯爵領につき、今日は午後から模擬戦を行うとのことだ。トーナメント戦なので、くじ引きでランダムに対戦相手を決める。


1戦目はラフィーノ騎士団の騎士と。。相手は子供か?随分小柄な。うちの騎士が揶揄っているのが聞こえて、注意しようとしたら、剣を片手で振り回している。見かけよりかは力がある様だ。


試合が始まってもそいつは動かない。

「おい、お前。そいつは手加減なんかしない、早く逃げろ」と思わず言ってしまった。すると肩に手を置かれた。

「まあ、見ていろ。面白いものが見れるぞ」

そう言ったのはイリウス副団長だった。


騎士が剣を振り上げた瞬間、彼はスッと懐に入り込み、剣先を相手の首に当てた。


信じられない速さでと大胆な行動だった。


俺はワクワクした。あいつと試合がしたい。


そして順当に勝ち進んで、相手はあの少年だった。本当に小さいな、まあ俺は歳の割に大きいとも言われる。


試合が始まると、少年は俺に剣を打ち込んできた。なんて力だ。思わず体勢を崩しそうになった時に、思いっきり剣が振り下ろされた。


おい、これは模擬戦だ!


「リリ。。リック、それはちょっと」と副団長の焦った声が聞こえる。


何とか剣で受けたが、両方の剣が折れた。


「ご!!ごめんなさい。盛り上がって力を込めすぎました」と言って大慌てしている。


俺は笑いそうになったが、まだ試合中だ。


俺は剣の手に残った剣の残骸をそっとその少年の首に当てた。


「はい、俺の勝ち」


「あーーまだ試合中!!!」


それが俺とリックの出会いだった。


トーナメントの賞品はお酒なので代わりにケーキを貰える事になったが、リックが大はしゃぎだ。俺と同じでチョコレートケーキが好きらしい。


リックは自分の土魔法が好きではないと言うので、土魔法持ちの騎士の話をした時の笑顔に一瞬どきっとした。


おいおい、いくら可愛い顔をしてるからって、リックは男だぞ。それにしても綺麗な緑の目だな。


ごまかす為にケーキを急いで食べたら。頬にチョコレートが付いていたらしく、リックが拭いてくれた。

あまりにも自然にしたので、またどきっとしたが。リックは弟の世話で慣れているみたいだ。


それから俺はリックと色々な話をした。リックはすごく聞き上手で、知識もすごい。そして俺が話したくないと思う事は詮索しない。


リックはイリウス副団長の甥だから、貴族だと思うが。俺は貴族同士ではなく、リックとはただのエドワードとして友達になりたかったので、自分の家名は話さなかった。


1週間はあっと言う間にすぎた。リックと離れるのは寂しかったが、イリウス副団長はまた数ヶ月に特訓をすると言っていたし、またその時会えるだろう。


帰り道、後ちょっとで王都につづく森を抜けると言うところで、後ろから子供が走ってきた。


「騎士様ーーー、か。家族を助けてください。盗賊に襲われまして」


「もう大丈夫だ、この森の中で襲われたのか、何人ぐらいだったかわかるか?」


子供は息が絶え絶えだったが、盗賊は10人ぐらいで、彼の両親と叔父夫婦が捕まり、彼の母がこっそり逃してくれたそうだ。


俺達は来た道を引き返す。


今度は女性2人が走ってきた。


「母上!!!!!」子供は母親にしがみつく。


「騎士様、今少年が私たちを逃してくれましたが、相手は大勢います。助けてください」


少年。。。まさかな。


「で。。何だこれは」


俺たちがついた時には、盗賊は縛られて荷台に詰め込まれてた。


「先ほど、緑の目をした少年が助けてくれまして。小さいのにすごい力で、土魔法も使っていました」


リックだな。。あいつ、土魔法を使ったんだ。俺との練習に成果が出たな。


そうしたら、馬のいななきが聞こえた。


リックが戻ってきたのかと思ったら、イリウス副団長だった。


「副団長、リックは大丈夫ですか?」


「ああ、伯爵領家に戻って来たので話を聞いた。これから盗賊を王宮騎士団に引き渡す。申し訳ないが手伝ってくれないか?」


俺はリックが無事なのにほっとして。。今度はおかしくなって大笑いしてしまった。


「あいつ、本当に面白い。何で全員荷台に詰め込んでいるんだよ」


次の合同訓練でリックに会うのが楽しみだ。


しかし、リックは合同訓練には現れなかった。伯爵によると、盗賊退治を1人でしたのが父親にバレて、家から出して貰えないそうだ。


リックから借りたハンカチも洗って持ってきたのにな。ハンカチにはちょっと字が曲がっているが、L.Mと刺繍がされている。

Rじゃないから、彼の姉の物なのかな?


伯爵にからリックに返して貰おうと思ったが、「どうせ学園で会うだろう。その時返せばいい。ちょっと姿が変わっているかもしれんが、すぐわかるだろう」


やっとリックも身長が伸びたのか?


学園の入学式まで後2ヶ月、リックに会えるのが楽しみだ。



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